この記事の要点まとめ
  • 第36回社会福祉士国家試験の過去問を掲載中!
  • 第36回の合格点は90点以上(科目免除者は41点以上)総得点の60%程度の難易度。
  • 社会福祉士の試験勉強をしている方は過去問を解いて問題に慣れることが大事!

社会福祉士国家試験【2024年過去問】

人体の構造と機能及び疾病

問題 1:思春期に伴う心身の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. この時期の心理的特徴として、自意識に乏しいことが特徴である。
  2. 女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。
  3. 男子は、女子よりも早い時期から思春期が始まる。
  4. 身体の変化は緩徐な変化が多い。
  5. 第二次性徴という身体的な変化が始まる。

問題 2:国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 対象は障害のある人に限定されている。
  2. 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。
  3. 「活動」とは、生活・人生場面への関わりのことである。
  4. 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。
  5. その人の住居は「個人因子」の一つである。

問題 3:次のうち、疾病の予防に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 特定健康診査は一次予防である。
  2. 糖尿病予防教室は一次予防である。
  3. ワクチン接種は二次予防である。
  4. リハビリテーションは二次予防である。
  5. 胃がんの手術は三次予防である。

問題 4:次のうち、2021年(令和3年)における、がん(悪性新生物)の主な部位別にみた死亡数で女性の第1位として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 大腸がん
  2. 胃がん
  3. すい臓がん
  4. 乳がん
  5. 肺がん

問題 5:パーキンソン病の原因と症状に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

  1. 小脳の異常である。
  2. 脳内のドーパミンが増加して発症する。
  3. 安静時に震えが起こる。
  4. 筋固縮がみられる。
  5. 大股で歩行する。

問題 6:事例を読んで、Aさんの症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕 Aさん(55 歳)は、出勤途中に突然歩けなくなり、救急病院に運ばれた。 脳梗塞と診断され、治療とリハビリテーションを受けたが、左の上下肢に運動麻痺が残った。 左足の感覚が鈍く、足が床についているかどうか分かりにくい。歩行障害があり、室内は杖歩行又は伝い歩きをしている。 呂律が回らないことがあるが、会話、読み書き、計算は可能である。 食事は右手で箸を持って問題なく食べることができる。 尿便意はあるが、自分でトイレに行くのが難しいため、間に合わず失禁することがある。

  1. 失語症
  2. 対麻痺
  3. 感覚障害
  4. 嚥下(えんげ)障害
  5. 腎臓機能障害

問題 7:注意欠如・多動症(ADHD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 学童期の有病率はおよそ 20%とされている。
  2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。
  3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。
  4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では、 4歳以前に症状があることを診断基準としている。
  5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

心理学理論と心理的支援

問題 8:次の記述のうち、内発的動機づけとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 大学の入試の要件となっているため、英語外部検定を受検した。
  2. 叱責されないように、勉強に取り掛かった。
  3. 授業中、寒いので、窓を閉めた。
  4. お腹が減ったので、席を立って食事に行った。
  5. 投資に偶然興味を持ったので、勉強した。

問題 9:次の記述のうち、性格特性の 5 因子モデル(ビッグファイブ)の 1 つである外向性の特徴として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ささいなことで落ち込みやすい。
  2. 新しいことに好奇心を持ちやすい。
  3. 他者に対して親切である。
  4. 他者との交流を好む。
  5. 責任感があり勤勉である。

問題 10:集団における行動に関する次の記述のうち、傍観者効果の事例として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 作業をするときに見学者がいることで、一人で行うよりも作業がはかどった。
  2. 革新的な提案をチームで議論したが、現状を維持して様子を見ようという結論になってしまった。
  3. 路上でケガをしたために援助を必要とする人の周囲に大勢の人が集まったが、誰も手助けしようとしなかった。
  4. チームで倉庫の片付けに取り組んだが、一人ひとりが少しずつ手抜きをした結果、時間までに作業が完了せず、残業になってしまった。
  5. リーダーがチームの目標達成を重視しすぎることで、チームの友好的な雰囲気が損なわれ、チームワークに関心がないメンバーが増えてしまった。

問題 11:子どもの発達に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 共同注意とは、他者との友情を構築することを示す。
  2. 初語を発する時期になると、喃語(なんご)が生起する。
  3. 社会的参照は、新奇な対象に会った際に、養育者などの表情を手掛かりにして行動を決める現象である。
  4. アニミズムとは、自分や他者の行動を予測し、説明する力を指す。
  5. 物体が隠れていても存在し続けるという「対象の永続性」は、 3 歳以降に理解できるようになる。

問題 12:次の記述のうち、問題焦点型ストレス対処法(コーピング)の事例として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 介護ストレスを解消してもらおうと、介護者に気晴らしを勧めた。
  2. 困難事例に対応できなかったので、専門書を読んで解決方法を勉強した。
  3. 仕事がうまくはかどらなかったので、週末は映画を観てリラックスした。
  4. 育児に悩む母親が、友人に話を聞いてもらえて気分がすっきりしたと話した。
  5. 面接がうまくいかなかったので、職場の同僚に相談し、ねぎらってもらった。

問題 13:心理検査に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。
  2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。
  3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。
  4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。
  5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

問題 14:心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。
  2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。
  3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。
  4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。
  5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

社会理論と社会システム

問題 15:次の記述のうち、ヴェーバー(Weber, M.)の合法的支配における法の位置づけとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 法は、被支配者を従わせ、超人的な支配者の権力を貫徹するための道具である。
  2. 法は、伝統的に継承されてきた支配体制を正当化するための道具である。
  3. 法は、支配者の恣意的な判断により定められる。
  4. 法は、神意や事物の本性によって導き出される。
  5. 法は、万民が服さなければならないものであり、支配者も例外ではない。

問題 16:社会変動の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。
  2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
  3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。
  4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。
  5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

問題 17:「令和 4 年版男女共同参画白書」(内閣府)に示された近年の家族の動向に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 2020 年(令和 2 年)において、全婚姻件数における再婚件数の割合は 40 %を超えている。
  2. 家事、育児における配偶者間の負担割合について、「配偶者と半分ずつ分担した
  3. 20 代の男性、女性ともに 50 %以上が、「配偶者はいないが恋人はいる」と回答している。
  4. 2021 年(令和 3 年)において、妻が 25~34 歳の「夫婦と子供から成る世帯」のうち、妻が専業主婦である世帯の割合は、50 %を超えている。
  5. 子供がいる現役世帯のうち、「大人が一人」の世帯の世帯員の 2018 年(平成 30 年)における相対的貧困率は、30 %を下回っている。

問題 18:次の記述のうち、人々の生活を捉えるための概念の説明として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 生活時間とは、個々人の人生の横断面に見られる生活の様式や構造、価値観を捉える概念である。
  2. ライフステージとは、生活主体の主観的状態に注目し、多面的、多角的に生活の豊かさを評価しようとする概念である。
  3. 生活の質とは、時間的周期で繰り返される労働、休養、休暇がどのように配分されているかに注目する概念である。
  4. 家族周期とは、結婚、子どもの出生、配偶者の死亡といったライフイベントの時間的展開の規則性を説明する概念である。
  5. ライフスタイルとは、出生から死に至るまでの人の生涯の諸段階を示す概念である。

問題 19:社会的役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 役割距離とは、個人が他者からの期待を自らに取り入れ、行為を形成することを指す。
  2. 役割取得とは、個人が他者との相互行為の中で相手の期待に変容をもたらすことで、既存の役割期待を超えた新たな行為が展開することを指す。
  3. 役割葛藤とは、個人が複数の役割を担うことで、役割の間に矛盾が生じ、個人の心理的緊張を引き起こすことを指す。
  4. 役割期待とは、個人が他者からの期待と少しずらした形で行為をすることで、自己の主体性を表現することを指す。
  5. 役割形成とは、個人が社会的地位に応じた役割を果たすことを他者から期待されることを指す。

問題 20:次の記述のうち、ハーディン(Hardin, G.)が提起した「共有地の悲劇」に関する説明として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 協力してお互いに利益を得るか、相手を裏切って自分だけの利益を得るか、選択しなければならない状況を指す。
  2. 財やサービスの対価を払うことなく、利益のみを享受する成員が生まれる状況を指す。
  3. 協力的行動を行うと報酬を得るが、非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指す。
  4. それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果、全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指す。
  5. 本来、社会で広く共有されるべき公共財へのアクセスが、特定の成員に限られている状況を指す。

問題 21:次の記述のうち、ラベリング論の説明として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。
  2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。
  3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。
  4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。
  5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

現代社会と福祉

問題 22:次の記述のうち、近年の政府による福祉改革の基調となっている「地域共生社会」の目指すものに関する内容として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 老親と子の同居を我が国の「福祉における含み資産」とし、その活用のために高齢者への所得保障と、同居を可能にする住宅等の諸条件の整備を図ること。
  2. 「地方にできることは地方に」という理念のもと、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直しを一体のものとして進めること。
  3. 普遍性・公平性・総合性・権利性・有効性の五つの原則のもと、社会保障制度を整合性のとれたものにしていくこと。
  4. 行政がその職権により福祉サービスの対象者や必要性を判断し、サービスの種類やその提供者を決定の上、提供すること。
  5. 制度・分野ごとの縦割りや、支え手・受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が我が事として参画すること等で、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていくこと。

問題 23:福祉に関わる思想や運動についての次の記述のうち、最も適切なものを 1つ選びなさい。

  1. バーリン(Berlin, I.)のいう積極的自由とは、自らの行為を妨げる干渉などから解放されることで実現する自由を意味する。
  2. ポジティブ・ウェルフェアは、人々の福祉を増進するために、女性参政権の実現を中心的な要求として掲げる思想である。
  3. 1960 年代のアメリカにおける福祉権運動の主たる担い手は、就労支援プログラムの拡充を求める失業中の白人男性たちであった。
  4. フェビアン社会主義は、ウェッブ夫妻(Webb, S. & B.)などのフェビアン協会への参加者が唱えた思想であり、イギリス福祉国家の形成に影響を与えた。
  5. コミュニタリアニズムは、家族や地域共同体の衰退を踏まえ、これらの機能を市場と福祉国家とによって積極的に代替するべきだとする思想である。

問題 24:福祉政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。
  2. マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。
  3. ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。
  4. フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。
  5. ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。

問題 25:近代日本において活躍した福祉の先駆者に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 石井十次は岡山孤児院を設立した。
  2. 山室軍平は家庭学校を設立した。
  3. 留岡幸助は救世軍日本支部を設立した。
  4. 野口幽香は滝乃川学園を設立した。
  5. 石井 亮一は二葉幼稚園を設立した。

問題 26:福祉六法の制定時点の対象に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1つ選びなさい。

  1. 児童福祉法(1947 年(昭和 22 年))は、戦災によって保護者等を失った満 18 歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。
  2. 身体障害者福祉法(1949 年(昭和 24 年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。
  3. (新)生活保護法(1950 年(昭和 25 年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。
  4. 老人福祉法(1963 年(昭和 38 年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。
  5. 母子福祉法(1964 年(昭和 39 年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

