医療ソーシャルワーカーとは、主に医療機関に勤務し、専門知識や面接技術で患者様やご家族の問題解決を図るソーシャルワーカーを指し、MSW(Medical Social Worker)とも呼ばれます。
医療・福祉・介護の幅広い知識と、柔軟な対応力が求められる職種のため、雇用側もまず履歴書から適した人材を選定します。
この記事では、医療ソーシャルワーカーの転職で必要な履歴書・職務経歴書・志望動機の書き方やポイントを、例文も交えて紹介します。
目次
医療ソーシャルワーカーの転職で重要なこと
医療ソーシャルワーカーには、多様な知識を患者・家族のニーズに合わせて応用する柔軟性が求められます。知識は業務を重ねる中で学んでいくことも多いため、雇用側は
- 知識を吸収できる向上心
- 患者様・ご家族に寄り添い信頼を得られる人間性
- 感情に左右されず情報を整理・分析できる判断力
などを持った応募者を待っています。面接官に伝わりやすい履歴書にするために、以下のポイントをしっかりと考えておくことが重要です。
転職する理由を整理する
医療ソーシャルワーカーに限らず、転職時には「今の職場では目指す人物像になれないのか?」といった質問が多く聞かれます。
これは転職先の面接だけでなく、退職の意向を示した現在の雇用先からも聞かれる可能性があります。
転職・退職の意向を伝える前に、
- 目指す人物像になるには、どのような経験やキャリアを積むことが必要なのか
- 現在の職場でもできることはないか、転職以外の選択肢はないか
- どのような職種・職場であれば希望するキャリアを叶えられるか
といった内容を吟味しておくことが重要です。
今までの経験を整理する
転職する理由が整理できれば、次はこれまで培ってきた経験について振り返ってみましょう。
心に残った出来事は、それまでの準備や意気込み、苦労したことなども鮮明に思い出せることも多いはず。
それらの出来事を言語化しておけば、履歴書や職務経歴書もスムーズに作成することができます。
ただし思い出をただ羅列するだけでは、まとまりがなく面接官にも伝わりづらい文章になってしまいがちです。
ひとつの事象についてどのような想いで取り組んだか、どういった目的のために行い、どんな結果が出たかを簡潔に分かりやすくまとめておく必要があります。
今後どのようになりたいか具体的にする
これまで積み重ねてきた取り組みを土台として、さらにステップアップしていくためには明確な目標が必要です。
まずは漠然としていてもかまわないので、なりたい自分を想像してみましょう。
- 未来の自分はどのように働いているのか
- 理想とする働き方はどのようなものか
- 理想に近づくために、今からどのような準備が必要か
ぼんやりしていたイメージをどんどん深堀りすることで、徐々に明確なビジョンに絞っていくことができます。
準備にはどれくらいの期間が必要か、必要な手続きはいつまでに行う必要があるか調べておくことで、より具体的な計画が立てられるようになります。
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MSW・相談員転職サポートに登録(完全無料)医療ソーシャルワーカーの履歴書の書き方を解説
履歴書はさまざまな書式のものが販売されていますが、記入する項目はほぼ共通しています。一般的な履歴書をもとに、医療ソーシャルワーカーを目指す人向けに書き方を解説します。
学歴の書き方
学歴は、一般的に高等学校の入学から記載します。名称は省略せず、正式名称で記載しましょう。
「年」については西暦、年号どちらでもかまいませんが、履歴書を通してどちらかに統一しておくほうが読みやすくなります。
年 | 月 | 学歴 |
---|---|---|
平成〇年 | 4 | 東京都立△△高等学校 入学 |
平成〇年 | 3 | 東京都立△△高等学校 入学 |
平成〇年 | 4 | ▢▢福祉大学 社会福祉学部 医療福祉学科 入学 |
平成〇年 | 3 | ▢▢福祉大学 社会福祉学部 医療福祉学科 卒業 |
編入や休学があった場合も、隠さずに明記しておきましょう。理由も併せて記載しておくことで、丁寧な印象となります。
職歴の書き方
職歴欄は、これまで従事していた勤務先について記入します。学歴と同じく、法人名や会社名、役職なども正確な名称で記入しましょう。
正社員として働いていた職歴はもちろん、パートなどの雇用形態で働いていた職歴も記載しましょう。
