精神保健福祉士は、精神障がい者やメンタルヘルスへの問題に対して専門知識で援助を働きかける専門職です。雇用する側ももちろん、精神保健についての専門性を重視して履歴書を確認します。
履歴書は、活動や業務内容を含め雇用側へアピールできる最初の機会です。
ポイントを押さえて作成することで、しっかりと伝えたいことを雇用側へ伝えましょう。
この記事では、精神保健福祉士としての履歴書や志望動機の書き方やポイントを例文付きで解説していきます。
目次
精神保健福祉士の転職で重要なこと
精神保健福祉士の働き方が拡がる今、転職を考える機会も増えたのではないでしょうか。
専門職として転職を考える場合、自分自身を客観的に分析できているのか、これからどのように成長したいのか把握しておくことが重要です。
履歴書を作成する上で大切なことは「精神保健福祉士の資格があるから活かしたい」といった漠然とした思いではなく、なぜこの仕事を選んだのか、現在就いている仕事とは何が違うのかを明確にしておきましょう。
転職する理由を整理する
転職する理由は人それぞれですが「なぜ転職したいのか」という理由を自分なりにまとめておくことが必要です。
現在就いている職場から離れる理由は何なのか、精神保健福祉士としてどのような活動をしていきたいのかという点を整理しておくと履歴書を作成することはもちろん、その後の面接などでも明確に相手側に伝えることができます。
今までの経験を整理する
これまで働いていた職場でどのようなことに取り組んだか、どのような想いを持っていたかを整理しておくと、履歴書からでも人となりが見えてきます。
例えば以下のように、具体的な内容を挙げると内容が分かりやすくなります。
取り組みの中で自分の中で大切にしていたことがアピールできるとよいでしょう。
- 入院患者約50名の担当として業務にあたった。
- 年間300件の相談対応を行った。
- 自治体と協同し新たな支援コミュニティを構築した。
今後どのようになりたいか具体的にする
転職を経て、達成したい目標はどんなものか、転職後に何を成し得たいかを、できるだけ明確に描いておくことが必要です。
雇用側は成長してくれる人材を求めているため「転職することがゴール」と捉えられる理由では採用しにくい可能性があります。
どのような自分になりたいか、転職後の仕事を通して何を得ていきたいかを、なるべく具体的にイメージしましょう。
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PSW/MHSW転職サポートに登録(完全無料)精神保健福祉士の履歴書の書き方とポイント
履歴書はさまざまなものが販売されていますが、記載する内容は共通しています。
一般的な書き方を踏まえながら、記入するポイントを解説します。
すべての項目に共通するルールがあります。
- 正式名称を書く。
- 省略せず事実のみを書く。
- 時系列で書く。
これらのポイントを押さえて、各項目をみていきます。
学歴の書き方
学歴は一般的には高等学校の入学年から書き始めます。「年」は西暦、年号どちらでもよいですが、混在しないよう統一しておきましょう。
大学や専門学校については、学部や学科も正式名称で記入します。
年 | 月 | 学歴 |
---|---|---|
平成〇年 | 4 | 〇〇県立〇〇高等学校 入学 |
平成〇年 | 3 | 〇〇県立〇〇高等学校 卒業 |
平成〇年 | 4 | 〇〇福祉大学 保健福祉学部 精神保健学科 入学 |
平成〇年 | 3 | 〇〇福祉大学 保健福祉学部 精神保健学科 卒業 |
以上 |
編入や休学歴がある場合も時系列に沿って「学歴」欄に記載します。
理由も記入しておくと、読み手が理解しやすくなります。
職歴の書き方
職歴欄にはこれまで就労していた職場について記入します。
アルバイトやパートは記入する必要はありませんが、提出先の業種を踏まえ施設や事業所などアピールできるものであれば記入してもよいでしょう。
年 | 月 | 職歴 |
---|---|---|
平成〇年 | 4 | 医療法人 〇〇病院 入職 |
地域連携室 配属 | ||
医療ソーシャルワーカーとして勤務 | ||
平成〇年 | 3 | 一身上の都合により退職 |
平成〇年 | 4 | 社会福祉法人△△会 入職 |
相談支援事業所▢▢ 配属 | ||
相談員として勤務 | ||
以下余白 |