問題 27:福祉のニーズとその充足に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ジャッジ(Judge, K.)は、福祉ニーズを充足する資源が不足する場合に、市場メカニズムを活用して両者の調整を行うことを割当(ラショニング)と呼んだ。
  2. 「ウルフェンデン報告(Wolfenden Report)」は、福祉ニーズを充足する部門を、インフォーマル、ボランタリー、法定(公定)の三つに分類した。
  3. 三浦文夫は、日本における社会福祉の発展の中で、非貨幣的ニーズが貨幣的ニーズと並んで、あるいはそれに代わって、社会福祉の主要な課題になると述べた。
  4. ブラッドショー(Bradshaw, J.)は、サービスの必要性を個人が自覚したニーズの類型として、「規範的ニード」を挙げた。
  5. フレイザー(Fraser, N.)は、ニーズの中身が、当事者によってではなく、専門職によって客観的に決定されている状況を、「必要解釈の政治」と呼んだ。

(注)「ウルフェンデン報告」とは、1978 年にイギリスのウルフェンデン委員会が発表した報告書「The Future of Voluntary Organisations」のことである。

問題 28:生活困窮者自立支援法の目的規定に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。

  1. 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
  2. すべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
  3. 尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い、生活困窮者の自立の促進を図ること。
  4. 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
  5. 社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。

問題 29:日本における人口の動向に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 第二次世界大戦後、1940 年代後半、1970 年代前半、2000 年代後半の 3 回のベビーブームを経験した。
  2. 15~64 歳の生産年齢人口は、高度経済成長期から 1990 年代後半まで減少を続け、以後は横ばいで推移している。
  3. 「『日本の将来推計人口』における中位推計」では、65 歳以上の老年人口は 2025年頃に最も多くなり、以後は緩やかに減少すると予想されている。
  4. 「2021 年の人口推計」において、前年に比べて日本人人口が減少した一方、外国人人口が増加したため、総人口は増加した。
  5. 1970 年代後半以降、合計特殊出生率は人口置換水準を下回っている。

(注)1  「『日本の将来推計人口』における中位推計」とは、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成 29 年推計)」における、出生中位(死亡中位)の推計値を指す。

(注)2  「2021 年の人口推計」とは、総務省「人口推計 2021 年(令和 3 年)10 月 1 日現在」における推計値を指す。

問題 30:福祉サービスの利用に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 社会福祉法は、社会福祉事業の経営者に対し、常に、その提供する福祉サービスの利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないと規定している。
  2. 社会福祉法は、社会福祉事業の経営者が、福祉サービスの利用契約の成立時に、利用者へのサービスの内容や金額等の告知を、書面の代わりに口頭で行っても差し支えないと規定している。
  3. 福祉サービスを真に必要とする人に、資力調査を用いて選別主義的に提供すると、利用者へのスティグマの付与を回避できる。
  4. 福祉サービス利用援助事業に基づく福祉サービスの利用援助のために、家庭裁判所は補助人・保佐人・後見人を選任しなければならない。
  5. 福祉サービスの利用者は、自らの健康状態や財力等の情報を有するため、サービスの提供者に比べて相対的に優位な立場で契約を結ぶことができる。

問題 31:男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 常時雇用する労働者数が 101 人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
  2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
  3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
  4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
  5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

地域福祉の理論と方法

問題 32:地域福祉の基礎的な理念や概念に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。
  2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。
  3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
  4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。
  5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

問題 33:地域福祉における多様な参加の形態に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 特定非営利活動法人は、市民が行うボランティア活動を促進することを目的としており、収益を目的とする事業を行うことは禁止されている。
  2. 社会福祉法に規定された市町村地域福祉計画を策定又は変更する場合には、地域住民等の意見を反映させるように努めなければならないとされている。
  3. 重層的支援体制整備事業における参加支援事業は、ひきこもり状態にある人の就職を容易にするため、住居の確保に必要な給付金を支給する事業である。
  4. 共同募金の募金実績総額は、1990 年代に減少に転じたが、2000 年(平成 12 年)以降は一貫して増加している。
  5. 市民後見人の養成は、制度に対する理解の向上を目的としているため、家庭裁判所は養成された市民を成年後見人等として選任できないとされている。

問題 34:地域共生社会の実現に向けた、厚生労働省の取組に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 2015 年(平成 27 年)の「福祉の提供ビジョン」において、重層的支援体制整備事業の整備の必要性が示された。
  2. 2016 年(平成 28 年)の「地域力強化検討会」の中間とりまとめにおいて、初めて地域包括ケアシステムが具体的に明示された。
  3. 2017 年(平成 29 年)の「地域力強化検討会」の最終とりまとめにおいて、縦割りの支援を当事者中心の「丸ごと」の支援とする等の包括的な支援体制の整備の必要性が示された。
  4. 2018 年(平成 30 年)の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」において、社会福祉士は特定の分野の専門性に特化して養成すべきであると提言された。
  5. 2019 年(令和元年)の「地域共生社会推進検討会」の最終とりまとめにおいて、生活困窮者自立支援法の創設の必要性が示された。

(注)1  「福祉の提供ビジョン」とは、「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現―新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン―」のことである。

(注)2  「地域力強化検討会」とは、「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」のことである。

(注)3  「地域共生社会推進検討会」とは、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」のことである。

問題 35:事例を読んで、自立相談支援機関のB主任相談支援員(社会福祉士)がこの時点で検討する支援として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

Cさん(30 歳代、男性)は、60 歳代の両親と同居している。終日、自室でオンラインゲームをして過ごしており、10 年以上ひきこもりの状態にある。父親はいくつかの仕事を転々としてきたが、65 歳で仕事を辞め、その後は主に基礎年金で生活をしているため、経済的にも困窮している様子である。また、母親は長年にわたるCさんとの関係に疲れており、それを心配した民生委員が、生活困窮者自立支援 制度の相談機関を紹介したところ、母親は自立相談支援機関に来所し、B主任相談支援員にCさんのことを相談した。

  1. ひきこもりの人に配慮された居場所が、地域のどこにあるかを調べ、Cさんにその場所と事業・活動を紹介する。
  2. まずはCさんが抱える心理的な課題に絞ってアセスメントを行い、支援計画を作成する。
  3. 福祉専門職による支援だけでなく、当事者や経験者が行うピアサポートや、ひきこもりの家族会などの情報を母親に提供する。
  4. 手紙やメール等を用いた支援は不適切であるため行わず、直接、Cさんと対面して支援する。
  5. 地域の支援関係者間で早期に支援を行うため、Cさんの同意を取る前に、支援調整会議で詳細な情報を共有する。

問題 36:次のうち、社会福祉法に規定されている地域福祉に関する記述として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 2017 年(平成 29 年)の社会福祉法改正において、「地域福祉の推進」の条文が新設された。
  2. 市町村社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターを整備しなければならない。
  3. 地域住民等は市町村からの指導により、地域福祉の推進に努めなければならない。
  4. 重層的支援体制整備事業は、参加支援、地域づくりに向けた支援の二つで構成されている。
  5. 市町村は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。

問題 37:地域福祉の推進に向けた役割を担う、社会福祉法に規定される市町村地域福祉計画に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 市町村地域福祉計画では、市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画をもって、地域福祉計画とみなすことができる。
  2. 市町村地域福祉計画の内容は、市町村の総合計画に盛り込まれなければならないとされている。
  3. 市町村地域福祉計画では、市町村は策定した計画について、定期的に調査、分析及び評価を行うよう努めるとされている。
  4. 市町村地域福祉計画は、他の福祉計画と一体で策定できるように、計画期間が法文上定められている。
  5. 市町村地域福祉計画は、2000 年(平成 12 年)の社会福祉法への改正によって策定が義務化され、全ての市町村で策定されている。

問題 38:社会福祉法に規定される共同募金に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 災害に備えるため準備金を積み立て、他の共同募金会に拠出することができる。
  2. 共同募金を行うには、あらかじめ都道府県の承認を得て、その目標額を定める。
  3. 共同募金を行う事業は第二種社会福祉事業である。
  4. 市町村を区域として行われる寄附金の募集である。
  5. 募金方法別実績で最も割合が高いのは街頭募金である。

問題 39:災害時における支援体制に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 災害対策基本法は、国及び地方公共団体が、ボランティアによる防災活動を監督し、その指揮命令下で活動するよう指導しなければならないと規定している。
  2. 災害対策基本法は、市町村長が避難行動要支援者ごとに、避難支援等を実施するための個別避難計画を作成するよう努めなければならないと規定している。
  3. 災害対策基本法は、本人が同意している場合でも、市町村長が作成した避難行動要支援者の名簿情報を避難支援等関係者に提供してはならないと規定している。
  4. 「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(2021 年(令和 3 年)改定(内閣府))は、福祉避難所は社会福祉施設でなければならないとしている。
  5. 「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」(厚生労働省)は、国が主に福祉避難所において、災害時要配慮者の福祉支援を行う災害派遣福祉チームを組成するとしている。

問題 40:地域福祉におけるネットワーキングに関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 地域介護予防活動支援事業は、市町村が介護保険の第二号被保険者に対して、介護予防の活動を行うために、地域住民とネットワークを構築して取り組むものである。
  2. 被災者見守り・相談支援事業では、復興公営住宅の居住者を対象として、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)が見守りを中心としたネットワークを構築し、支援を行う。
  3. 社会福祉法人による「地域における公益的な取組」は、社会福祉充実残額が生じた場合に、社会福祉法人がネットワークを構築して取り組むものである
  4. 介護保険の生活支援・介護予防サービスの体制整備に向けて、都道府県は、協議体を定期的な情報共有のネットワークの場として設置している。
  5. ひきこもり地域支援センター事業では、地域の多様な関係機関で構成される連絡協議会を設置する等、ネットワークづくりに努めるとされている。

問題 41:事例を読んで、会議に向けたD社会福祉士の方針に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

独立型社会福祉士事務所のD社会福祉士は、一人暮らしのEさん(85 歳、女性、要介護 1 、身寄りなし)の保佐人を務めている。Eさんが熱中症の症状で入院することになった際、担当介護支援専門員からEさんの退院後の支援方針について会議を持ちたいと提案があった。担当介護支援専門員は、Eさんは認知機能の低下もあり、単身生活に不安を表明する近隣住民もおり、今後の本人の安全も考えるとサー ビス付き高齢者向け住宅への転居を検討すべきではないかと話している。また、長年見守りを続け、Eさんが信頼を寄せるF民生委員は、「本人の思いを尊重したい」と述べている。

  1. Eさんの最善の利益を実現するため、Eさんにサービス付き高齢者向け住宅への転居を促す。
  2. Eさんにとって危険な状況であるため、緊急的な措置入所の可能性を検討する。
  3. Eさんの意思を尊重するため、専門職を中心に自宅で暮らし続ける方法を検討する。
  4. Eさんが思いを表明しやすくするため、Eさんが信頼するF民生委員に会議に同席してもらう。
  5. Eさんは認知機能の低下が見込まれるため、会議ではEさんや関係者で判断せず、かかりつけ医の判断に委ねる。

福祉行財政と福祉計画

問題 42:次のうち、厚生労働省に設置されているものについて、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 子ども・子育て会議
  2. 障害者政策委員会
  3. 中央防災会議
  4. 孤独・孤立対策推進会議
  5. 社会保障審議会

問題 43:次のうち、福祉行政における、法に規定された都道府県知事の役割として、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 介護保険法に規定される居宅介護サービス費の請求に関し不正があったときの指定居宅サービス事業者の指定の取消し又は効力の停止
  2. 老人福祉法に規定される養護老人ホームの入所の措置
  3. 子ども・子育て支援法に規定される地域子ども・子育て支援事業に要する費用の支弁
  4. 社会福祉法に規定される共同募金事業の実施
  5. 「障害者総合支援法」に規定される自立支援給付の総合的かつ計画的な実施

