新カリキュラムでの内容となる、2024年度の第37回社会福祉士国家試験について、試験の概要や新カリキュラムの変更点など受験に向けて役立つ情報をまとめています。

この記事の要点まとめ
  • 第37回社会福祉士国家試験の概要を知って受験の準備をしよう!
  • 社会福祉士国家試験の難易度や合格基準点を知って合格を目指そう!
  • 新カリキュラムの変更点を知って受験対策をしよう!

社会福祉士国家試験の概要

第37回社会福祉士国家試験の概要をまとめています。
試験日程や受付期間などよく確認して早めに準備をしておきましょう。
合格率や合格基準点も紹介しているので合わせてご確認ください。

試験日・時間

第37回社会福祉士国家試験の試験日と日程は以下のとおりです。

試験日試験時間
令和7年2月2日(日)午前(共通科目)
10時00分~12時20分

※弱視等受験者(1.3倍) 
10時00分~13時05分

※点字等受験者(1.5倍) 
10時00分~13時30分
午後(専門科目) 
14時10分~15時35分

※弱視等受験者(1.3倍) 
14時40分~16時35分

※点字等受験者(1.5倍) 
14時40分~16時50分

午前の共通科目が2時間20分、午後の専門科目が1時間25分の試験で、1日がかりの試験となっています。
共通科目が免除となる場合など、受験者によって試験の開始時間も異なるため、事前によく確認をしましょう。

試験科目・内容

試験科目は以下のとおりです。

共通科目専門科目
●医学概論
●心理学と心理的支援
●社会学と社会システム
●社会福祉の原理と政策
●社会保障
●権利擁護を支える法制度
●地域福祉と包括的支援体制
●障害者福祉
●刑事司法と福祉
●ソーシャルワークの基盤と専門職
●ソーシャルワークの理論と方法
●社会福祉調査の基礎
●高齢者福祉
●児童・家庭福祉
●貧困に対する支援
●保健医療と福祉
●ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
●ソーシャルワークの理論と方法(専門)
●福祉サービスの組織と経営

共通科目12科目、専門科目7科目の計19科目です。
午前に共通科目、午後に専門科目が実施され、共通科目は精神保健福祉士国家試験と共通なので、精神保健福祉士を取得している場合は免除されます。

試験会場

試験は、以下の24試験地で実施されます。

北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
出典:試験概要 社会福祉振興・試験センター

受験する都道府県は申し込みの段階で選択でき、住んでいる都道府県以外でも選択可能です。
また詳しい試験会場については、受験票に記載されているので、確認しましょう。

受験資格

社会福祉士国家試験の受験資格は12通りありますが、大きく分けると以下の4通りとなります。

  • 4年制の福祉系大学で指定科目を履修し卒業する
  • 福祉系の短期大学で指定科目を履修し卒業した後、必要な期間相談支援業務に従事する
  • 基礎科目の履修又は必要な実務経験を満たした上で短期養成施設(6ヶ月)を卒業する
  • 必要な実務経験等の条件を満たした上で一般養成施設(1年)を卒業する

大学や養成施設の卒業については、卒業見込みでも受験可能です。
詳しい受験資格については社会福祉振興・試験センターの資格取得ルート図をご確認ください。

受験手数料

第37回社会福祉士国家試験の受験手数料は以下のとおりです。

  • 社会福祉士のみ受験する場合:19,370円
  • 社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する場合:36,360円
    (社会福祉士16,840円、精神保健福祉士19,520円
  • 社会福祉士の共通科目免除により受験する場合:16,230円

出典:試験概要 社会福祉振興・試験センター

精神保健福祉士国家資格を持っている場合は、共通科目が免除となり受験料も安くなっています。

また、社会福祉士と精神保健福祉士は同時に受験することも可能で、精神保健福祉士の専門科目は前日の令和7年2月1日(土)に実施されます。

受験申込受付期間

第37回社会福祉士国家試験の受験申し込み受付は以下の通りです。

申込期間:令和6年9月5日(木)~10月4日(金)

過去に社会福祉士国家試験を受験し、受験資格の証明書を提出している場合はインターネットによる申し込みができます。

初めて受験する場合は『受験の手引き』を取り寄せ、受験資格を証明する書類を提出する必要があります

受付期間を過ぎると受験ができなくなるため、申し込みは早めに行うようにしましょう。

合格発表

第37回社会福祉士国家試験の合格発表日は以下の日程で行われる予定です。

合格発表日:令和7年3月4日(火)

