社会福祉士の平均年収を職場や職種、年齢に男女、雇用形態および業界などの条件別にご紹介。年収を増やす方法がわからない社会福祉士の方は必見です!
目次
社会福祉士の平均年収・給料
公益財団法人社会福祉振興・支援センターの調査によると令和元年(2019年時点)の社会福祉士全体の平均年収は403万円です。
平成27年度の同調査では平均年収は377万円だったので、26万円上がっていることになります。
給料が安い、というイメージの強い福祉業界ですが、人材確保が課題となっていることもあり、処遇改善が進み、給料も上昇傾向にあります。
ただし社会福祉士の年収は、勤務年数や施設の種類、雇用形態などの条件によって大きく異なります。
ここからは、様々な視点から、社会福祉士の平均年収を紹介するので、そちらも参考にしてください。
【年齢別】社会福祉士の平均年収
年齢別の社会福祉士の平均年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20代 | 400万円 |
30代 | 403万円 |
40代 | 412万円 |
50代 | 432万円 |
60代以上 | 360万円 |
出典:令和2年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター)
20代から50代にかけては、年齢が上がるにつれて平均年収も上がっています。
これは社会福祉士としての経験を積み重ねることで知識やスキルも増え、リーダーや管理職など責任のある役割や役職に就くようになるからだと考えられます。
また日本では、勤続年数が長いほど年収も上がる傾向にあることも、年齢に比例して年収が上がる要因と言えるでしょう。
60代以上については定年後の再雇用となるケースなども多く年収が下がっています。
【男女別】社会福祉士の平均年収
性別による社会福祉士の平均年収の違いを紹介します。
性別 | 平均年収 |
---|---|
男性 | 473万円 |
女性 | 365万円 |
出典:令和2年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター)
男性と女性では、約10万円も差があることがわかります。
これは、女性の方が非正規雇用の割合が高いことが大きな要因でしょう。
結婚・子育て・家族の介護といったライフスタイルの変化に応じて、パート・短時間勤務など、働き方を変更するケースが多いことが背景にあります。
【職種別】社会福祉士の平均年収
職種別の社会福祉士の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
経営者 | 549万円 |
主任・相談部門の長 | 495万円 |
介護支援専門員 | 362万円 |
地域包括支援センターの社会福祉士 | 376万円 |
障がい者相談支援門員 | 376万円 |
児童自立支援専門員 | 410万円 |
医療ソーシャルワーカー | 384万円 |
スクールソーシャルワーカー | 292万円 |
相談員 | 354万円 |
介護職員(ホームヘルパー含む) | 303万円 |
指導員 | 346万円 |
出典:令和2年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター)
一般企業と同様、社会福祉士の中でも、経営者や主任などの管理職は年収が高いことがわかります。
逆に、年収が最も低いのはスクールソーシャルワーカーですが、これは正規雇用の職員が6.1%と低い割合で、ほとんどが契約職員などの非正規雇用であることが大きな要因です。
高齢者や障がい者の現場で働く職員の年収は、300万円~400万円であることが多いようです。
【雇用形態別】社会福祉士の平均年収
雇用形態別の社会福祉士の平均年収を紹介します。
雇用形態 | 平均年収 |
---|---|
正社員 | 465万円 |
非正規職員(常勤) | 260万円 |
非正規職員(非常勤)※パート等 | 127万円 |
派遣職員 | 182万円 |
出典:平成27年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター
こちらは平成27年の調査結果ですが、正社員が最も高く、他の雇用形態よりも100万円も差がついています。
フルタイムで働く常勤の非正規職員ですが、基本給や賞与が正社員より低くなるため、平均年収も下がっています。
パートや派遣職員は、勤務時間や日数等の労働条件によって年収も大きく異なり、年収が103万円未満の割合と200万円以上の割合も多いのですが、平均すると上記の結果となりました。
【職場別】社会福祉士の平均年収
職場別の社会福祉士の平均年収を紹介します。
職場の種類 | 平均施設 |
---|---|
介護老人福祉施設 | 423万円 |
介護老人保健施設 | 392万円 |
地域包括支援センター | 365万円 |
障がい者支援施設 | 416万円 |
相談支援事業所 | 387万円 |
児童相談所 | 532万円 |
障がい児施設(入所・通所) | 372万円 |
病院・診療所 | 398万円 |
都道府県社会福祉協議会 | 475万円 |
小・中学校 | 268万円 |
保護観察所・地方更生保護委員会 | 638万円 |
都道府県庁 | 496万円 |
出典:令和2年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター)
最も平均年収の高い「保護観察所・地方更生保護委員会」では、犯罪を犯した人や非行をした少年が社会復帰するための計画や支援を行い、高い専門性や技術が求められます。
他にも行政機関である「児童相談所」や「都道府県庁」も他の施設よりも平均年収が高いことがわかります。
社会福祉士の中では年収が高く、福利厚生も充実している行政機関ですが、働くには、以下のように公務員試験に合格する必要があります。
- 「保護観察所・地方更生保護委員会」…国家公務員
- 「児童相談所」「都道府県庁」…地方公務員
【業界別】社会福祉士の平均年収
業界別の社会福祉士の平均年収を紹介します。
業界 | 平均年収 |
---|---|
高齢者福祉関係 | 392万円 |
障がい者福祉関係 | 401万円 |
児童・母子福祉関係 | 414万円 |
生活保護関係 | 453万円 |
地域福祉関係 | 444万円 |
生活困窮者自立支援関係 | 362万円 |
医療関係 | 399万円 |
学校教育関係 | 306万円 |
就業支援関係 | 378万円 |
司法関係 | 433万円 |
行政機関 | 443万円 |
出典:令和2年度社会福祉士就労状況調査結果 社会福祉振興・試験センター)
「生活保護関係」が453万円と最も高く、「学校教育関係」が306万円と最も低いです。
学校関係については、非正規雇用の多いことなども平均年収が低い要因と考えられます。
働く人の割合が高い「高齢者福祉関係」「障がい者福祉関係」は約400万円と、社会福祉士全体の平均年収と近い年収となっています。
全体的には、行政機関の多い業界がやや高い傾向にあるようです。
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社会福祉士転職サポートに登録(完全無料)社会福祉士の年収は介護現場の他の職業よりも高い?