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

問題 44:「令和 4 年版地方財政白書」(総務省)に示された民生費に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 民生費の歳出純計決算額の累計額を比べると、都道府県は市町村より多い。
  2. 民生費の目的別歳出の割合は、都道府県では生活保護費が最も高い。
  3. 民生費の目的別歳出の割合は、市町村では児童福祉費が最も高い。
  4. 民生費の性質別歳出の割合は、都道府県では人件費が最も高い。
  5. 民生費の性質別歳出の割合は、市町村では補助費等が最も高い。

問題 45:社会福祉に係る法定の機関・施設の設置に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 都道府県は、地域包括支援センターを設置しなければならない。
  2. 指定都市(政令指定都市)は、児童相談所を設置しなければならない。
  3. 中核市は、精神保健福祉センターを設置しなければならない。
  4. 市は、知的障害者更生相談所を設置しなければならない。
  5. 町村は、福祉事務所を設置しなければならない。

問題 46:次のうち、都道府県地域福祉支援計画に関して社会福祉法に明記されている事項として、正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
  2. 重層的支援体制整備事業の提供体制に関する事項
  3. 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
  4. 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項
  5. 厚生労働大臣が指定する福利厚生センターの業務に関する事項

問題 47:次のうち、法律で市町村に策定が義務づけられている福祉に関連する計画として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく高齢者居住安定確保計画
  2. 健康増進法に基づく市町村健康増進計画
  3. 自殺対策基本法に基づく市町村自殺対策計画
  4. 再犯の防止等の推進に関する法律に基づく地方再犯防止推進計画
  5. 成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画

問題 48:次のうち、法律に基づき、福祉計画で定める事項として、正しいものを 1つ選びなさい。

  1. 都道府県介護保険事業支援計画における地域支援事業の見込み量
  2. 都道府県障害者計画における指定障害者支援施設の必要入所定員総数
  3. 市町村子ども・子育て支援事業計画における地域子ども・子育て支援事業に従事する者の確保及び資質の向上のために講ずる措置に関する事項
  4. 市町村障害福祉計画における障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関する事項
  5. 市町村老人福祉計画における老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置に関する事項

社会保障

問題 49:「国立社会保障・人口問題研究所の人口推計」に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 2020 年から 2045 年にかけて、 0 ~14 歳人口は増加する。
  2. 2020 年から 2045 年にかけて、高齢化率は上昇する。
  3. 2020 年から 2045 年にかけて、15~64 歳人口は増加する。
  4. 65 歳以上人口は、2045 年には 5,000 万人を超えている。
  5. 2020 年から 2045 年にかけて、総人口は半減する。

(注)「国立社会保障・人口問題研究所の人口推計」とは、「日本の将来推計人口(令和5 年推計)」の出生中位(死亡中位)の仮定の場合を指す。

問題 50:出産・育児に係る社会保障の給付等に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 「産前産後期間」の間は、国民年金保険料を納付することを要しない。
  2. 出産育児一時金は、産前産後休業中の所得保障のために支給される。
  3. 育児休業給付金は、最長で子が 3 歳に達するまで支給される。
  4. 児童手当の費用は、国と地方自治体が折半して負担する。
  5. 児童扶養手当の月額は、第 1 子の額よりも、第 2 子以降の加算額の方が高い。

(注)「産前産後期間」とは、国民年金の第 1 号被保険者の出産予定日又は出産日が属する月の前月から 4 か月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の 3 月前から 6 か月間)を指す。

問題 51:社会保険の負担に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 国民年金の第 1 号被保険者の月々の保険料は、その月の収入に応じて決まる。
  2. 介護保険の保険料は、都道府県ごとに決められる。
  3. 後期高齢者医療の保険料は、全国一律である。
  4. 障害基礎年金を受給しているときは、国民年金保険料を納付することを要しない。
  5. 国民健康保険の保険料は、世帯所得にかかわらず、定額である。

問題 52:事例を読んで、Hさんに支給される社会保障給付として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Hさん(45 歳)は、妻と中学生の子との 3 人家族だったが、先日、妻が業務上の事故によって死亡した。Hさんは、数年前に、持病のためそれまで勤めていた会社を退職し、それ以来、無職、無収入のまま民間企業で働く妻の健康保険の被扶養者 になっていた。

  1. 国民年金法に基づく死亡一時金
  2. 厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金
  3. 国民年金法に基づく遺族基礎年金
  4. 健康保険法に基づく埋葬料
  5. 労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金

問題 53:労働保険に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 労働者災害補償保険の療養補償給付を受ける場合、自己負担は原則 1 割である。
  2. 労働者災害補償保険は、政府が管掌する。
  3. 日雇労働者は、雇用保険の適用除外とされている。
  4. 雇用保険の失業等給付の保険料は、その全額を事業主が負担する。
  5. 教育訓練給付は、雇用保険の被保険者ではなくなった者には支給されない。

問題 54:事例を読んで、障害者の所得保障制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Jさんは、以前休日にオートバイを運転して行楽に出かける途中、誤ってガードレールに衝突する自損事故を起こし、それが原因で、その時から障害基礎年金の1 級相当の障害者となった。現在は 30 歳で、自宅で電動車いすを利用して暮らしている。

  1. Jさんの障害の原因となった事故が 17 歳の時のものである場合は、20 歳以降に障害基礎年金を受給できるが、Jさんの所得によっては、その一部又は全部が停止される可能性がある。
  2. Jさんの障害の原因となった事故が 25 歳の時のものであった場合は、年金制度への加入歴が定められた期間に満たないので、障害基礎年金を受給できない。
  3. Jさんの障害の原因となった事故が雇用労働者であった時のものである場合は、労働者災害補償保険の障害補償給付を受けられる。
  4. Jさんに未成年の子がある場合は、Jさんは特別障害者手当を受給できる。
  5. Jさんが障害の原因となった事故を起こした時に、健康保険の被保険者であった場合は、給与の全額に相当する傷病手当金を継続して受給することができる。

問題 55:老齢基礎年金に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 老齢基礎年金は、受給者の選択により 55 歳から繰り上げ受給をすることができる。
  2. 老齢基礎年金は、保険料納付済期間が 25 年以上なければ、受給することができない。
  3. 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、どちらか一方しか受給することができない。
  4. 老齢基礎年金は、支給開始時に決められた額が死亡時まで変わらずに支給される。
  5. 老齢基礎年金の年金額の算定には、保険料免除を受けた期間の月数が反映される。

障害者に対する支援と障害者自立支援制度

問題 56:障害者等の法律上の定義に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 「障害者虐待防止法」における障害者とは、心身の機能の障害がある者であって、虐待を受けたものをいう。
  2. 「障害者総合支援法」における障害者の定義では、難病等により一定の障害がある者を含む。
  3. 知的障害者福祉法における知的障害者とは、知的障害がある者であって、都道府県知事から療育手帳の交付を受けたものをいう。
  4. 発達障害者支援法における発達障害者とは、発達障害がある者であって、教育支援を必要とするものをいう。
  5. 児童福祉法における障害児の定義では、障害がある者のうち、20 歳未満の者をいう。

(注)1  「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

(注)2  「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

問題 57:障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

  1. 1949 年(昭和 24 年)に制定された身体障害者福祉法では、障害者福祉の対象が生活困窮者に限定された。
  2. 1987 年(昭和 62 年)に精神衛生法が精神保健法に改正され、保護者制度が廃止された。
  3. 2004 年(平成 16 年)に改正された障害者基本法では、障害者に対する差別の禁止が基本理念として明文化された。
  4. 2005 年(平成 17 年)に制定された障害者自立支援法では、利用者負担は所得に応じた応能負担が原則となった。
  5. 2011 年(平成 23 年)に障害者基本法が改正され、法律名が心身障害者対策基本法に改められた。

問題 58:「障害者総合支援法」における指定特定相談支援事業所の相談支援専門員の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、サービス等利用計画案を作成する。
  2. 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して個別支援計画を作成し、従業者に対して、技術指導、助言を行う。
  3. 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護等を行う。
  4. 一般就労を希望する障害者に対して、就業面と生活面の一体的な相談、支援を行う。
  5. 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、支給決定を行う。

問題 59:「障害者総合支援法」による自立支援医療に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 自立支援医療の種類には、更生医療が含まれる。
  2. 自立支援医療の種類にかかわらず、支給認定は都道府県が行う。
  3. 利用者の自己負担割合は、原則として 3 割である。
  4. 精神通院医療では、精神障害者保健福祉手帳の所持者以外は支給対象とならない。
  5. 利用者は、自立支援医療を利用する場合には、自由に医療機関を選択できる。

問題 60:事例を読んで、V相談支援事業所のK相談支援専門員がこの段階で紹介する障害福祉サービスとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Lさん(30 歳、統合失調症)は、週 1 回の精神科デイケアを利用している。Lさんは、過去に何度かアルバイトをしたことはあるが、症状の再燃により、短期間で辞めていた。最近になって、症状が改善し、生活リズムも安定したことから、将来を見据えて一般就労を希望するようになった。ただし、自分の能力や適性がわからないため、不安が強い。Lさんの相談を受けたK相談支援専門員は、障害福祉サービスを紹介することにした。

  1. 就労継続支援A型
  2. 就労継続支援B型
  3. 就労移行支援
  4. 就労定着支援
  5. 職場適応援助者(ジョブコーチ)

問題 61:「障害者総合支援法」における障害支援区分に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 障害支援区分に係る一次判定の認定調査の項目は全国一律ではなく、市町村独自の項目を追加してもよい。
  2. 障害支援区分の認定は、都道府県が行うものとされている。
  3. 市町村は、認定調査を医療機関に委託しなければならない。
  4. 障害支援区分として、区分 1 から区分 6 までがある。
  5. 就労継続支援A型に係る支給決定においては、障害支援区分の認定を必要とする。

問題 62:事例を読んで、M相談支援専門員(社会福祉士)がこの段階で行う支援として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

軽度の知的障害があるAさん(22 歳)は、両親と実家で暮らしている。特別支援学校高等部を卒業後、地元企業に就職したが職場に馴染めず 3 か月で辞めてしまい、その後、自宅に引きこもっている。最近、Aさんは学校時代の友人が就労継続支援B型を利用していると聞き、福祉的就労に関心を持ち始めた。Aさんと両親は、市の相談窓口で紹介されたW基幹相談支援事業所に行き、今後についてM相談支援専門員に相談した。

  1. 友人と自分を比べると焦りが生じるため、自身の将来に集中するように助言する。
  2. 一般企業で働いた経験があるので、再度、一般就労を目指すよう励ます。
  3. 地域にある就労継続支援B型の体験利用をすぐに申し込むよう促す。
  4. Aさん自身がどのような形の就労を望んでいるかAさんの話を十分に聞く。
  5. Aさんの日常生活の状況や就労の希望について、両親にも確認する。

低所得者に対する支援と生活保護制度

問題 63:生活保護法に関する次の記述のうち、正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 保護が実施機関の職権によって開始されることはない。
  2. 保護は、生活困窮に陥った原因に基づいて決定される。
  3. 最低限度の生活を保障することを目的としている。
  4. 自立の見込みがあることを要件として、保護を受けることができる。
  5. 自立を助長することを目的としている