年 | 月 | 学歴 |
---|---|---|
令和〇年 | 4 | 社会福祉法人〇〇会 △△苑 入職 |
生活相談員として勤務 | ||
令和〇年 | 9 | 一身上の都合により退職 |
令和〇年 | 10 | 社会福祉法人▢▢会 相談支援事業所▢▢入職 |
相談員として勤務 | ||
以下余白 |
退職については詳細に記入する必要はなく「一身上の都合により退職」といった記載でかまいません。
ただし履歴書を確認した上での面接などでは、退職した理由について質問されます。
その場での取り繕いをせず、誠実に答えられるようにしておきましょう。
免許・資格の書き方
免許や資格欄の記入については、学歴や職歴と同じく時系列に並べ、正式名称で記入していくことが基本となります。
加えて、以下のポイントに気を付けて記入しましょう。
- 自動車運転免許を先頭行に記入する
- 業務に関連する資格や免許を優先する
- 資格に応じた文末表現にする
所有している資格によって「取得」「修了」「合格」など表現が変わることがあります。
それぞれの違いを表にまとめました。
資格 | 内容 | 記載する表現 |
---|---|---|
運転免許、国家資格など | 免許および免状が交付されるもの | 取得 |
検定など | 合格証が交付されるもの | 合格 |
講習、研修など | 一定の要件を満たし認められたもの | 修了 |
医療ソーシャルワーカーの採用については、国家資格である社会福祉士を必須とする医療機関があります。資格取得の状況に応じて、以下のように書き分けるとよいでしょう。
- 受験資格を有し、国家試験を受けるまでの間→受験予定
- 国家試験を受験し、結果発表までの間→結果待ち
- 試験に合格し、資格登録までの間→合格
- 登録終了後→取得
資格や免許は、あなたが学んできたこと、興味のあること、目指したいことの証です。
なぜ取得しようと思ったか、取得したことで取り組んでいきたいことは何かを説明できるようにしておきましょう。
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MSW・相談員転職サポートに登録(完全無料)医療ソーシャルワーカーの志望動機の書き方(例文あり)
履歴書の中でも面接官が特に注視する項目が志望動機です。
想いを伝えるには、ポイントを押さえ簡潔な文章で記入することが重要です。
志望動機を記入する上で気を付けるべきポイントをまとめました。
志望動機を考える上で重要な4つのポイント
志望動機は、自身の想いを面接官に伝えられる数少ない項目です。
雇用側もどのような想いを持った人物なのか、志望動機を通して読み取ろうとしています。
重要となるポイントを4つに絞り、それぞれ解説していきます。
医療ソーシャルワーカーとして働きたい具体的な理由を考える
履歴書を作成する時点で、医療ソーシャルワーカーになりたいと思ったきっかけがあることでしょう。ただぼんやりとした理由ではなく、具体的なエピソードを交えて記入することで面接官は人物像がイメージしやすくなります。
エピソードを記入して終わりではなく、そのエピソードを通して自分がどう感じたか、医療ソーシャルワーカーという仕事を通してエピソードにどのような関わりがあるのかを表現することが重要です。
経験や実績からアピールポイント(自己PR)を整理
仕事やプライベートなどで得たこれまでの経験から、応募先の職場や医療ソーシャルワーカーとして活かせる内容をまとめてみましょう。
医療ソーシャルワーカーの業務は相談支援のほかにも、多職種との連携や統計業務など多岐に渡ります。
医療ソーシャルワーカーの業務に直結する実績はもちろんのこと、他業種で勤務していた場合でも中心となって取り組んでいた活動があれば記入しましょう。
その法人・事業所に応募した具体的な理由
医療ソーシャルワーカーの求人は複数の事業所で募集されていることもあり、雇用側としては「他事業所ではなく、なぜ当方の職場を選んだのか」という理由を知りたがっています。
通勤距離が短いから、他より好待遇だったから、といった理由は面接官への熱意が伝わりにくく、興味を惹きません。
応募先のホームページなどを確認し、基本理念や社会貢献、事業所の機能や役割などを事前にしっかりと理解し応募しましょう。
転職後にどうなりたいかキャリアを考える
