相談支援専門員とは、障がいを抱える18歳以上の方や児童、そのご家族が持つ生活のしづらさや不安、困りごとに対して相談支援を提供するプロフェッショナルです。

相談支援専門員は、2005(平成17)年に制定された自立支援法において位置付けられた資格です。2020(令和2)年には相談支援専門員研修制度が見直され、研修カリキュラムが改正されました。国が相談支援専門員の育成や援助に取り組み、相談支援の要として考えている重要な資格です。

相談支援専門員になるために必要な要件や研修スケジュール、内容などをわかりやすく解説しています。ぜひ、ご自身のキャリアアップのためにお役立てください。

この記事の要点まとめ
  • 相談支援専門員になってスキルアップするための資格要件について詳しく解説!
  • 相談支援専門員に必要な研修の都道府県別の概要を解説!
  • 相談支援専門員の資格取得にかかる時間や費用についても把握できる!

相談支援専門員の資格や仕事内容について詳しく知りたいという方は、こちらの記事も併せてお読みください。

相談支援専門員の資格についてはこちら

相談支援専門員になるための資格要件とは

相談支援専門員になるためには要件が2つあります
それは実務経験と相談支援従事者初任者研修を修了することです。

実務経験は、業務に応じて3〜10年の経験が必要です。
この実務経験を満たすことで、もう一つの資格要件である相談支援従事者初任者研修を受講できるようになります
相談支援従事者初任者研修を修了すると相談支援専門員として活躍できます。

また、相談支援専門員として活躍し続けるために、5年に1度更新研修を受講することが必要です。

資格要件にある実務経験と相談支援従事者初任者研修について、詳しくみていきましょう。

①相談支援専門員になるためには実務経験が必須

相談支援専門員となるための実務経験は、業務経験や保有する資格によって異なります。
詳しい実務要件は、相談支援専門員の資格要件のフローチャートをご確認ください。

相談支援専門員に必要な実務経験は、業務内容や保有する資格によって変わってきます。
ご自身のキャリアを振り返り、受講要件を満たしているかしっかり確認しましょう。

②相談支援従事者初任者研修の修了が必須

相談支援専門員になる要件の一つが、相談支援従事者初任者研修を修了することです。
相談支援従事者初任者研修は、相談支援専門員として必要な知識やスキルを獲得するための研修です。
「相談支援経験が少なくて心配」「業務で何をすればいいの」と感じている方も講義や演習を通して実践で活かせる知識やスキルを習得できます。 

相談支援従事者初任者研修は各都道府県で実施しており、カリキュラム内容が定められているため、どこで受講しても相談支援専門員として必要な知識が得られます。
一方、都道府県ごとに実施回数や開催時期、受講費用などが異なります

ご自分の地域で、いつ、どのようなスケジュールで開催されているか、受講にどのくらい費用がかかるかなど把握しておくことが大切です。

自分の地域の状況を知りたいという方はこちらから、都道府県一覧の研修概要をご確認ください。

③相談支援従事者現任研修の受講が5年に1度必要

相談支援専門員を続けていくためには、資格の更新が必要となります。
更新のためには、相談支援従事者現任者研修の受講が必要です。

相談支援従事者現任者研修は、相談支援専門員として日々の支援やソーシャルワークを振り返り、より良い支援に必要なスキルの獲得。利用者様やご家族の生活に大きな影響を与える制度・施策、情報をアップデートする研修です。

相談支援従事者初任者研修を修了した翌年度を1年目として、5年以内に相談支援従事者現任者研修を受講するよう決められています。
5年以内に受講しないと、相談支援専門員の資格が失効します。失効した時は、再び相談支援従事者初任者研修を受講して資格を取得しなければなりません。
更新年度はしっかり把握しておくことが重要です。

相談支援従事者現任者研修の受講要件は下記の通りです。

  • 過去5年間のうち、2年以上相談支援の実務経験があること
  • 現に相談支援業務に従事していること

相談業務とは、指定一般相談支援事業所、指定特定相談支援事業所及び委託相談支援事業所における相談支援業務が該当します。

相談支援従事者初任者研修を修了して、初めて相談支援従事者現任者研修を受講する時には「過去5年間のうち、2年以上相談支援の実務経験があること」の要件が必須です。

受講要件を満たす限り、どの年度で受講しても良いですが、資格更新が必要な5年間のサイクルは、相談支援従事者初任者研修修了の翌年度から5年サイクルとなります。相談支援従事者現任研修を受講した翌年度から5年間が受講期間ではありません。
更新期間にはお気をつけください。

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相談支援従事者初任者研修について

相談支援専門員になるための必須条件となる相談支援従事者初任者研修。
2020(令和2)年度から新カリキュラムとなり、運用されています。
新カリキュラムでは、研修時間が31.5時間から42.5時間に変更となり、11時間ボリュームアップしました