問題 64:事例を読んで、生活保護法の定める内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

単身で 2 LDKの賃貸マンション暮らしのBさん(44 歳)は、建設業に従事していたが半年前に自宅で骨折をして仕事を続けられなくなり、退職した。Bさんには遠く離れた故郷に父親(75 歳)がいるが、父親も生活に余裕がない。Bさんは生活費が底をつき、生活保護を受給し、リハビリに励むこととなった。その後Bさんはリハビリが終わり、医師から軽労働なら就労できる状態だと診断された。求職活動 をしたものの、年齢や技能の関係で仕事は見つかっていない。そこでBさんは今よりもう少し安い家賃のアパートに移ろうかと考えている。

  1. 就労に必要な技能修得の費用が生業扶助から支給される。
  2. アパートに転居する際の敷金が生活扶助から支給される。
  3. 父親から仕送りを受けると、その金額の多寡にかかわらず保護は廃止される。
  4. 医師から就労できる状態だと診断された時点で、保護は廃止される。
  5. 父親は後期高齢者であるため、Bさんを扶養する義務はない

問題 65:生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 生活扶助の第 1 類の経費は、世帯共通の費用とされている。
  2. 住宅扶助には、住宅の補修その他住宅の維持のために必要な経費が含まれる。
  3. 介護扶助には、介護保険の保険料が含まれる。
  4. 医療扶助によって、入院中の被保護者に対して入院患者日用品費が支給される。
  5. 出産扶助は、原則として現物給付によって行われる

問題 66:生活保護制度における都道府県及び都道府県知事の役割や権限に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 都道府県は、福祉事務所を任意に設置できる。
  2. 都道府県知事は、地域の実情を踏まえて生活保護法上の保護基準を変更することができる。
  3. 都道府県は、町村が福祉事務所を設置する場合、その保護費の一部を負担する。
  4. 都道府県知事は、保護施設の設備及び運営について、基準を定めるよう努めることとされている。
  5. 都道府県知事は、生活保護法に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる

問題 67:事例を読んで、Cさんが生活福祉資金貸付制度を利用する場合の内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Cさん(50 歳)は、R市で一人暮らしをしていたが、会社が倒産し、無職となった。雇用保険(基本手当)の給付を受けていたが、受給期間終了後も再就職先が見つからず、生活が苦しくなったので生活福祉資金貸付制度の総合支援資金を利用したいと思い、R市の社会福祉協議会に相談に訪れた。

  1. 貸付を受けるためには、連帯保証人が必須となる。
  2. 貸付金の償還が免除されることはない。
  3. 離職理由によって、最終貸付日から返済が開始されるまでの据置期間が異なる。
  4. 借入れの申込み先は、R市の福祉事務所である。
  5. 資金の貸付けを受ける場合には、必要な相談支援を受けることが求められる

問題 68:事例を読んで、生活困窮者自立相談支援機関のD相談支援員(社会福祉士)が提案する自立支援計画案の内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Eさん(50 歳)は、実家で両親と 3 人暮らしである。両親はともに 80 代で、実家は持ち家だが他に資産はなく、一家は両親の老齢基礎年金で生活している。Eさんは大学卒業後、出身地の会社に就職したが人間関係がこじれて 5 年前に退職し、その後は定職に就かず、実家でひきこもり状態である。Eさんの状況を両親が心配し、またEさん自身もこの状況をどうにかしたいと考えて、Eさんは両親とともに生活困窮者自立相談支援機関に来所した。D相談支援員は、アセスメントを経て、Eさんに今後の支援内容を提案した。

  1. 社会福祉協議会での被保護者就労支援事業の利用
  2. 公共職業安定所(ハローワーク)での生活困窮者就労準備支援事業の利用
  3. 認定事業者での生活困窮者就労訓練の利用
  4. 地域若者サポートステーションでの「求職者支援制度」の利用
  5. 生活保護法に基づく授産施設の利用

(注)「求職者支援制度」とは、職業訓練の実施等による特定求職者の就職に関する法律(求職者支援法)に基づく制度のことである

問題 69:「ホームレスの実態に関する全国調査」(厚生労働省)に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 概数調査によれば、全国のホームレス数は 2022 年に比べて増加している。
  2. 概数調査によれば、性別人数では男性より女性が多数を占めている。
  3. 生活実態調査によれば、ホームレスの平均年齢は 2016 年調査に比べて低下している。
  4. 生活実態調査によれば、路上生活期間「10 年以上」は 2016 年調査に比べて増加している。
  5. 生活実態調査によれば、「生活保護を利用したことがある」と回答した人は全体の約 7 割程度である。

(注)「ホームレスの実態に関する全国調査」(厚生労働省)とは、「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)」(2023 年(令和 5 年))及び「ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)」(2021 年(令和 3 年))を指している

保健医療サービス

問題 70:公的医療保険における一部負担金に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。

  1. 療養の給付に要した費用の一部負担金の割合は、一律 3 割である。
  2. 被用者保険に加入中の生活保護の被保護者は、一部負担金のみが医療扶助の対象となる。
  3. 正常な分娩による出産費用の一部負担金の割合は、 3 割である。
  4. 1 か月の医療費の一部負担金が限度額を超えた場合、保険外併用療養費制度により払戻しが行われる。
  5. 入院時の食事提供の費用は、全額自己負担である。

問題 71:「令和 2(2020)年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に示された日本の医療費に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 国民医療費の総額は 40 兆円を超えている。
  2. 人口一人当たりの国民医療費は 60 万円を超えている。
  3. 国民医療費に占める薬局調剤医療費の割合は、入院医療費の割合よりも高い。
  4. 国民医療費の財源に占める公費の割合は、保険料の割合よりも高い。
  5. 国民医療費に占める歯科診療医療費の割合は、入院外医療費の割合より高い。

問題 72:診療報酬に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 診療報酬の請求は、各月分について行わなければならない。
  2. 請求された診療報酬は、中央社会保険医療協議会が審査する。
  3. 医療機関が診療報酬を請求してから報酬を受け取るまで約 6 か月掛かる。
  4. 診療報酬点数表には、医科、歯科、高齢の点数表がある。
  5. 診療報酬点数は、 1 点の単価が 1 円とされている。

問題 73:医療法に基づく医療計画に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 国が、地域の実情に合わせて策定することになっている。
  2. 医療提供体制の確保を図るためのものである。
  3. 医療圏は、一次医療圏と二次医療圏の 2 つから構成されている。
  4. 病院の定義や人員、設備の基準を定めることになっている。
  5. 2 年ごとに見直される。

問題 74:訪問看護に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 訪問看護は、看護師の指示で訪問看護サービスを開始する。
  2. 訪問看護ステーションには、栄養士を配置しなければならない。
  3. 訪問看護の対象は、65 歳以上の者に限定されている。
  4. 訪問看護ステーションの管理者は、医師でなければならない。
  5. 訪問看護は、居宅において看護師等により行われる療養上の世話又は必要な診療の補助を行う。

問題 75:次の事例を読んで、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が紹介した現時点で利用可能な制度として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

入院中のFさん(39 歳、会社員)は、大学卒業後から継続して協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者であり、同じ会社の正社員である妻 35 歳と息子 7 歳との 3 人暮らしである。20 代より生活習慣病を患い、保健指導と治療がなされたが行動変容は難しかった。Fさんは、 3 日前に糖尿病性腎症による人工透析導入のため入院することとなった。医師からは、約 1 か月間の入院となり、退院後は週に 3 日の継続的な透析治療が必要との説明を受けた。Fさんは、仕事は継続したいが、医療費や入院期間中の収入面の不安を訴えたことから、医師より医療ソーシャルワーカーを紹介された。

  1. 生活保護制度
  2. 労働者災害補償保険制度
  3. 高額療養費制度
  4. 傷病手当金制度
  5. 雇用保険制度

問題 76:「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018 年(平成 30 年)改訂版)」(厚生労働省)に沿った対応の方針として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Gさん(72 歳)は、妻(70 歳)と二人暮らし。10 年前より筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断を受け、在宅で療養を続けてきた。診断を受けた当初、「人工呼吸器は装着せずに、自宅で自然な状態で最期を迎えたい」と言っていた。 1 か月前から言語の表出、自発呼吸が困難となり、人工呼吸器の装着について検討することとなった。

  1. 診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。
  2. Gさんに代わって、妻の判断を優先する。
  3. Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。
  4. 家庭裁判所に判断を求める。
  5. 医師の医学的判断により決定する。

権利擁護と成年後見制度

問題 77:次のうち、日本国憲法における社会権として、正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 財産権
  2. 肖像権
  3. 教育を受ける権利
  4. 団体交渉権
  5. 自己決定権

問題 78:事例を読んで、Hの相続における法定相続分に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

事例

Hは、多額の財産を遺して死亡した。Hの相続人は、配偶者J、子のK・L・M、Hよりも先に死亡した子Aの子(Hの孫)であるB・Cの計 6 人である。なお、Lは養子であり、Mは非嫡出子である。Hは生前にMを認知している。

  1. 配偶者Jの法定相続分は 3 分の 1 である。
  2. 子Kの法定相続分は 6 分の 1 である。
  3. 養子Lの法定相続分は 7 分の 1 である。
  4. 非嫡出子Mの法定相続分は 8 分の 1 である。
  5. 孫Bの法定相続分は 7 分の 1 である。

問題 79:遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 成年被後見人は、事理弁識能力が一時回復した時であっても遺言をすることができない。
  2. 自筆証書遺言を発見した相続人は、家庭裁判所の検認を請求しなければならない。
  3. 公正証書によって遺言をするには、遺言者がその全文を自書しなければならない。
  4. 自筆証書によって遺言をするには、証人 2 人以上の立会いがなければならない。
  5. 遺言に相続人の遺留分を侵害する内容がある場合は、その相続人の請求によって遺言自体が無効となる。

問題 80:事例を読んで、Dさんについての後見開始の審判をEさんが申し立てた主な理由として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Dさん(80 歳)は、子のEさんが所有する建物に居住していたが、認知症のため、現在は指定介護老人福祉施設に入所している。Dさんの年金だけでは施設利用料の支払いが不足するので、不足分はEさんの預金口座から引き落とされている。施設で安定した生活を営んでいるものの医師からは白内障の手術を勧められている。近時、Dさんの弟であるFさんが多額の財産を遺して亡くなり、Dさんは、Dさんの他の兄弟とともにFさんの財産を相続することとなった。Eさんは、家庭裁判所に対しDさんについて後見を開始する旨の審判を申し立てた。

  1. Dさんの手術についての同意
  2. Dさんが入所する指定介護老人福祉施設との入所契約の解約
  3. Dさんが参加するFさんについての遺産分割協議
  4. Dさんが入所前に居住していたEさん所有の建物の売却
  5. Dさんの利用料不足分を支払っているEさんの預金の払戻し

問題 81:事例を読んで、Gさんの成年後見監督人に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

知的障害のあるGさん(30 歳)は、兄であるHさんが成年後見人に選任され支援を受けていた。しかし、数年後にGさんとHさんの関係が悪化したため、成年後見監督人が選任されることとなった。

  1. Gさんは、成年後見監督人の選任請求を家庭裁判所に行うことができない。
  2. Hさんの妻は、Hさんの成年後見監督人になることができる。
  3. GさんとHさんに利益相反関係が生じた際、成年後見監督人はGさんを代理することができない。
  4. 成年後見監督人は、Hさんが成年後見人を辞任した場合、成年後見人を引き継がなければならない。
  5. 成年後見監督人は、GさんとHさんの関係がさらに悪化し、Hさんが後見業務を放置した場合、Hさんの解任請求を家庭裁判所に行うことができる。

問題 82:次のうち、「成年後見関係事件の概況(令和 4 年 1 月~12 月)」(最高裁判所事務総局家庭局)に示された「成年後見人等」に選任された最も多い者として、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 親族
  2. 弁護士
  3. 司法書士
  4. 社会福祉士
  5. 市民後見人