社会福祉振興・試験センターのホームページにて合格者の受験番号が掲載されます。

令和7年3月7日(金)結果通知発送がされるので、社会福祉士登録を行いましょう。
試験に合格しても登録をしなければ社会福祉士を名乗ることはできないので、必ず登録するようにしてください

合格率

社会福祉士の合格率は30%程度と言われています。

難易度が下がる傾向にある、カリキュラム変更前の第35回と第36回の合格ラインは30%を大幅に超える合格率でしたが、新カリキュラムになる第37回の合格ラインは、例年どおり30%前後の合格率になることが予想されます

合格基準点

社会福祉士国家試験に合格するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

次の2つの条件を満たした者を合格者とする。

  1. 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
  2. ①を満たした者のうち、以下の6科目群(共通科目免除の場合は2科目群)全てで得点があること。
    [1]  医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
    [2]  社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
    [3]  地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉
    [4]  ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎
    [5]  高齢者福祉、児童・家庭福祉、貧困に対する支援、保健医療と福祉
    [6]  ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、福祉サービスの組織と経営

出典:出題基準・合格基準 社会福祉士振興・試験センター

今年度の問題数は129問なので、78問以上正解し、かつ全ての科目群で1問以上正解することが条件です。

過去の社会福祉士国家試験における合格率や基準点

過去5年の社会福祉士国家試験の合格率と合格基準点は以下のとおりです。

年度合格基準点合格率
2023年度90点以上(得点率60%)58.1%
2022年度90点以上(得点率60%)44.2%
2021年度105点以上(得点率70%)31.1%
2020年度93点以上(得点率62%)29.3%
2019年度88点以上(得点率58.7%)29.3%

出典:第36回社会福祉士国家試験の合格発表について 社会福祉振興・試験センター

社会福祉士国家試験の合格率は30%程度と言われていますが、2023年度は58.1%と過去最高の合格率となりました
2022年度も44.2%と30%を大きく上回る合格率となっています。

カリキュラム変更前は合格率を上げるために、試験の難易度が下がる傾向にあり、新カリキュラムの内容が反映される第37回社会福祉士国家試験に向けて合格率が上がったと思われます

カリキュラム変更後は、合格率が30%に戻る可能性が高いので、第37回社会福祉士国家試験の合格率は例年どおりになると予想されます。

合格基準点は総得点の60%を基本としながら、難易度によって補正されます。

例えば、2021年度は得点率70%以上の105点以上が合格基準点となっています。問題が簡単であれば合格基準点も上がる可能性が高いため、油断せずに集中して取り組みましょう。

社会福祉士国家試験の難易度は?

社会福祉士国家試験は福祉系の資格の中でも以下の理由から難易度の高い資格だと言われています。

  • 他の資格よりも合格率が低い
  • 出題範囲が広い
  • 問題の難易度が高い

同じ国家資格である介護福祉士や精神保健福祉士の合格率は70%程度なので、比べると社会福祉士国家試験に合格するのが難しいことが分かります。

社会福祉士国家試験の科目数は19科目と多く、内容も高齢や障害、社会保障や司法など幅広い分野から出題されます。
また、全ての分野で得点する必要があるため、苦手な分野もしっかりと勉強しなければいけないのです。
特に社会人になってから取得する場合は出題範囲全てを勉強する時間を取るのが難しく、資格取得のハードルが上がります。

社会福祉士国家試験の問題は基礎的なものだけではなく、応用問題や時には初めて聞くような用語が出てくるような難しいものもあります。
過去問を繰り返し解いて様々な問題形式に慣れておくことや、深く理解して応用問題にも対応できるように対策することが重要です。

社会福祉士国家試験の勉強方法

社会福祉士国家試験の勉強方法を紹介します。

社会福祉士国家試験に合格するために必要な勉強時間は300時間と言われており、計画的に進めていくことが重要です。
自分に合った方法を見つけてコツコツ勉強していきましょう。

過去問を解く

社会福祉士国家試験の勉強で過去問を解くのは非常に重要です。
過去問を繰り返し解くことで問題形式に慣れる出題の傾向を掴む、といったメリットがあります

直近のものだけではなく、過去数年分の過去問を解くことで数多くの問題に触れるようにしましょう

過去問を解くことは、自分の得意科目と苦手科目を把握することにも役立ち、効率的な学習につながります
苦手な科目はスキマ時間なども活用しながらコツコツと取り組み、確実に得点できるよう勉強していくと良いでしょう。

模擬試験を受ける

模擬試験を受けると、実際の試験の雰囲気を掴み、時間配分や現時点での自分の実力を知ることができます
模擬試験は全国各地で実施されているほか、オンラインで受験できるものもあるので、都合に合わせて探してみてください。