配属先の名称や役割、役職も正確に記入します。記入枠に余裕があれば、業務内容も簡潔に記入しておきましょう。
退職については詳細に書く必要はなく「一身上の都合により退職」などでかまいません。
ただし履歴書を確認した上で行われる面接では、退職理由の詳細を聞かれる場合がありますので、理由はしっかりと説明できるようにしておきましょう。
免許・資格の書き方
取得している免許や資格を書く時は、以下のポイントを踏まえて記入していきます。
- 自動車運転免許を先頭行に記入する。
- 取得した免許・資格はすべて記入する。
- 業務に関係した資格を優先して記入する。
また、資格にも種類があり、内容によって文末表現が変わります。
資格 | 内容 | 記載方法 |
---|---|---|
運転免許や国家資格など | 免状や免許が交付されるもの | 取得 |
検定など | 合格証が交付されるもの | 合格 |
訓練や講習、研修など | 一定の要件を満たし認められたもの | 修了 |
精神保健福祉士資格の場合では、状況に応じて、以下のように書くと良いでしょう。
- 受験資格を有し、国家試験までの期間 → 受験予定
- 国家試験受験し、結果待ちの期間 → 結果待ち
- 国家試験に合格し、登録までの期間 → 合格
- 登録終了後 → 取得
免許や資格は自身が頑張ってきたことを証明するポイントです。
精神保健福祉士として転職する場合、雇用側が保有資格の条件を提示している場合もあるため、正しく記入しましょう。
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志望動機は、雇用側が最も注目するポイントといえるでしょう。記入するにあたって例文を示しながら解説します。
志望動機を考える上で重要な4つの要点
雇用する側は、あなたがなぜ転職を考えたのか、数ある事業所の中から選択してくれたのか、理由を知りたいと考えています。
今のあなたの想い、これからの想いを表現できる場所です。
以下のポイントを押さえて、伝えたいことをしっかりと相手に伝えられるようにしておきましょう。
1.精神保健福祉士として働きたい理由
精神保健福祉士の資格を保有していても、必ず精神保健の仕事に就かなければならない義務はありません。
その上で、他の業種や資格ではなく精神保健福祉士として働きたい理由を、簡潔にまとめましょう。
2.どんな経験があり、何ができるか(自己PR)
これまでどのような経験を積み、今後にどのように活かせるかを記入します。
ただ経験を書き連ねるのではなく、就職を希望している事業所の業務内容や活動を把握し、今までの業務経験の中で、活かせること経験をピックアップしましょう。
同じ業種からの転職であれば、以前にはどのような業務に取り組んでいたのか、他の業種であれば転職先の業務内容で活かせるスキルや経験を記入していきましょう。
3.なぜその転職先を選んだのか
事業所側は、活躍できる人材を求めています。自宅が近いから、他より待遇がよかったから、といった理由の人材には魅力は感じにくいでしょう。
事前に事業所のホームページをチェックし、会社概要や理念、業務内容をしっかりと理解し、選んだ理由を明確にしておきましょう。
4.転職後にどうなっていきたいか
転職後、どのような想いで働いていくのか、自分自身をどのように高めていきたいのかを記入しましょう。
あなた自身が描く活躍のイメージを雇用側もイメージできれば、採用にグッと近づきます。
短期目標、長期目標と分けて考えるのも良いでしょう。
【例文】志望動機
これら4つの要点を整理したら、志望動機を作成してみましょう。
精神保健福祉士の転職として、よくあるケースの志望動機を例文でご紹介します。
医療ソーシャルワーカーとして、急性期の病院で入院患者様の退院支援を行う中で、入院経緯となった疾患以外にも精神的な悩みを持つ方が多くいらっしゃることを感じました。
患者様のフォローをする中で、精神保健福祉分野を深く学びたいと思い、昨年に精神保健福祉士の資格を目指し取得に至りました。
退院調整で培った面接技術と社会資源の知識を踏まえ、精神保健分野での新たなアプローチ方法を身に着けたいと思っています。
その上で入院患者様および外来患者様へよりよい支援を行い、不安を軽減できる支援ができるよう努めたいです。
保健所での精神保健福祉相談担当として勤務している中で、寄せられる相談に対し、窓口でしか対応できないことにジレンマを感じ、より身近な支援を行いたいと思い貴事業所を希望致しました。