転職後のキャリアを通して、自分自身の成長を促進させることも重要な要素になります。
医療ソーシャルワーカーとして普段の仕事でどのようなことを学びたいか、自身が目指す理想像に沿ったキャリアを想定しておくことが必要です。
どんな仕事も、働き始めることはゴールではなくスタートラインです。応募先の特色を踏まえた上で、業務を通してなりたい自分を想像し、文章化してみましょう。
【例文】志望動機
ポイントを押さえることができれば、志望動機を記入することはそれほど難しくありません。
ただし、どの履歴書も記入できるスペースは限られているため、伝えたいことを簡潔にまとめることが重要になります。
医療ソーシャルワーカーを目指すための例文をご紹介します。
例1)4年制大学を卒業→急性期病院の医療ソーシャルワーカー
家族が入院した際にご対応頂いたことをきっかけに医療ソーシャルワーカーを知り、調べていくうちにソーシャルワークを通じて患者様に携わる仕事に就きたいと考えるようになりました。
大学ではソーシャルワーカーコースを専攻し、患者様のニーズにどのように対応するかを考えながら専門知識や技術を学びました。
突発的な事故や疾患で戸惑いを感じる患者様やご家族に関わり、早期から不安を軽減してもらいたい希望から、急性期病棟を持つ貴院を志望します。
ご指導頂きながら業務を行い、回復期病棟や慢性期病棟など、病状時期の違いによる支援方法の変化も学んでいきたいです。
例2)特別養護老人ホームの生活相談員→回復期病院の医療ソーシャルワーカー
特別養護老人ホームの相談員として業務を行う中で、介護だけでなく医療においても助成制度や支援サービスを知らない方が地域に多いと感じていました。
業務で関わった医療ソーシャルワーカーさんに話を聞く中で、豊富な知識を通じて支援する職種に興味を持ちました。
これまでの業務では慢性期から終末期のご利用者の対応を行っていましたが、社会復帰に向けたリハビリテーションを通じ支援をしていく貴院回復期病棟の機能とビジョンに魅力を感じ、志望致しました。
業務経験を活かし、面談や他事業所との連絡調整などを積極的に行いながら、医療機関での支援方法を学び患者様の支援を行いたいです。
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MSW・相談員転職サポートに登録(完全無料)医療ソーシャルワーカーの職務経歴書の書き方(例文あり)
これまでの業務経験や活動内容、社内でのはたらきなどをより具体的に表現できるものが職務経歴書です。
どのような内容を書けばいいのか、記入時の一般的なルールを踏まえて解説します。
職務経歴書の作成で重要なこと
職務経歴書において何よりも重要なことは、あなたが携わってきた仕事について面接官に理解してもらうことです。ポイントとしてまとめると、以下の3つになります。
- 文章は簡潔に記入する
- 応募先の職務に通じる内容を書く
- アピールしたいポイントを盛り込む
職務経歴書は規定の書式がないことが多く、伝えたいことが多すぎるとつい長文になってしまいがちです。分かりやすく伝えるための4W1H(何を・いつ・どこで・なぜ・どのように)を意識して、簡潔に記入しましょう。
職務経歴:在籍期間
これまで勤務していた職場の在籍期間を記入しましょう。
「〇〇年〇月から〇〇年〇月の8年間」
といった書き方であれば面接官も理解しやすくなります。
職務経歴:在籍法人・事務所
勤務先の名称を正確に記入します。法人名や運営会社名も漏れなく記入しましょう。
勤務先病床数や従業員数なども記入しておくと、どれくらいの規模の事業所かイメージしやすくなります。
職務経歴:業務内容・役割
雇用形態や配属部署、および業務内容も忘れず記入しましょう。
どれくらいのポストで働いていたのか、マネジメント経験の有無なども面接官はチェックしています。
また、他業種からの転職であれば、雇用先も把握しきれていない場合もあります。誰を相手に、どのような仕事をどの程度勤めていたのかを記入していきましょう。
職務経歴:実績・成果
これまでの業務を通して得た結果を記入しましょう。担当人数など数字を入れるとより具体的な文章になります。
部署異動や役職の変更があれば、それぞれの実務年数も記入します。
研修や学会などでの発表も立派な成果です。忘れないよう記入しておきましょう。
【例文】職務経歴
上記のポイントを踏まえると、自然と読みやすい職務経歴書が出来上がります。