(注)「成年後見人等」とは、成年後見人、保佐人及び補助人のことである。

問題 83:成年被後見人Jさんへの成年後見人による意思決定支援に関する次の記述のうち、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」に沿った支援として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. Jさんには意思決定能力がないものとして支援を行う。
  2. Jさんが自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を行う。
  3. 一見して不合理にみえる意思決定をJさんが行っていた場合には、意思決定能力がないものとみなして支援を行う。
  4. 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合にも、Jさんにより表明された意思があればそのとおり行動する。
  5. やむを得ずJさんの代行決定を行う場合には、成年後見人にとっての最善の利益に基づく方針を採る。

(注)「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」とは、2020 年(令和 2 年)に、最高裁判所、厚生労働省等により構成される意思決定支援ワーキング・グループが策定したものである。

社会調査の基礎

問題 84:次のうち、統計法における基幹統計調査として、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 社会福祉施設等調査
  2. 福祉行政報告例
  3. 介護サービス施設・事業所調査
  4. 労働安全衛生調査
  5. 国民生活基礎調査

問題 85:社会調査における倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 社会調査の対象者の抽出では、住民基本台帳から制約なく個人情報を閲覧できる。
  2. 調査の協力は自由意志であるので、対象者への調査に関する説明は不要である。
  3. 社会調査では、対象者に調査協力の謝礼を渡すことが不可欠である。
  4. 調査前に対象者の協力同意書があっても、調査の途中又は調査後の対象者からのデータ削除要請に応じることが求められる。
  5. 仮説に反した調査結果が出た場合、調査結果の公表を差し控える必要がある。

問題 86:次の事例を読んで、S県が実施した標本調査の母集団として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

S県内の高校に在籍している全ての生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている高校生が、どのくらい存在するかを調べるために、標本調査を実施した。

  1. 全国の高校に在籍する全生徒
  2. 全国の高校に在籍する全生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている者
  3. S県内の高校に在籍する全生徒
  4. S県内の高校に在籍する全生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている者
  5. S県内の高校に在籍する全生徒のうち、標本となった者

問題 87:次のうち、質問への回答を他計式で記入する社会調査として、適切なものを 2 つ選びなさい。

  1. 郵送調査
  2. 留置調査
  3. 個別面接調査
  4. 集合調査
  5. オペレーターによる電話調査

問題 88:尺度に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 比例尺度では、平均値を算出することができる。
  2. 順序尺度で測定した 1 と 2 の差と、 3 と 4 の差の等間隔性は担保されている。
  3. 名義尺度で測定した変数は、中央値を求めることができる。
  4. 間隔尺度では、測定値の間隔が数値として意味をもつことはない。
  5. 名義尺度、間隔尺度、順序尺度、比例尺度の順で、尺度としての水準が高い。

問題 89:調査手法としての面接法に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 構造化面接では、対象者に語りたいことを自由に話してもらうことが重要である。
  2. 非構造化面接では、調査者は事前に 10 項目以上の質問項目と質問の順番を設定し、その順番どおりに質問していく必要がある。
  3. 半構造化面接では、インタビューのおおむね半分程度の時間を、質問内容や質問の順番などが詳細に決められた質問紙によって面接が進められる。
  4. 面接調査では、表情や身振りといった非言語表現も重視する。
  5. グループ・インタビューの調査者は、対象者同士の会話を促さないようにする。

問題 90:社会調査における記録の方法とデータ収集法に関する次の記述のうち、適切なものを 2 つ選びなさい。

  1. 質的調査で対象者を選定するときには、無作為抽出法を行うことが不可欠である。
  2. アクションリサーチでは、量的調査でデータを収集することがある。
  3. ドキュメント分析の対象となるデータには、手紙や日記などの私的文章も含まれる。
  4. 質的調査のデータとしては、画像や映像の使用を避ける方が望ましい。
  5. フィールドノーツは、調査者の解釈を含めずに作成する必要がある。

相談援助の基盤と専門職

問題 91:社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士の義務等に関連する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 後継者の育成に努めなければならない。
  2. 秘密保持義務として、その業務に関して知り得た人の秘密は、いかなる理由があっても開示してはならない。
  3. 社会福祉士の信用を傷つけるような行為を禁じている。
  4. 社会福祉士ではなくとも、その名称を使用できる。
  5. 誠実義務の対象は、福祉サービスを提供する事業者とされている。

問題 92:次の事例を読んで、福祉事務所に勤務するK職員(社会福祉士)が取り組む様々な対応のうち、メゾレベルの対応として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

L民生委員は、Mさん(45 歳)の件で市の福祉事務所を訪れ、Kに相談をした。Mさんは勤め先を 3 年前に人員整理で解雇されてからは仕事をせず、親が残してくれた自宅で一人、昼夜逆転の生活をしているとのことであった。現時点では、Mさんには緊急の要保護性は感じられないが、仕事をしておらず、生活費が底をつく心配がある。Mさんは「今すぐに仕事をする自信はないが、今後に備えて相談をしたい」と望んでおり、Mさんの了解のもとに相談に訪れたとのことであった。

  1. 中高年を対象とする就労支援制度の課題を、所属機関を通して国に提示する。
  2. 相談意欲のあるMさんと相談援助の関係を樹立する。
  3. Mさんに対して、生活費を確保するために、不動産担保型生活資金を検討するよう勧める。
  4. 市内の事業所に対して、Mさんのような中高年者が利用可能な自立相談支援に関する事業の実施状況の情報を収集する。
  5. L民生委員からの情報をもとに、同様の事例に関する今後の支援について、所内で検討する。

問題 93:「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014 年)に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 人間尊重、人間の社会性、変化の可能性の 3 つの価値を前提とした活動である。
  2. 人、問題、場所、過程を構成要素とする。
  3. 価値の体系、知識の体系、調整活動のレパートリーを本質的な要素とする。
  4. ソーシャルワーク実践は、価値、目的、サンクション、知識及び方法の集合体である。
  5. 社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する。

(注)「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは、2014 年 7 月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。

問題 94:障害者の自立生活運動に関する次の記述のうち、適切なものを 2 つ選びなさい。

  1. 当事者が人の手を借りずに、可能な限り自分のことは自分ですることを提起している。
  2. ピアカウンセリングを重視している。
  3. 施設において、管理的な保護のもとでの生活ができることを支持している。
  4. 当事者の自己決定権の行使を提起している。
  5. 危険に挑む選択に対して、指導し、抑止することを重視している。

問題 95:ソーシャルワークを発展させた人物に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. レヴィ(Levy, C.)は、倫理とは、人間関係とその交互作用に対して価値が適用されたものであるとした。
  2. トール(Towle, C.)は、ジェネラリストの観点からソーシャルワークの統合化を図り、ジェネラリスト・ソーシャルワークを提唱した。
  3. アプテカー(Aptekar, H.)は、相互連結理論アプローチを提唱し、それぞれの理論は相互に影響を及ぼし合い、結びついていると論じた。
  4. ジョンソン(Johnson, L.)は、社会的目標を達成するために不可欠な要素として、4 つの基本的ニーズを提示した。
  5. ターナー(Turner, F.)は、機能主義の立場に立ちつつ、診断主義の理論を積極的に取り入れ、ケースワークとカウンセリングを区別した。

問題 96:事例を読んで、X小学校に配置されているAスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)が、Bさんの意思を尊重することに対する倫理的ジレンマとして、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

Aは、 2 学期に入ったある日、暗い顔をしているBさん(小学 5 年生)に声をかけた。Bさんは、初めは何も語らなかったが、一部の同級生からいじめを受けていることを少しずつ話し出した。そして、「今話していることが知られたら、ますますいじめられるようになり、学校にいづらくなる。いじめられていることは、自分が我慢すればよいので、他の人には言わないで欲しい」と思いつめたような表情で話した。

  1. クライエントの保護に関する責任
  2. 別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーに報告する責任
  3. 学校に報告する責任
  4. 保護者会に報告する責任
  5. いじめている子の保護者に対する責任

問題 97:次の事例の場面において、複数のシステムの相互作用をもたらすシュワルツ(Schwartz, W.)の媒介機能を意図した支援として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

自閉傾向のあるCさん(10 歳)の母親が、市の子育て支援課の窓口に久しぶりに相談に来た。D相談員(社会福祉士)がCさんについて、この間の様子を聞いたところ、言語的なコミュニケーションは少ないが、最近は絵を描くことが好きになってきたとのことであった。

  1. 次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。
  2. 親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。
  3. 絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。
  4. 市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。
  5. 障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

相談援助の理論と方法

問題 98:ソーシャルワーク実践におけるシステム理論の考え方に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)の実践モデルにおけるターゲットシステムは、目標達成のために、ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
  2. 開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
  3. システムには、他の要素から正負のフィードバックを受けることで、自己を変化・維持させようとする仕組みがある。
  4. クライエントの生活上の問題に関し、問題を生じさせている原因と結果の因果関係に着目する。
  5. 家族の問題に対して、課題を個々の家族員の次元で捉え、個々人に焦点を当てたサービスを提供する。

問題 99:ソーシャルワークの実践モデルに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 生活モデルは、問題を抱えるクライエントの人格に焦点を絞り、問題の原因究明を重視する。
  2. 生活モデルは、人と環境の交互作用に焦点を当て、人の生活を全体的視点から捉える。
  3. 治療モデルは、人が疎外される背景にある社会の抑圧構造に注目する。
  4. 治療モデルは、問題を抱えるクライエントのもつ強さ、資源に焦点を当てる。
  5. ストレングスモデルは、クライエントの病理を正確に捉えることを重視する。

問題 100:ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 機能的アプローチでは、 4 つのPを実践の構成要素として、クライエントのコンピテンス、動機づけとワーカビリティを高めることを目指す。
  2. 問題解決アプローチでは、女性にとっての差別や抑圧などの社会的現実を顕在化させ、個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。
  3. ユニタリーアプローチでは、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能と専門職の役割機能の活用を重視し、クライエントのもつ意志の力を十分に発揮できるよう促すことを目指す。
  4. 実存主義アプローチでは、クライエントが自我に囚われた状態から抜け出すために、他者とのつながりを形成することで、自らの生きる意味を把握し、疎外からの解放を目指す。
  5. フェミニストアプローチでは、システム理論に基づいて問題を定義し、ソーシャルワーカーのクライエントに対する教育的役割を重視し、段階的に目的を達成することを目指す。

問題 101:事例を読んで、就労継続支援B型事業所のE職員(社会福祉士)が、クライエントに危険が及ぶような行動を減らすために、行動変容アプローチを応用して行う対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

知的障害があるFさん(20 歳)は、作業中に興味があるものが目に入ると勢いよく外に飛び出してしまうことや、作業時間中でも床に寝転がること等の行動が度々あった。寝転がっているところに起き上がるよう声かけを行うと、引っ張り合いになっていた。Fさんのこれらの行動は、職員や仲間からの注目・関心を集めていた。そこで、Eは、Fさんが席に座って作業を継続することを目標行動にして支援を開始した。

  1. Fさんが何かに気を取られて席を立つたびに、報酬を与える。
  2. 支援を始めて 1 か月後に、目標行動の変化を評価しベースラインをつける。
  3. 不適切行動のモデリングとして、職員が寝転がって見せる。
  4. 作業が継続できるたびにベルを鳴らし、ベルの音と作業を条件づける。
  5. 寝転がる前の先行条件、寝転がった後の結果といった行動の仕組みを分析する。