相談窓口では、悩みを抱え来所された方への支援は行えますが、潜在的な悩みを持ったまま生活している方や、想いをなかなか外に表現できない方も地域にたくさんいらっしゃると感じ、貴事業所の理念と業務内容を知る中で自分自身の支援方法を見つけたいと感じました。
これまでの業務で身につけた制度内容や支援機関との連携を活かし、利用者様やご家族の持つ悩みをより深く支援を行っていきたいです。
地域の相談窓口として活動し、高齢者を中心とした地域課題に取り組んでまいりました。保健所と連携し活動する中で、地域の子ども達を見かけることも多く、児童に関わる仕事をしたいと思うようになり貴事業所を希望致しました。
地域包括支援センターでは、地域でのさまざまな問題の相談を受け、多職種と連携しながら解決方法を探していました。
貴事業所では、児童ひとりひとりに対し向き合うことを大切にする理念を伺い、私が考える「個人の悩みを支援することで地域への支援につながる」という想いを活かし働ける職場と感じました。
これまでの業務で構築した各支援機関との協力体制を活かしながら、児童の持つ課題ひとつひとつに向き合っていきたいと思います。
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精神保健福祉士の採用担当者がよくチェックするポイント
精神保健福祉士を募集している事業所の多くは、既に他の精神保健福祉士が就労していることも多く、履歴書も専門的視点から目を通す可能性があります。
採用側として、担当者がまず確認するポイント、チェックされやすい内容について解説します。
これまでの経歴と理由
転職の場合、まず最初に見られやすいのが職歴欄です。
直前の就職先がどのような業種かはもちろん、これまでの職歴にどのような経歴があるか、継続して勤務している期間はどれくらいかをチェックされます。
短期間で複数の事業所に転職している場合は「仕事が長く続けられない理由は何なのか」という疑問点が生まれます。
ただし、転々としているからといって必ずしもデメリットになる訳ではありません。
スキルアップやステップアップ等、一貫性のある目的を持った転職であれば、自身にしっかりとした考えを持つ志望者としてメリットともなり得ます。
一貫した想いと志望動機につながりがあれば、履歴書だけでも十分メッセージ性のあるツールになります。
事業所の雰囲気や特色に合いそうか
同じ 精神保健福祉士を募集中の事業所であっても、それぞれの事業所での特色があります。
採用担当者は「応募者が仮に入職した場合、事業所の中にどのような変化が起きるか」を想定しながら履歴書に目を通します。
職歴や志望動機、趣味・特技の欄を見ながら、採用担当者は人物像を想定します。文章であっても完成度が高ければ、それだけで人物像が見えてきます。
また、文字の書き方やバランスの取り方、丁寧さからも人物像が想定されることがあるため、焦って履歴書を適当に記入しないようにしましょう。
面接をしてみたいと思える履歴書か
転職における履歴書はゴールでなく、あくまで通過点です。実際の採用については、履歴書確認後に面接がある事業所がほとんどです。
面接に臨むにあたって、履歴書を確認した時点で「会って話をしてみたい人物か、そうでないか」といった想いが採用担当者の中に形成されます。
採用担当者は、多ければ年に何十枚もの履歴書に目を通します。
テンプレート通りの履歴書は印象に残りにくく、面接で志望者はその印象を取り払うことからスタートしなければなりません。
志望動機でどれだけ「会ってみたい」と思わせるかが重要です。自分なりの想いをしっかりと記入しましょう。
まとめ
今回は、精神保健福祉士の履歴書作成についてまとめました。
専門職としてもとめられる精神保健福祉士は、履歴書の上でもこれまでの活動や経歴をしっかりとチェックされます。
事業所の情報に寄りすぎてしまうと、精神保健福祉士としての専門性からかけ離れてしまうこともあり、結果として事業所の求める人物像と乖離してしまう可能性があります。
精神保健福祉士の倫理を前提としながら自分自身を表現することで、履歴書は大きな武器になります。
転職となれば、履歴書の書き方を含め不安な点も増えてしまいますが、「ケア人材バンク」の転職支援サービスではこだわりの求人探しから面接対策まで幅広いサポートが可能です。
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