例文をチェックして、ご自身の記載内容を改めて見直してみましょう。
2011年4月~2024年1月 社会福祉法人〇〇会 △△苑
事業内容:介護老人福祉施設(ユニット型個室、全100床)、地域密着型通所介護、短期入所生活介護
期間 | 業務内容 |
---|---|
2011年4月 ~ 2024年1月 | 【職種】 生活相談員 【業務内容】 ・入所申込者との面談調整 ・外部事業所との連絡調整 ・入所者様 ・ご家族との相談対応 【実績】 稼働率95%以上を維持(2014年4月~現在) |
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MSW・相談員転職サポートに登録(完全無料)アピールポイント:知識・経験・スキル
雇用先は、職務経歴を通して得た経験が新たな職場でどのように活かせるのかを知りたがっています。
職務経歴書上でどのような記入方法が良いか、例文を参考に検討してみて下さい。
迅速なレスポンスと傾聴の姿勢でまず相手の訴えを受け止め、適切な支援方法の提案を行うことができます。
スタッフ内での意見をまとめ、事業所の方針と照らし合わせながらよりよい方向性を示すことができます。
アピールポイント:自己PR
自己PRは、これまでの情報をまとめて自身の言葉で表現できるポイントです。
文章で想いを伝えられるチャンスなので、ぜひ有効活用しましょう。
社会福祉士の資格を取得しており、利用者様やそのご家族中心の支援を軸に業務を行うことができます。
利用者様との面談はもちろんですが、スタッフとの情報共有を密に行うことで円滑な業務推進ができます。
申込から入所までの期間や契約率、利用率や稼働率などのデータ作成を行なっており、様々な要素を客観的な指数として資料作成することができます。
医療ソーシャルワーカーの採用担当者がよくチェックするポイントはどこ?
医療ソーシャルワーカーを雇用する側として、応募書類でチェックされやすいポイントを紹介します。
人と話すことに抵抗がないか
医療ソーシャルワーカーの主な業務は相談対応になるため、一日の業務が面談のみで終わってしまうことも少なくありません。
また、他職種との連絡調整や外部機関からの電話など、言葉でのコミュニケーションが必須となります。
- 喋ることに苦手意識はないか
- 感情のコントロールができるか
- 相手に不快な印象を与えないか
上記のポイントを、履歴書や職務経歴書から読み取ろうとします。
単なるおしゃべりではなく、目的を持った面談ができるかが重要になります。
複数のタスクを並行して進められるか
医療ソーシャルワーカーは複数の患者様への退院調整を並行して取り組んでいます。
病院によっては退院までの期限が定められていることもあるため、常に担当する患者様が入れ替わることも少なくありません。
- 仕事の切り替えができるか
- どれだけの患者様を担当したことがあるか
- 絶えずスキルアップ・ステップアップしていく姿勢があるか
患者様への制度説明も多く、法改正の情報なども敏感に収集しておかなければなりません。
情報収集や統計、分析能力があるか
医療ソーシャルワーカーは退院調整だけでなく、各種加算や患者様の動態などの統計分析が業務の一環になっている場合があります。
Excelやマクロの活用、発表資料作成のためにPowerPointなどパソコンでの業務に慣れているかをチェックされる場合もあるため、パソコンでのスキルなどもあれば記入しておけばよいでしょう。
まとめ
今回は医療ソーシャルワーカーについて履歴書、職務経歴書の記入方法についてまとめました。
医療ソーシャルワーカーの多くは医療機関に配置されており、福祉職でありながら医療分野の知識も必要となる職種です。
覚えることはたくさんありますが、その分自分自身のスキルアップ・ステップアップにもつながるため、非常に有益な仕事といってよいでしょう。
しかしながら、自分に合った職場探しは時間がかかることが多く、情報収集も必要となります。
ケア人材バンクでは転職支援サービスを展開しており、豊富な求人情報や経験のあるキャリアパートナーが対応してくれるため、忙しい中でも情報がすばやく手に入ります。
転職を考えている人も、これから考えたい人も、まずは登録からはじめてみてはいかがでしょうか。
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