問題 102:事例を読んで、乳児院のG家庭支援専門相談員(社会福祉士)が活用するアセスメントツールに関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

事例

一人暮らしのHさんは、慢性疾患による入退院を繰り返しながら出産したが、直後に長期の入院治療が必要となり、息子は乳児院に入所となった。Hさんは 2 か月前に退院し、職場にも復帰したので、息子と一緒に暮らしたいとGに相談した。ただ、「職場の同僚ともうまくいかず、助けてくれる人もいないので、一人で不安だ」とも話した。そこでGは、引き取りに向けて支援するため、アセスメントツールを活用することにした。

  1. 同僚との関係を整理するために、ジェノグラムを作成する。
  2. 息子の発育状況を整理するために、エコマップを作成する。
  3. 周囲からのサポートを整理するために、エコマップを作成する。
  4. 自宅周辺の生活環境を整理するために、ソシオグラムを作成する。
  5. Hさんの病状を整理するために、ソシオグラムを作成する。

問題 103:ソーシャルワークのプランニングにおける、目標の設定とクライエントの意欲に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ソーシャルワーカーが、独自の判断で高い目標を設定すると、クライエントの意欲は高まる。
  2. クライエントが自分でもできそうだと思う目標を段階的に設定すると、クライエントの意欲は低下する。
  3. クライエントが具体的に何をすべきかがわかる目標を設定すると、クライエントの意欲が高まる。
  4. クライエントにとって興味がある目標を設定すると、クライエントの意欲は低下する。
  5. 最終的に実現したい生活像とは切り離して目標を設定すると、クライエントの意欲が高まる。

問題 104:次の事例は、在宅療養支援におけるモニタリングの段階に関するものである。この段階におけるJ医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

Kさん(60 歳)は、呼吸器機能に障害があり病院に入院していたが、退院後には自宅で在宅酸素療法を行うことになった。Kさんとその夫は、在宅療養支援診療所のJと話し合いながら、訪問診療、訪問看護、訪問介護等を導入して自宅療養体制を整えた。療養開始後 1 か月が経ち、Jはモニタリングを行うことにした。

  1. Kさんに「自宅での療養で困っていることはありますか」と聞き、新たな要望やニーズの有無を確認する。
  2. Kさんの夫に「病気になる前はどのように暮らしていましたか」と聞き、Kさんの生活歴を確認する。
  3. 訪問介護員に「医療上、何かすべきことはありますか」と医療的ケアの課題を確認する。
  4. 主治医に「入院前の病状はいかがでしたか」と過去の治療状況を確認する。
  5. 訪問看護師に「サービス実施状況はどうですか」と経過や課題を確認する。

問題 105:ソーシャルワークの過程におけるアフターケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ソーシャルワーカーや支援チームの状況変化に応じて行う。
  2. クライエントとの間に信頼関係を形成することが目的となる。
  3. アセスメントの精度を高めることが目的である。
  4. 問題の新たな発生や再発が起きていないか確認をする。
  5. 支援計画が十分に実施されたかを評価する。

問題 106:ソーシャルワークの援助関係に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

  1. 共感的理解とは、クライエントの世界を、あたかもソーシャルワーカーも体験したかのように理解することである。
  2. 目的志向性とは、クライエントを意図的に導くことにより、ソーシャルワーカーの自己覚知を促進することである。
  3. パターナリズムとは、ソーシャルワーカーの権威と自由裁量を否定し、対等な立場を重視した援助関係のことである。
  4. 受容とは、クライエントの逸脱した態度や行動に対しても、同調した上で、それを許容することである。
  5. ソーシャルワーカーの自己開示とは、クライエントの行動や感情における矛盾を指摘することである。

問題 107:次の記述のうち、ケアマネジメントの一連の過程における再アセスメントに関するものとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. サービスを新たに開始するために、クライエントの望む生活に向けた目標を設定し、その実現に向けて支援内容を決定した。
  2. クライエントの生活状況の変化によるサービス内容の見直しのために、新たに情報収集し、課題の分析を行った。
  3. クライエントの課題が解決したため、ケアマネジメントを終了することを確認した。
  4. クライエントになる可能性のある人の自宅やその地域を訪問し、ニーズを把握した。
  5. サービスの終結をした者から、新たにサービス利用の申し出があったため、情報の収集を行った。

問題 108:ロスマン(Rothman, J.)が 1960 年代に提唱したコミュニティ・オーガニゼーション実践のモデルに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 組織化モデルとは、住民の地域生活支援を目標として、当事者の個別支援と連動させて、地域の生活基盤の整備に向けた地域支援を展開する方法である。
  2. 小地域開発モデルとは、不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に、同じ問題意識を共有する人々と連帯し、権力構造に対して政治的に働きかける方法である。
  3. 社会計画モデルとは、住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して、サービス提供機関間の調整を図る方法である。
  4. ソーシャルアクションモデルとは、地域が求める目標を達成するために、サービス提供機関が地域の資源を利用して活動を推進する方法である。
  5. 統合モデルとは、地方自治体による政策実践と、福祉施設等における運営管理実践を一体のものとして、地域を変革することを主たる目標とする方法である。

問題 109:グループワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. グループの発達過程は、メンバー間の関係の変化に影響を受ける。
  2. 波長合わせとは、メンバー間の親しい接触を通して、お互いに刺激し、影響し合うことである。
  3. グループメンバー間の暗黙の葛藤に対しては、それが表面化しないように働きかける。
  4. プログラム活動では、全員が同じ動きを行うことを優先するように求める。
  5. 終結期には、メンバー間の感情の表出や分かち合いを避ける。

問題 110:スーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. スーパーバイジーは、スーパーバイザーより知識も技量も高い。
  2. スーパービジョンの契約は、スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
  3. スーパービジョンにおける管理的機能では、スーパーバイジーの業務遂行の適切さを確認する。
  4. パラレルプロセスは、スーパーバイジーが過去の特定の人間関係をスーパーバイザーとの関係の中に投影することである。
  5. スーパーバイザーは、クライエントに最良のサービスを直接提供する。

問題 111:記録の方式の一つにSOAP方式がある。その内容に関して、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. Sは、客観的情報であり、利用者の行動を観察した内容を記述する。
  2. Оは、主観的情報であり、利用者の語った内容を記述する。
  3. Aは、支援計画であり、他機関や他専門職からの情報を記述する。
  4. Pは、プロセスであり、利用者の言葉や他機関からの情報に関する判断を記述する。
  5. SOAP記録は、問題と援助者の思考が明確になる問題志向型記録の一つである。

問題 112:「個人情報保護法」に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 個人情報取扱事業者には、国の機関は除外されている。
  2. 本人の生命の保護に必要がある場合であっても、本人の同意を得ることが困難であるときは、個人情報を第三者に提供してはならない。
  3. オンラインによる個人情報の提供は、ウイルスや不正アクセス等のリスクを伴う ため禁止されている。
  4. クレジットカード番号は、個人識別符号に含まれる。
  5. 事業者は、サービス利用者から本人のサービス記録の開示を求められた場合でも、これに応じる義務はない。

(注)「個人情報保護法」とは、「個人情報の保護に関する法律」のことである。

問題 113:事例分析の対象を手段的事例と固有事例に分けたとき、手段的事例の例として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. ソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援において、今後の方向性を考えるために、クライエントと共に事例分析をした。
  2. 新人のソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援過程について、指導的立場のソーシャルワーカーと一緒に、事例分析をした。
  3. ソーシャルワーカーが担当している事例で、支援結果が良好なものがあったので、その要因を明らかにするため、事例分析をした。
  4. ソーシャルワーカーが担当している事例で、複雑な問題を抱え支援が困難なクライエントがおり、事例分析をした。
  5. ソーシャルワーカーが担当している地区で、高齢者から振り込め詐欺に関する相談が頻繁にあるため、研修を目的とした事例分析をした。

問題 114:事例を読んで、N市社会福祉協議会のM職員(社会福祉士)の対応として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

N市社会福祉協議会は、N市から避難行動要支援者への支援に関して委託事業を受けている。Mは、その事業のコーディネート役を担当しており、N市が海岸線の近くにあり、高台が少ないことから、大地震の際の津波などによる被害を心配している。Mは、日頃から「備えあれば憂いなし」と周りの職員たちに言い、避難行動要支援者を中心にした、平常時からのネットワーキングがN市には必要と考えて、支援活動をしている。

  1. 近隣の住民に声をかけ、避難行動要支援者と一緒に避難訓練を行う。
  2. 災害発生に備えて、避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
  3. 自力で避難できるよう、避難行動要支援者を個別に訪問して指導する。
  4. 避難支援等関係者よりも、避難行動要支援者の安全確保を最優先するよう関係者に指示する。
  5. 避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ。

問題 115:事例を読んで、Aスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の解決志向アプローチに基づく問いかけとして、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

Bさん(高校 1 年生)は、父親、弟(小学 4 年生)、妹(小学 1 年生)の 4 人家族である。父親は長距離トラックの運転手で、Bさんは長女として家事と弟妹の世話を引き受けている。ある日、Aスクールソーシャルワーカーに、「家族のためにやれることをやるのは当然だし、喜んでもらえるのもうれしい。でも毎日勉強とバイトと家事で精一杯。これ以上はもう無理かも…」とつぶやいた。AはこれまでのBさんの頑張りをねぎらいながら、以下の問いかけをした。

  1. 「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら、どうなると思いますか?」
  2. 「最悪な状況を 0 、何もかも解決したのが 10 なら、今は何点になりますか?」
  3. 「Bさんが『もう無理かも』と思ったのは、どのようなときですか?」
  4. 「Bさんが想像する、最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
  5. 「今、Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」

問題 116:事例を読んで、Y地域包括支援センターのC社会福祉士が参加している認知症初期集中支援チームの対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Y地域包括支援センターに「夫の物忘れがひどく、指摘するとすぐに怒りだすことと、時折暴力を振るうことで困っている」とDさん(72 歳)から電話相談があった。
その後、Dさんが来所して夫の日常の様子を詳しく話した。夫に病院で受診をしてもらおうとしたが、「俺はどこも悪くないから病院には行かない」と拒否され、困っているという。そこでCは、認知症初期集中支援チームにおける対応が必要と考え、ケース会議の開催を要請した。

  1. 夫を刺激しないように、認知症サポーターとCが自宅を訪問する。
  2. Dさんが一人の時間を持てるように自宅を訪問し、夫の利用可能な認知症カフェ
  3. 夫の状態について、認知症サポート医から専門的知見による助言を求める。
  4. 夫の生活の様子を聞くために、介護福祉士とCが自宅を訪問する。
  5. Dさんへの暴力回避のために、保健所の職員とCが自宅を訪問する。

問題 117:事例を読んで、ひきこもり地域支援センターのF職員(社会福祉士)による、グループワークのこの段階における関わりとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Fは、ひきこもり地域支援センターが 1 か月前に開設した、ひきこもり状態にある人たちのための居場所であるカフェで、グループへの支援を行っている。Fは2年前から根気強く訪問していたGさん(38 歳、男性)にもこのグループへ参加しないかと声をかけたところ、「どんなメンバーで、どんなことをしているのか」と興味を示し、久しぶりに外出し、カフェに初めて姿を見せた。Gさんは対人関係のつまずきからひきこもり状態となった経緯があり、人見知りがある。