模擬試験で重要なのは、結果をその後の学習に活かすことです。
模擬試験の結果が悪かったからといって落ち込む必要はありません。
点が取れていない科目はどれか、時間配分はできていたかなどを振り返り、本番に向けて実力を伸ばしていけるようにしましょう。

通信講座

通信講座は独学に比べると費用はかかりますが、ポイントを絞った効率的な学習ができる点がメリットです。
また、分からないことをメールで質問できるサービスなどもあり、つまずきをすぐに解消でき、独学よりも挫折しにくい面もあります

特に、今年度は新カリキュラムでの試験となるため、カリキュラム変更に対応した勉強ができるメリットも大きいでしょう。

自分のペースで学習できることも通信講座のメリットですが、その分自分で計画的に進めていかなければ受験までに充分な学習ができない可能性もあります。

新カリキュラムでの社会福祉士国家試験の変更点

新カリキュラムが反映される第37回社会福祉士国家試験での変更点を解説します。
変更点を理解して試験対策に役立てましょう。

『地域福祉と包括的支援体制』の創設

第37回社会福祉士国家試験では、地域共生社会に関する科目として『地域福祉と包括的支援体制』が創設されています
『地域福祉と包括的支援体制』は、旧カリキュラムの「地域福祉の理論と方法」と「福祉行財政と福祉計画」を基に創設された科目で、以下の内容が出題基準となっています。

  1. 地域福祉の基本的な考え方
  2. 福祉行財政システム
  3. 福祉計画の意義と種類、策定と運用
  4. 地域社会の変化と多様化・複雑化した地域生活課題
  5. 地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制
  6. 地域共生社会の実現に向けた多機関協働
  7. 災害時における総合的かつ包括的な支援体制
  8. 地域福祉と包括的支援体制の課題と展望

出典:試験科目別出題基準

ソーシャルワークに関する科目の再構築

ソーシャルワークに関する科目では、旧カリキュラムでは専門科目であった「相談援助の基盤と専門職」と「相談援助の理論と方法」が、共通科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職」と「ソーシャルワークの理論と方法」そして専門科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)」と「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」に拡充されました。

共通科目では、社会福祉士と精神保健福祉士が共通で学ぶべきソーシャルワークの基礎が出題され、専門科目では、社会福祉士として、より専門的で実践的な内容が出題されます。

新科目『刑事司法と福祉』の創設

第37回社会福祉士国家試験で創設される『刑事司法と福祉』は、旧カリキュラムの「更生保護制度」を基にした新科目です。

「更生保護制度」は、社会福祉士の専門科目でしたが、『刑事司法と福祉』は社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目となっています

旧カリキュラムの「更生保護制度」を中心に、司法領域における社会福祉士の役割についての内容で、出題基準は以下のとおりです。

  • 刑事法における近年の動向とこれを取り巻く社会環境
  • 刑事司法
  • 少年司法
  • 更生保護制度
  • 医療観察制度
  • 犯罪被害者支援

出典:試験科目別出題基準

必要な実習時間の変更

新カリキュラムでは「実習及び演習の充実」という視点から、社会福祉士国家試験の受験資格に必要な実習時間が変更されています。
具体的には、旧カリキュラムでは1カ所で180時間だった実習時間が、新カリキュラムでは実習先は2カ所、時間は240時間となっています

これは、実践能力を有する社会福祉士を養成するために、多様な福祉ニーズや他機関協働などを学ぶことを目的としています

ただし、旧カリキュラムで、すでに確定した受験資格を持っている場合は、新たに実習にいく必要などはありません

問題数の変更

第37回社会福祉士国家試験では問題数は129問と、それまでの150問より21問少なくなっています
そのため合格基準点も前年度の90点から78点と下がります

しかし、合格基準点は試験の難易度によって補正されるため、より高い点数を目指すことが重要です。

総試験時間も225分となっていて、前年度まで240分よりも若干短くなっています

過去に社会福祉士国家試験を受験したことがある場合は、過去の時間配分と若干異なることも考えられます。
模擬試験を受けるなどして、新カリキュラムの問題数に慣れておくと安心ですね。

まとめ

第37回社会福祉士国家試験について解説しました。

2025年2月2日に実施される第37回社会福祉士国家試験では、新カリキュラムに対応した新しい科目の創設などもあるため、内容を確認してしっかりと対策していくことが重要です。

新カリキュラムでの試験ということで不安に感じる方も多いと思いますが、今回紹介した勉強方法を参考にコツコツ勉強を続けていけば合格に近づけるでしょう。

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