また、ピアサポートの視点から、障がいを抱える当事者の方が相談支援専門員の担い手になることが重要と考え、障がい当事者が受講する機会や環境などに配慮して実施されています。

相談支援従事者初任者研修の目的

相談支援従事者初任者研修の目的は、障がいを抱える方やご家族が慣れ親しんだ地域で、自分たちの希望や考えから望む場所、望む生活を送るため、相談支援を通してサポートする相談支援専門員を養成することです。

新カリキュラムが導入されてから、以下の4点が重点ポイントとして実施されています

  • 意思決定支援への配慮
  • 高齢障がい者への対応
  • サービス等利用計画の質の向上
  • 障がい福祉サービス支給決定の適正化等を図り、質の高いケアマネジメントを含む地域で活躍する相談支援専門員の養成

利用者様やご家族のニーズや取りまく環境に応じて支援できるよう、相談支援専門員の研修もアップデートしています。

相談支援従事者初任者研修の内容

相談支援従事者初任者研修は、7日間の研修と約1ヶ月間のインターバル実習が2度含まれるカリキュラムとなっています。
研修は講義2日間と演習5日間で構成され、講義はオンライン講義や動画視聴を取り入れている地域もあります。

相談支援従事者 初任者研修の流れ

  • 1日目講義
  • 2日目講義
  • 3日目演習
  • 4日目演習
  • 1カ月実習
  • 5日目演習
  • 1カ月実習
  • 6日目演習
  • 7日目演習
  • 修了 

講義や演習では、相談支援に関する基本的な知識から福祉、医療、就労、教育などのサービスを活用した支援の知識や援助技術を学べます。

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相談支援従事者初任者研修の詳細

相談支援従事者初任者研修は5つのテーマに大別され、効果的な形式で実施されます。

  • 障がい児者の地域支援と相談支援従事者(サービス提供責任者・児童発達支援責任者)の役割(講義)
  • 相談支援におけるケアマネジメントの手法(講義)
  • 障がい者総合支援法及び児童福祉法の概要並びにサービス提供(講義)
  • ケアマネジメントプロセス(講義及び演習)
  • 相談支援の基礎技術(実習)

出典:相談支援従事者初任者研修標準カリキュラム(案)

講義、演習で学んだことを実習で実践し、演習で振り返ってより理解を深めるという流れで研修は行われます。

各都道府県での相談支援従事者初任者研修の実施状況を確認していきましょう。

相談支援従事者初任者研修の対象者以下に制限しているエリアもあります

  • 「指定一般、特定または障がい児相談支援事業所で相談支援専門員として従事予定の方」
  • 「新規事業として立ち上げ予定の方」

また、エリアによっては、県外の方でも受講できる場合もあります

相談支援従事者初任者研修の講義部分は「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修」との共通科目となっているため、演習のみ受講することで相談支援専門員の資格を取得できる方もいます。詳細は実施先にお問い合わせください。