  1. 人見知りが激しいことを知っているので、他のメンバーに対応を委ねる。
  2. 関係づくりができていることを活かしたいので、Gさんと二人で会話を続ける。
  3. 以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをする。
  4. メンバー同士の関係を活用し、Gさんの長いひきこもり体験をメンバー間で分かち合うよう促す。
  5. Gさんの過去の対人関係をメンバー間で振り返り、気持ちの分かち合いを促す。

問題 118:ソーシャルワークの面接技術に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

  1. 明確化によって、クライエントに特別な行動をするように伝えて、課題解決を促す。
  2. 言い換えによって、クライエントの話す内容や感情を別の言葉で表現し、気づきを促す。
  3. 閉じられた質問によって、クライエントが自由に話すのを促す。
  4. 要約によって、より多くの情報を収集するために、クライエントの自己開示を促す。
  5. 問題への直面化によって、クライエントとの信頼関係を構築する。

福祉サービスの組織と経営

問題 119:社会福祉法人に関する次の記述のうち、正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
  2. 収支計算書の公表は任意である。
  3. 他の社会福祉法人と合併することはできない。
  4. 評議員、評議員会、理事、理事会、監事を設置することが義務づけられている。
  5. 評議員は無報酬でなければならない。

問題 120:経営の基礎理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. バーナード(Barnard, C.)によれば、非公式組織とは、意識的で、計画的で、目的をもつような人々相互間の協働である。
  2. テイラー(Taylor, F.)は科学的管理法を提唱し、作業現場の管理について、合理的な規則と手続きによる管理の重要性を強調した。
  3. ハインリッヒ(Heinrich, H.)は、軽微な事故への対策を実施しても、重大な事故を未然に防ぐことはできないことを明らかにした。
  4. アッシュ(Asch, S.)は、個人として正しい判断ができていれば、多数派の力には負けることはないという現象を明らかにした。
  5. メイヨー(Mayo, G.)とレスリスバーガー(Roethlisberger, F.)は、組織における経済的合理性を追求する、経済人モデルを提唱した。

問題 121:集団やチームに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 集団浅慮とは、集団を構成する個々のメンバーが、個人で考えるよりも多面的な検討を行うことができるようになる現象のことである。
  2. 集団の規範とは、メンバーが誰かの努力や成果にただ乗りして、自分自身は力を出し切らないことである。
  3. 集団の凝集性は、集団を構成するメンバーを離散させ、個々人に分離させる傾向をもつ。
  4. チームの生産性は、チームメンバー間で信頼や尊敬の念が育まれていると低くなる。
  5. 集団内のコンフリクトには、集団に悪影響を及ぼす非生産的コンフリクトと、集団に好影響を及ぼす生産的コンフリクトの両方の側面がある。

問題 122:福祉サービス提供組織の財源に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

  1. 障害福祉サービスを行う事業者の収入の総額は、市町村からの補助金の総額に等しい。
  2. 介護保険事業を行う事業者の収入の総額は、利用者が自己負担する利用料の総額に等しい。
  3. ファンドレイジングとは、事業や活動を行うために必要な資金を様々な方法を使って調達することを指す。
  4. 社会福祉法人が解散する場合、定款の定めにかかわらず、その法人に対して寄付を行ってきた個人は、寄付した割合に応じて残余財産の分配を受けることができる。
  5. 特定非営利活動法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、事業によって得られた利益を自由に分配することができる。

問題 123:福祉サービス提供組織の運営に関する次の記述のうち、適切なものを 2 つ選びなさい。

  1. アカウンタビリティとは、ステークホルダーに対する説明責任を指す。
  2. 社会福祉法人における評議員会とは、法人の日常的な業務執行の決定などを行う機関である。
  3. 社会福祉法人の監事には、法人の評議員会の業務執行を監査し、その内容について監査報告書を作成する役割がある。
  4. コンプライアンスとは、組織が法令や組織内外のルールを守ることにより、社会的責任を果たすことをいう。
  5. 社会福祉法人における理事会とは、定款の変更や役員の選任などの体制の決定を行う機関である。

問題 124:事例を読んで、H施設管理者が実施した人材育成の手法について、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Z高齢者介護施設は、定期的に職場内において勉強会を実施している。このほど、Z施設が立地するP県主催の「高齢者虐待の防止について」という研修会の通知が届いた。Z施設のH施設管理者は、職員数名をこの研修会に参加させ、新たな知見を得てもらうこととした。

  1. コーチング
  2. OFF-JT
  3. ジョブ(職務)ローテーション
  4. OJT
  5. 目標管理制度

問題 125:「育児・介護休業法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 子の養育及び家族の介護を容易にするため、所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めている。
  2. 育児休業とは、産後 8 週までの女性に対し、使用者が休業を与えるものである。
  3. 対象家族に無職かつ健康な同居者がいる場合は、介護休業を取得することができない。
  4. 期間を定めて雇用される者は、雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
  5. 対象家族一人について、介護休業を分割して取得することはできない。

(注)「育児・介護休業法」とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。

高齢者に対する支援と介護保険制度

問題 126:「令和 5 年版高齢社会白書」(内閣府)に示された日本の高齢者を取り巻く社会情勢に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 人口の高齢化率は、2022 年(令和 4 年)10 月 1 日現在で、約 16 %となっている。
  2. 高齢化率の「倍加年数」をアジア諸国で比較すると、韓国は日本よりも短い年数となっている。
  3. 総人口に占める 75 歳以上の人口の割合は、2070 年(令和 52 年)に約 40 %に達すると推計されている。
  4. 2022 年(令和 4 年)の労働力人口総数に占める 65 歳以上の者の割合は、2013 年(平成 25 年)以降の 10 年間でみると、漸減傾向にある。
  5. 2021 年(令和 3 年)の 65 歳以上の者の死因別の死亡率をみると、悪性新生物よりも肺炎の方が高くなっている。

(注)「倍加年数」とは、人口の高齢化率が 7 %から 14 %に達するまでに要した年数のことである。

問題 127:第二次世界大戦後の日本における高齢者保健福祉制度の展開過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 1950 年(昭和 25 年)の生活保護法では、常時介護を必要とする老人の家庭を訪問する老人家庭奉仕員が規定された。
  2. 1963 年(昭和 38 年)の老人福祉法では、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームを含む、老人福祉施設が規定された。
  3. 1982 年(昭和 57 年)の老人保健法では、70 歳以上の高齢者にかかる医療費のうち、その自己負担分を無料化する老人医療費支給制度が規定された。
  4. 1997 年(平成 9 年)の介護保険法では、要介護認定を受け、要介護と判定された高齢者等は、原則 3 割の利用者負担で、介護サービスを利用できることが規定された。
  5. 2000 年(平成 12 年)の社会福祉法の改正では、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定されたことを受け、地域包括ケアシステムが規定された。

問題 128:事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士によるJさんの長女への助言として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

自宅で一人暮らしのJさん(82 歳、男性)は、脳伷塞の後遺症により軽い 左肩麻痺があり、要支援 1 の認定を受けているが介護保険サービスは利用していない。 2か月前に買物に行こうとして玄関先で転倒し、軽傷ですんだものの、それ以来自宅から出ようとしなくなった。近隣に住んでいる長女は、週に2、3 度自宅を訪れ、買物や掃除・洗濯を手伝ってきた。しかし、「父は一人で大丈夫というが、むせることもあり食事量が減ってきて心配です。父はどのようなサービスが利用できますか」と地域包括支援センターに相談に来た。

  1. 看護小規模多機能型居宅介護の利用
  2. 介護老人福祉施設への入所
  3. 介護予防通所リハビリテーションの利用
  4. 短期入所生活介護の利用
  5. 管理栄養士による介護予防居宅療養管理指導の利用

問題 129:移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 片麻痺がある人が杖歩行を行う場合、伺は麻痺側に持つ。
  2. 左片麻痺者が階段を上る時は、伺の次に左足を上げる。
  3. 視覚障害者の歩行介助を行う場合、介助者は視覚障害者の後方を歩く。
  4. 片麻痺がある人のベッドから車いすへの移乗では、車いすを要介護者の健側に置く。
  5. 車いすで大きな段差を下るときは、前向きで降りる。

問題 130:介護保険法に定める福祉用具貸与の種目として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 腰掛便座
  2. 移動用リフトの吊り具の部分
  3. 認知症老人徘徊感知機器
  4. 簡易浴槽
  5. 入浴補助用具

問題 131:介護保険制度における厚生労働大臣の役割に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 要介護認定の審査及び判定に関する基準を定める。
  2. 要介護者等に対する介護給付費の支給決定を行う。
  3. 介護支援専門員実務研修を実施する。
  4. 介護給付等費用適正化事業を実施する。
  5. 財政安定化基金を設置する。

問題 132:事例を読んで、病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が、この時点でLさんへの支援のために検討すべきこととして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Kは、変形性膝関節症で外来通院中のLさん(82 歳、女性、独居、要支援 2 )から相談を受けた。Lさんは屋外の歩行が不自由で伺を使っているが、介護サービス等は利用していない。Lさんは、数年ぶりに趣味の歌舞伎鑑賞に出かけようと思い、介護保険制度のサービス利用について市役所に問い合わせたところ「本市では趣味のための移動支援は実施していない」と説明されたと言う。Lさんは転倒の心配もあり、歌舞伎鑑賞には見守り支援を利用したいと言っている。

  1. Lさんの支援を在宅医療・介護連携推進事業の担当者に依頼する。
  2. 市役所の対応に関して、都道府県国民健康保険団体連合会へ苦情の申し立てを行うよう、Lさんに提案・助言を行う。
  3. Lさんの歩行機能の改善を図るため、地域介護予防活動支援事業の利用を勧める。
  4. Lさんの疑問や不安に対応してもらえるよう、介護サービス相談員と連携を図る。
  5. Lさんの居住地を担当する「生活支援コーディネーター(第 2 層)」に連絡を取り、Lさんが利用できる、制度外の外出時の見守り支援策について相談・調整を図る。

(注)「生活支援コーディネーター(第 2 層)」は、中学校区域を基本とする日常生活圏域で業務に当たる職員である。

問題 133:介護福祉士に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 介護福祉士の法律上の定義には、介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とすることが含まれている。
  2. 介護福祉士が介護保険制度における訪問介護員として従事する際には、その資格とは別に、政令で定める研修を修了していることがその要件となる。
  3. 介護福祉士は、医師の指示のもと、所定の条件下であれば、医療的ケアの一つとして脱水症状に対する点滴を実施することができる。
  4. 介護福祉士は業務独占資格の一つであり、法令で定める専門的な介護業務については、他の者が行うことは禁じられている。
  5. 認定介護福祉士を認定する仕組みは、2005 年(平成 17 年)に制定された介護保険法等の一部を改正する法律において法定化され、その翌年から施行された。

問題 134:事例を読んで、地域包括支援センターのM職員(社会福祉士)が訪問・相談を行った時点での対応として、適切なものを 2 つ選びなさい。

事例

Q市に住むAさん(85 歳、女性、要介護 3 )は長男(56 歳)と二人暮らしである。Aさんは 5 年前から物忘れが進み、排せつには介助を要し、日常的に長男が介護をしている。また、短期入所生活介護を 2 か月に 1 回利用している。今朝、長男から「気分が落ち込んでしまいここ 3 日ほどは眠れない」「当分は母の介護ができそうにない」と沈んだ声で地域包括支援センターに電話相談があった。これまでにもこのような相談が度々あり、それを受け、M職員がすぐに訪問・相談を行った。