直接介護がメインの業務となる「介護福祉士」の平均年収は292万円で、社会福祉士の403万円と比べるとかなり低くなっています。
この結果だけ見ると、社会福祉士は介護の現場職員よりもかなり年収が高いように思えますが、これは、介護福祉士の方がパートなどの非正規雇用で働く人の割合が、社会福祉士に比べて多いためです。
正社員での平均年収はここまでの差はなく、夜勤手当などを含めると介護福祉士の方が高くなるケースもあるでしょう。
とはいえ、同じ条件で働いた場合は、社会福祉士の方が年収が高くなるケースが多いため、社会福祉士の年収は介護現場の他の職業よりも高いと言えます。
社会福祉士の年収を増やす方法とは?
ここからは、社会福祉士の年収を増やす方法を5つ紹介します。
すぐに実践できるものから、入念な準備が必要なものまであるので、自分にあった方法を見つけてください。
資格手当をもらう
施設によっては、社会福祉士に資格手当がつきます。
資格手当の額は1万円前後の施設が多いですが、中には2~3万円もらえる施設もあります。
令和2年度の社会福祉士就労状況調査によると、社会福祉士の資格手当がある施設は37.4%と決して高くはありませんが、手当がもらえることで、社会福祉士として働くモチベーションも上がります。
現在の職場で手当が出ない、もしくは給料に納得できない場合は、高い資格手当をもらえる施設に転職することで年収を上げることが可能です。
その場合は、資格手当だけではなく基本給や賞与など様々な条件をよく確認して総合的に年収が上がるかを考えるようにしましょう。
他資格を取得する(ダブルライセンス)
社会福祉士以外の資格を取得する(ダブルライセンス)ことも年収アップにつながることがあります。
勤務先の施設によって、児童関係であれば「保育士」、高齢者施設であれば「介護福祉士」、など関連する資格取得が望ましいでしょう。
専門性が高まり、キャリアアップ、転職活動にも有利になる可能性が高いです。
特に「社会福祉士」と「精神保健福祉士」のダブルライセンスはおすすめです。
精神保健福祉士は、精神障がい者への支援を行い、社会福祉士、介護福祉士と同じく、国家資格であり、この3つは福祉の3大国家資格と呼ばれることもあります。
精神保健福祉士の資格を取ることで、幅広い利用者様への対応が可能になり、転職先の幅も広がります。
社会福祉士の資格保持者は、精神保健福祉士国家試験の共通科目が免除されますが、養成所などで専門科目を受講した上で、専門科目の試験に合格する必要があります。
独立開業する
社会福祉士としての実績を活かして独立開業することで年収を増やすことも可能です。
経営者として成功すれば、大幅な年収アップも期待できます。
独立開業するには、社会福祉士としての知識やスキルだけではなく、地域とのつながりや広い人脈、経営に関する知識も必要になってきます。
しっかりとビジョンを持って計画的に準備を行うことで、失敗のリスクを減らすようにしましょう。
副業をする
社会福祉士の知識やスキルを活かした副業を行い、年収を上げるのもおすすめです。
例えば、福祉関係のセミナー講師や、コンサルティングは社会福祉士の経験を活かせるでしょう。
また、障がい者や認知症の人の契約や、金銭管理をサポートする「成年後見人」は、責任のある役割ですが、その分やりがいがありスキルアップにもなります。
他にも、福祉系記事の執筆・監修を行うWebライターは、時間や場所を選ばず取り組めるため、スキマ時間でコツコツ続けることができる副業です。
収入を得られるだけでなくスキルアップにもつながる副業ですが、そちらに時間を取られすぎて本業がおろそかになることは望ましくありません。
また、そもそも副業を禁止している職場も多いため、就業規則をよく確認した上で、上司に相談することをおすすめします。
待遇のいい施設へ転職する
年収の高い施設へ転職することもおすすめです。
同じ職場で働き続けて昇級していく方法もありますが、短期間で大きく年収を上げることは難しいでしょう。
その点転職は、選び方や交渉次第で大幅な年収アップも可能です。
資格手当のつく施設や、年収の高い業界や施設を選ぶと、大きく年収を上げられるでしょう。
社会福祉士は、福祉系の資格の中でも優遇されることが多く、転職先の幅広さも魅力です。
自分の理想とする働き方や年収を叶えるために、求人情報をチェックすることから始めてみてもいいかもしれません。
まとめ
社会福祉士の平均年収について解説しました。
社会福祉士の平均年収は403万円ですが、年齢や職種、雇用形態によって年収は大きく異なります。
社会福祉士として働く人の多くは、お金のためだけでなく、社会貢献や、困った人の役に立ちたいという気持ちを持っているでしょう。
しかし、自分の働きに見合う収入を得られない状況だと、働くモチベーションは落ちてしまい、世の中のため、といった気持ちも薄れてしまうかもしれません。
社会福祉士として長く働き続けるためにも、年収を上げることは重要です。
社会福祉士の年収を上げるには、資格取得や転職といった方法があります。
転職は自身のキャリアプランを見直すきっかけにもなります。
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