費用については、別途テキスト代が必要なエリアもあります。

地域によって開催時期や回数、費用などが異なります。
詳しくは、ご自身の受講する地域の自治体ホームページ等をご確認ください

都道府県主催元参考URL
海道北海道地域ケアマネジメントネットワーク北海道地域ケアマネジメントネットワーク
青森県社会福祉法人青森県社会福祉協議会社会福祉法人青森県社会福祉協議会
岩手県一般社団法人岩手県社会福祉士会一般社団法人岩手県社会福祉士会
宮城県一般社団法人宮城・仙台障がい者相談支援従事者協会障がい福祉サービス等に係る研修について
秋田県社会福祉法人 秋田県社会福祉事業団相談支援従事者研修
山形県社会福祉法人山形県社会福祉事業団山形県障がい者相談支援従事者研修の開催について
福島県一般社団法人福島県相談支援専門員協会福島県障がい者相談支援従事者養成研修の開催について
茨城県(一社)茨城県心身障がい者福祉協会一般社団法人茨城県心身障がい者福祉協会研修事業
栃木県特定非営利活動法人 栃木県障がい施設・事業協会栃木県相談支援従事者初任者研修開催について
群馬県有限会社プログレ総合研究所相談支援従事者初任者研修を開催します
埼玉県有限会社プログレ総合研究所埼玉県相談支援従事者初任者研修
千葉県千葉県千葉県障がい福祉に関する研修
東京都東京都心身障がい者福祉センター東京都心身障がい者福祉センター
神奈川県特定非営利活動法人 かながわ障がいケアマネジメント従事者ネットワーク(事務局)研修・イベント情報
新潟県一般社団法人新潟県相談支援専門員協会新潟県相談支援専門員協会
富山県富山県相談支援専門員協会(協力)富山県相談支援従事者初任者研修について
石川県(社福)石川県社会福祉協議会 福祉総合研修センター障がい福祉関連の研修について
福井県福井県福井県相談支援従事者研修について
山梨県社会福祉法人山梨県障がい者福祉協会相談支援従事者初任者研修
長野県特定非営利活動法人 長野県相談支援専門員協会特定非営利活動法人長野県相談支援専門員協会
岐阜県社会福祉法人岐阜県福祉事業団障がい者地域支援・研修センター相談支援従事者初任者研修
静岡県社会福祉法人あしたか太陽の丘静岡県相談支援従事者・サービス管理責任者等研修
愛知県社会福祉法人愛知県社会福祉協議会福祉局障害福祉課
三重県特定非営利活動法人三重県相談支援専門員協会三重県相談支援従事者初任者研修
滋賀県滋賀県自立支援協議会各研修の受講をお考えのみなさまへ
京都府(福)京都府社会福祉協議会 京都府福祉人材・研修センター障害福祉サービス等事業者向けの情報
大阪府大阪府社会福祉事業団/大阪府障がい者福祉事業団/大阪市障がい者福祉・スポーツ協会大阪府/相談支援従事者研修について
兵庫県社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団兵庫県相談支援従事者研修について
奈良県株式会社パソナライフケア【奈良県】障がい福祉サービス人材育成研修事業 TOP
和歌山県社会福祉法人和歌山県福祉事業団社会福祉法人和歌山県福祉事業団
鳥取県特定非営利活動法人鳥取県障がい者相談支援専門員協会鳥取県相談支援従事者研修
島根県社会福祉法人島根県社会福祉協議会 島根県福祉人材センター島根県福祉人材センター – 研修情報
岡山県学校法人 旭川荘岡山県相談支援従事者初任者研修について
広島県社会福祉法人 尾道さつき会広島県相談支援従事者研修及びサービス管理責任者等研修について
山口県学校法人YIC学院相談支援従事者研修及びサービス管理責任者等研修について
徳島県徳島県障がい者相談支援センター徳島県 障がい福祉
香川県香川県福祉関係研修等事業
愛媛県特定非営利活動法人愛媛県知的障がい者福祉協会特定非営利活動法人 愛媛県知的障がい者福祉協会
高知県高知県高知県相談支援従事者研修・高知県サービス管理責任者等研修
福岡県一般財団法人保健福祉振興財団福岡支部令和5年度 福岡県相談支援従事者初任者研修
佐賀県公益社団法人 佐賀県社会福祉士会公益社団法人佐賀県社会福祉士会
長崎県長崎県障がい者社会参加推進センター研修案内
熊本県一般財団法人保健福祉振興財団福岡支部熊本県 相談支援従事者 初任者研修
大分県大分県相談支援従事者初任者研修の実施について
宮崎県社会福祉法人善仁会宮崎県 地域生活・自立支援
鹿児島県社会福祉法人 鹿児島県社会福祉協議会 福祉人材・研修センター鹿児島県社会福祉協議会研修管理システム
沖縄県特定非営利活動法人おきなわ障がい者相談支援ネットワーク特定非営利活動法人おきなわ障がい者相談支援ネットワーク
都道府県別_相談支援専門員研修情報掲載一覧

修了後の流れと注意点

相談支援従事者初任者研修を修了後、修了証書が交付され、相談支援専門員として配置可能となります。
修了証書は紛失等しても再発行してもらえないので、大切に保管してください。
都道府県によっては「研修修了証明書」を発行してもらえることもありますが、ご自身のスキルアップした証はしっかり管理していきましょう。

まとめ

相談支援専門員になるために必要な研修について、詳しく解説してきました。

ポイントを改めて確認してみましょう。

  • 相談支援専門員になるためには「実務経験」と「相談支援従事者初任者研修の修了」という2つの要件を満たす必要がある。
  • 相談支援専門員として活躍し続けるためには、5年に1度「相談支援従事者現任者研修」を修了し更新が必要。
  • 研修は各都道府県で実施されており、開催時期や回数、受講費用などはエリアによって異なる。

日々、利用者様やご家族に対して「もっとできることがあるのでは」「自分のスキルを高めることで課題解決できるのでは」と熱意を持って支援していることでしょう。一方では自分一人の力に限界を感じて、やるせなさを感じることもあるでしょう。

相談支援専門員は相談支援を通して利用者様やご家族が望まれる生活に近づくことや生活の満足度を上げるサポートを提供できます。また、チーム支援の要として力を発揮することで、いろいろな専門職と連携を図り、自分だけでは解決できなかった課題や問題を解消できます。

さらに、国の福祉施策の中でも重要な位置付けとされており、現在も将来的にも求められているのが、相談支援専門員です。

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