  1. Aさんの要介護状態の改善を図る必要があるため、介護予防ケアマネジメントの実施を検討する。
  2. 総合相談支援業務として、長男の状態について同センターの保健師と相談し、気分の落ち込みや睡眠の問題に対応できる専門機関を探す。
  3. 権利擁護業務として、Aさんへの虐待リスクがあることについて、市に通報する。
  4. 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務として、Aさんを担当する居宅介護支援事業所の介護支援専門員とともに、早急に今後の対応を検討する。
  5. Aさんと長男が住む地域の課題を検討するため、地域ケア会議で報告する。

問題 135:「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. この法律における高齢者とは、65 歳以上で介護保険制度における要介護認定・要支援認定を受けた者と定義されている。
  2. この法律では、セルフネグレクト(自己放任)の状態も高齢者虐待に該当することが定義されている。
  3. この法律における高齢者虐待の定義には、保険医療機関における医療専門職による虐待が含まれている。
  4. この法律では、市町村が養護者による虐待を受けた高齢者の居所等への立入調査を行う場合、所轄の警察署長に援助を求めることができると規定されている。
  5. この法律は、市町村に対し、高齢者虐待の防止・高齢者とその養護者に対する支援のため、司法書士若しくは弁護士の確保に関する義務を課している。

(注)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問題 136:子ども・家庭の生活実態に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 「令和 4 年版男女共同参画白書」(内閣府)によると、子供がいる世帯の妻の就業状態は、パートタイム労働よりフルタイム労働の割合が高くなっている。
  2. 「令和 4 年版犯罪白書」(法務省)によると、少年の刑法犯等検挙人員は令和 3 年には戦後最大となった。
  3. 「令和 3 年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)によると、いじめの認知(発生)件数は、令和 2 年度に比べ減少した。
  4. 「令和 3 年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約 8 割である。
  5. 「令和 3 年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の小学校調査によると、「ヤングケアラーと思われる子どもの状況」(複数回答)では、「家族の通訳をしている(日本語や手話など)」に比べて、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が多い。

(注)「令和 3 年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」とは、株式会社日本総合研究所が、令和 3 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業(厚生労働省)として実施したものである。

問題 137:児童福祉法の総則規定に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 全て国民は、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重されるよう努めなければならない。
  2. 全て保護者は、その養育する児童の福祉を等しく保障される権利を有する。
  3. 国は、児童を育成する第一義的責任がある。
  4. 全て国民は、児童の最善の利益を実現しなければならない。
  5. 全て児童は、家庭で育てられなければならない。

問題 138:事例を読んで、R市子育て支援課のB相談員(社会福祉士)がR市で利用可能なサービスの中から紹介するものとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Cさん( 2 歳)の母親であるDさんは、他の子どもと比べてCさんの言葉が遅れていると気に病むようになり、外に出かけにくくなった。心配したCさんの祖母がDさんと共にR市子育て支援課に相談に来た。Bは、 2 人の話を聞き、どのようなサービスが利用可能かを一緒に検討することにした。

  1. 保育所への入所
  2. 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の利用
  3. 児童館の利用
  4. 子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の利用
  5. 児童相談所の利用

問題 139:児童扶養手当に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 生活保護を受給していることが支給要件である。
  2. 児童扶養手当法における児童とは、障害がない子どもの場合、18 歳到達後の最初の 3 月 31 日までの間にある者をいう。
  3. 児童扶養手当は児童手当と併給できない。
  4. 支給額は、世帯の収入にかかわらず一定である。
  5. 父子世帯は、支給対象外となる。

問題 140:次の記述のうち、次世代育成支援対策推進法に関して、最も適切なものを1 つ選びなさい。

  1. 少子化に対処するための施策を総合的に推進するために、全ての児童が医療を無償で受けることができる社会の実現を目的としている。
  2. 都道府県及び市町村には、10 年を 1 期とする次世代育成支援のための地域における行動計画を策定することが義務づけられている。
  3. 政府には、少子化に対処するための施策を指針として、総合的かつ長期的な労働力確保のための施策の大綱を策定することが義務づけられている。
  4. 常時雇用する労働者の数が 100 名を超える事業主(国及び地方公共団体を除く)は、一般事業主行動計画を策定しなければならない。
  5. 都道府県を基盤とした一元的な保育の給付について規定されている。

問題 141:特別養子縁組の制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 配偶者のない者でも養親となることができる。
  2. 養子となることができる子の年齢上限は、 6 歳である。
  3. 養親には離縁請求権はない。
  4. 特別養子縁組の成立には、実親の同意は原則として必要ではない。
  5. 特別養子縁組は、都道府県が養親となる者の請求により成立させることができる。

問題 142:事例を読んで、この時点でのU児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の対応について、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

Fさん(40 歳代、男性)は、息子Gさん( 8 歳)と父子家庭で生活していた。Gさんが 3 歳の時に、Fさんによる妻への暴力が原因で離婚した。Fさんは、行儀が悪いと言ってはGさんを殴る、蹴る等の行為が日常的にみられた。額にひどいあざがあるような状態でGさんが登校したことから、学校が通告し、GさんはU児童養護施設に措置された。入所後、家庭支援専門相談員であるEがFさんに対応している。
FさんはEと会う度に、「自分の子どもなのだから、息子を返して欲しい」と訴えていた。Gさんとの面会交流が進んだ現在では、「返してもらうにはどうしたらよいのか」と発言している。

  1. Fさんに二度と叩たたかないことを約束すれば、家庭復帰できると伝える。
  2. Fさんが反省しているとわかったので、家庭復帰できると伝える。
  3. Fさんに「なぜ叩いたのですか」と問い反省を求める。
  4. Fさんが体罰によらない子育てができるよう一緒に考える。
  5. Fさんは暴力による方法しか知らないのだから、家庭復帰は諦めるようにと伝える。

就労支援サービス

問題 143:次の記述のうち、就労定着支援に関する説明として、最も適切なものを 1つ選びなさい。

  1. 特別支援学校を卒業したばかりの新卒者の職場定着を支援する。
  2. 支援は、障害者が通常の事業所に雇用される前から開始される。
  3. 支援は、最大 6 か月間提供される。
  4. 支援の内容には、生産活動の機会の提供を通じて、知識及び能力の向上のために必要な訓練を供与することが含まれる。
  5. 支援の内容には、障害者が雇用されたことに伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での問題に関する相談、助言が含まれる。

問題 144:「障害者雇用促進法」に定める常用雇用労働者数 100 人以下の一般事業主に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 障害者雇用納付金を徴収されない。
  2. 報奨金の支給対象とならない。
  3. 障害者に対する合理的配慮提供義務を負わない。
  4. 重度身体障害者及び重度知的障害者を雇用した場合、実雇用率の算定に際し 1 人をもって 3 人雇用したものとみなされる。
  5. 法定雇用率未達成の場合に、「対象障害者の雇入れに関する計画」の作成を命じられることはない。

(注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。

問題 145:次の記述のうち、公共職業安定所(ハローワーク)が実施する業務として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 労災保険給付の支給
  2. 無料職業紹介事業の許可
  3. 有料の職業紹介
  4. 生活保護における生業扶助の支給
  5. 障害者雇用に関する技術的助言・指導

問題 146:事例を読んで、公共職業安定所(ハローワーク)の職員が行う対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

民間企業で 10 年間働いてきたHさん(33 歳)は、新たな職務に強いストレスを感じるようになり、出勤できなくなった。医師からうつ病との診断を受け、 6 か月間休職したが、症状が改善せず退職した。退職から 1 年が経ち、まだ、うつの症状は残っており、就業面、生活面での不安を感じるものの、金銭面の問題から、とにかく働かなければならないと焦りを感じ、公共職業安定所(ハローワーク)を訪問した。

  1. 一般就労の経験があるHさんは、問題なく一般就労が可能であると判断し、一般企業からの求人情報を提供する。
  2. Hさんの希望は就職であることから、適応訓練についてはあっせんしない。
  3. Hさんの確実な就職のため、一般企業ではなく特例子会社の求人を紹介する。
  4. 本人の了解を得て、障害者就業・生活支援センターを紹介するなど関係機関と連携する。
  5. 一般就労には週の所定労働時間が 20 時間以上であることが求められる旨を説明する。

更生保護制度

問題 147:事例を読んで、この場合の仮釈放の手続きに関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

事例

裁判所の判決で 3 年の懲役刑を言い渡されて、刑事施設に収容されていたJさんは、仮釈放の審理の対象となった。

  1. 仮釈放の要件として、刑の執行から最短でも 2 年を経過している必要がある。
  2. 仮釈放の要件として、改悛(かいしゅん)の状があることがある。
  3. 仮釈放を許す処分を決定するのは、地方裁判所の裁判官である。
  4. 仮釈放の対象となるのは、初めて刑事施設に入った者に限られる。
  5. 仮釈放の期間中、Jさんの希望により、保護観察が付される。

問題 148

保護司に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 法務大臣から委嘱される。
  2. 検察官の指揮監督を受ける。
  3. 保護観察における指導監督の権限はない。
  4. 担当する事件内容によっては給与が支給される。
  5. 刑事施設収容中の者との面会は禁じられている。

問題 149:事例を読んで、社会復帰調整官の対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕
精神保健観察中のKさんは、地域生活を送っている中で家族関係が悪化し、仕事にも行けなくなってきた。保護観察所は、関係機関の担当者とともにケア会議を開催し、Kさんの状態の情報共有と今後の処遇について話し合った。

  1. Kさんが継続的に医療を受けるよう、保護司に指導を指示する。
  2. 指定通院医療機関への通院状況を確認する。
  3. 精神保健観察の期間延長を決定する。
  4. 指定入院医療機関に入院させることを決定する。
  5. 今回作成する処遇の実施計画の内容をKさんに秘匿することを決定する。

問題 150:刑の一部の執行猶予制度に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 本制度の導入により、検察官による起訴猶予の処分は廃止された。
  2. 本制度の導入により、執行する刑の全てを猶予する制度は廃止された。
  3. 本制度の導入により、釈放後の生活環境の調整をする制度は廃止された。
  4. 本制度の刑の一部の執行猶予期間は、刑期とともに判決時に言い渡される。
  5. 本制度において、保護観察が付されることはない。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

社会福祉士国家試験【2024年試験解答】

【令和5年度】第36回社会福祉士国家試験の解答を掲載しております。

問番号解答問番号解答
問12問434,5
問23問443
問34問455
問42問461
問55問472
問65問481
問71問492
問83問501
問94問514
問105問523
問113問532
問124問541
問132問555
問141問562
問153問573
問162問581
問171問591
問184問603
問195問614
問202問624,5
問211問633,5
問224問641
問231問652
問242問665
問255問675
問264問683
問274問694
問285問702
問291問711
問303,4問721
問315問732
問325問745
問333問753,4
問343問763
問351問773,4
問362問784
問373問792
問384問803
問392問815
問401,3問823
問411,3問832
問425
共通科目
問番号解答問番号解答
問845問1182
問854問1191,4
問863問1202
問873,5問1215
問881問1223
問894問1231,4
問902,3問1242
問913問1251
問924,5問1262
問935問1272
問942,4問1283,5
問951問1294
問961,3問1303
問975問1311
問983問1325
問992問1331
問1004問1342,4
問1015問1354
問1023問1365
問1033問1371
問1041,5問1382
問1054問1392
問1061問1404
問1072問1413
問1083問1424
問1091問1435
問1103問1441
問1115問1455
問1121問1464
問1135問1472
問1141,5問1481
問1151,2問1492
問1163問1504
問1173
専門科目

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター