ケアマネジャーの「更新研修」って何?「専門研修」との違いは?と疑問に思っている方がいるのではないでしょうか?更新研修はケアマネジャーに従事し続けるためには必要な研修です。
5年に1度、更新研修を受講し、資格証の更新をする必要があります。
更新研修も、実務研修と同様に都道府県ごとに内容や時間が異なっています。

今回は、更新研修の都道府県別の内容や種類、今後の変更点や受けないとどうなるの?という身近な疑問を解説します!

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この記事の要点まとめ
  • ケアマネジャーの更新研修の研修内容は都道府県別で違うので、地域別で情報をチェックし、更新研修に備えよう!
  • 専門研修との違いを知り、自身でどの研修を受ける必要があるのかフローチャートで確認しよう!
  • 更新研修で使用する事例(演習)シートを知り活用することで、ケアマネジャー業務に活かし、実際に研修を受講する時にも、慌てず対応することができる!

ケアマネジャーの更新研修について

ケアマネジャーの更新研修には、更新研修と専門研修大きく2つに分かれています。研修内容の違いや、今後どの研修を受けたら良いか、確認していきましょう。

ケアマネ更新研修の研修内容

更新研修とは、現役で活躍しているケアマネジャーが、一定の実務経験をもとに、価値(態度)、専門知識、技術の修得を図り、専門性を高め、資質の向上を図るために設けられた研修です。5年に1度、専門職としての能力の保持と向上を図るために、受講する必要があります。
実務研修とは別で、経験を積んだケアマネジャーが集まっているので、内容が濃く難しくなっています。

更新研修で修得を期待させる目標は以下の通りです。

  • 利用者主体、自立支援、公正中立、権利擁護、守秘義務について理解を深め、自立支援のためのニーズを導きだすこと
  • 自身のケアマネジメント実践を振り返り、課題を明らかにし、改善方策を導きだすことができること
  • 保健・医療・福祉に関する理解を深め、社会資源の活用や連携方法を知る
  • ケアマネジメントの展開における面接・コミュニケーションの技法の基本が確認できる
  • 他職種との連携に取り組むことができるケアマネジャーとなるように、自己研鑽への意欲を高める。

参考:介護支援専門員専門研修課程Ⅰ・更新研修A 講義・演習テキストより

以上の内容を修得、再確認するために更新研修が設けられています。ケアマネジャーは人相手の仕事であるため、日々情報更新や自己研鑽が必要です
介護保険の制度を学び、地域の社会資源を知ることで、より良いケアマネジメントが実施できます。

更新研修の主な内容
  • 自身で作成したケアプランを基に、事例検討を行います。更新研修の開始前にケアプランの提出が宿題として求められることがあります。
  • 各都道府県の研修会場やオンライン講義を受講します。どちらを希望するかは、自身で選べます。最近は自宅や職場で出来るオンラインで受講する人が増えています
  • 事例シートを基に、事例検討の進め方や考え方、その後のケアプランへの活かし方を更新研修最終日まで検討していきます

上記のように、更新研修は事例シートの作成の仕方を学び理解を深めるという内容が多くを占めています。

ケアマネジャー更新研修フローチャート

「どの研修を受ければいいか分からない!」という方は、以下のフローチャートを参考にしてみてください。ケアマネ更新研修は、都道府県ごとに異なる場合もございますので、各都道府県のホームページも合わせてご確認ください。

実務経験がない
ケアマネとして今後働いていきたい
更新研修54h
(実務未経験者)
更新不要
実務経験がある
(更新研修が初めて)
実務経験
6か月未満
実務経験
6か月以上
3年未満
実務経験
3年以上
更新研修88h
専門研修Ⅰ:56h
更新研修32h
専門研修Ⅰ:56h
専門研修Ⅱ:32h
実務経験がある
(更新研修2回目以降)
前回更新時、実務未経験者用の研修を受講
前回更新時、88hの研修を修了
前回更新時、32hの研修を修了
専門研修Ⅰ:56h
専門研修Ⅱ:32h
※1
専門研修Ⅱ:32h
※2
専門研修Ⅱ:32h
※2
更新期限が切れている
ケアマネとして今後働きたい
再研修54h
研修不要

※1.または専門研修Ⅰ:56h+更新研修32h、または更新研修88h
※2.または更新研修32h

出典:公益財団法人 東京都福祉保健財団

専門研修と更新研修の違い

更新研修と専門研修の違いは、実務経験の年数によって受ける研修が変わってきます。

実務経験者向けの「専門研修」と「更新研修」は、研修のカリキュラム自体は同じ、という都道府県が多く、どの研修を受講すればいいか分からなくなる場合もあるかと思います。
これらは、実務経験の有無と、ケアマネの現任有無などで、受けられる研修が異なります。

資格の更新が初めての場合、実務経験の年数によって、受講する研修が決まっている場合が多いのですが、2回目以降の更新からは、受講要件を満たした時点で、ケアマネジャーとして働いているかどうか、で受けられる研修が変わるケースがあります。

例えば、東京都の場合、2回目以降の資格更新で受講対象となる「専門研修Ⅰ」「更新研修Ⅱ」が受けられるのは、ケアマネジャーとして実務に従事していること、が条件とされているため、その時点でケアマネジャーとして働いていない場合は「専門研修」は受講できません。その場合は、同じカリキュラムの「更新研修」を受講することになります。

都道府県ごとに違いがあるため、詳細は管轄の自治体HPをご確認ください。


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更新研修の事例(演習)シートの記入例

更新研修では、事例シートを使用し、グループワークを行っていくという内容がほとんどです。事例シートは、自分の考え方の傾向や思考プロセスを振り返り検証するという目的で用いられています。この事例シートを活用することで、より良いケアマネジメントが実現できます

では、事例シートとはどんなものなのでしょうか?都道府県ごとにシートが異なりますが、ここでは実際に兵庫県の研修で使用された事例シートを見ていきます。

事例(演習)シートの内容

例)兵庫県の事例シート

事例シート
参考:介護支援専門員専門研修過程Ⅰ演習ワークブック(改定2版)

事例シートは、演習シート(プロセスシート)とも言われています

  1. 利用者の語り(困りごと、要望)を記入します。これは、利用者様やご家族が言ったことをそのまま記入します。
  2. ADL、IADLに沿って「健康状態・利用者の生活機能と背景因子」を記入していきます。ここでは、実際の利用者の状況や現在行っている活動、制約されていることや、個性まで細かく記入していきます。
  3. ケアマネジャーや介護職員、主治医など専門職の意見を記入していきます。専門職によって様々な意見があり、それを上手く取りまとめる必要があります。
  4. 今後どのような可能性が考えられるか?悪化リスクと改善可能性の両方での評価します。例えば、薬の服薬を確実に行うことで、糖尿病、高血圧症の悪化が予防できる。しかし、薬の飲み忘れがあると糖尿病、高血圧症が悪化し、動脈硬化が進み脳梗塞再発のリスクがある。など可能性とリスク両方を記入していきます。
  5. 「生活のニーズ」利用者様のことばを代弁した表現を記入します。ここでは、「~したい。~で困っている」という言葉で記入します。この箇所がケアプランのニーズに当たる部分となってきます。
  6. 利用者の目標の設定をします。ニーズに沿った目標となるように設定します。ここは、ケアプランの「長期目標」となります。

以上が事例シートの記入例です。慣れないうちは時間がかかりますが、ベテランのケアマネジャーは、実際に紙に書かなくても、頭の中で事例シートに沿ってケアプランを作成しています。

事例(演習)シートの記入例

事例シート記入例

このように、一つずつ利用者様の課題を整理しながら記入し、事例シートをもとにケアプランに落とし込んでいきます。これによって、より利用者様やご家族に具体的でわかりやすいケアプランとなり、目標達成に向けた課題も見えます。
また、専門職の間で情報を共有する時も、誰がどのような役割でということが明確となってきます。


【2024年度】更新研修カリキュラムの見直しについて

3年に1度更新される介護保険の見直しと時代に合わせた介護の変化に対応できるように、それに沿った研修を追加、見直しをしていくことが検討されています。

ケアマネジャーの質の確保を行うために、介護保険の取り巻く動向はもちろんのこと、介護保険以外の領域も含めて、制度・政策、社会資源等についての近年の動向を押さえる必要があるとの見解から見直しとなっています。

2024年度ケアマネ更新研修の内容変更点

専門研修Ⅰの見直しポイント

  • 「ケアマネジメントにおける実践の振り返り及び課題の設定」の時間数減(12時間→8時間)
  • 「ケアマネジメントの実践における倫理」の時間数増(2時間→4時間)
  • 「個人での学習及び介護支援専門員相互間の学習」の時間数増(2時間→4時間)
  • ケアマネジメントの演習に関する科目の事例類型の見直し
  • 制度・政策、社会資源等についての近年の動向に関する内容を反映
専門研修Ⅰ>科目手法時間
ケアマネジメントにおける実践の振り返り及び課題の設定講義
演習
12h→8h
介護保険制度及び地域包括ケアシステムの現状講義3h
【科目名変更】
対人個別援助技術及び地域援助技術

ソーシャルケースワーク及びコミュニティソーシャルワーク
講義3h
ケアマネジメントの実践における倫理講義2h→4h
【科目名変更】
ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の実践

生活の継続を支えるための医療との連携及び多職種協働の実践
講義4h
【科目名見直し】
ケアマネジメントの演習
リハビリテーション及び福祉用具の活用に関する事例

ケアマネジメントの演習
生活の継続を支える基本的なケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
看取り等における看護サービスの活用に関する事例

脳血管疾患のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
認知症に関する事例

認知症のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
入退院時等における医療との連携に関する事例

大腿骨頸部骨折のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
家族への支援の視点が必要な事例

心疾患のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
社会資源の活用に向けた関係機関との連携に関する事例

誤嚥性肺炎の予防のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
状態に応じた多様なサービスの活用に関する事例

他法他制度の活用が必要な事例のケアマネジメント
講義
演習
4h
個人での学習及び介護支援専門員相互間の学習講義2h→4h
研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り講義
演習
2h

専門研修Ⅱの見直しポイント

  • 「ケアマネジメントの実践における倫理」科目2hの新設 ※他科目の時間調整
  • 「ケアマネジメントにおける実践事例の研修及び発表」に関する科目の事例類型見直し
  • 制度・政策、社会資源等についての近年の動向に関する内容を反映
<更新研修II>科目手法時間
介護保険制度及び地域包括ケアシステムの今後の展開講義4h
【科目新設】
ケアマネジメント実践における倫理
講義2h
【科目の事例類型見直し】
ケアマネジメントにおける実践事例の研修及び発表
リハビリテーション及び福祉用具活用に関する事例

ケアマネジメントにおける実践事例の研修及び発表
生活の継続を支える基本的なケアマネジメント
講義
演習
4h→3h
【科目名見直し】
看取り等における看護サービスの活用に関する事例

脳血管疾患のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
認知症に関する事例

認知症のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
入退院等における医療との連携に関する事例

大腿骨頸部骨折のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
家族への支援の視点が必要な事例

心疾患のある方のケアマネジメント
講義
演習
4h
【科目名見直し】
社会資源の活用に向けた関係機関との連携に関する事例

誤嚥性肺炎の予防のケアマネジメント
講義
演習
4h→3h
【科目名見直し】
状態に応じた多様なサービスの活用に関する事例

他法他制度の活用が必要な事例のケアマネジメント
講義
演習
4h

※正式なカリキュラム、ガイドラインとして確定したものではありません。

出典:令和3年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業 「介護支援専門員の資質向上に資する研修等の あり方に関する調査研究事業」 【報告書 概要版】

見直しの背景

幅広い視点で生活全般を捉え、生活の将来予測や各職種の視点や知見に基づいた根拠のある支援の組み立てを行うことが介護支援専門員に求められていることを踏まえ、そのような社会的な要請に対応できる知識・技術を修得できるように科目の構成・内容を見直す

介護支援専門員専門研修ガイドライン【検討案】

このことがケアマネジャーとして求められており、ガイドラインに記載されています。
この見直しの背景には、社会情勢の変化でケアマネジャーに求められる役割・能力も変わってきたこと、昨今の制度改正・施策動向を反映させることなどが目的であるとされています。

ケアマネジャーの更新研修を受けないとどうなる?

ケアマネジャーの更新研修を受講しないと、資格証が失効してしまうため、ケアマネジャーとして働くことはできなくなります。1度失効した後でも、再研修を受講すれば再び資格証を手にすることができますが、ケアマネジャーとして働き続けるには、必ず5年に1度更新する必要があります。

万が一更新を忘れて、ケアマネジャーとして従事し続けていた場合は、都道府県から「介護支援専門員証の交付申請をしてください」「更新研修を受講してください」と指導が入ります。
この指導を無視すると「登録抹消」というペナルティが科せられケアマネ資格の再取得が5年間行えなくなります。

都道府県別 ケアマネジャー更新研修詳細

都道府県別でケアマネジャー更新研修の詳細は異なります。
各地域の研修情報をまとめておりますのでこちらもご確認ください。

※最新情報は各自治体のHPをご確認ください。

ケアマネ更新研修 北海道ケアマネ更新研修 滋賀県
ケアマネ更新研修 青森県ケアマネ更新研修 京都府
ケアマネ更新研修 岩手県ケアマネ更新研修 大阪府
ケアマネ更新研修 宮城県ケアマネ更新研修 兵庫県
ケアマネ更新研修 秋田県ケアマネ更新研修 奈良県
ケアマネ更新研修 山形県ケアマネ更新研修 和歌山県
ケアマネ更新研修 福島県ケアマネ更新研修 鳥取県
ケアマネ更新研修 茨城県ケアマネ更新研修 島根県
ケアマネ更新研修 栃木県ケアマネ更新研修 岡山県
ケアマネ更新研修 群馬県ケアマネ更新研修 広島県
ケアマネ更新研修 埼玉県ケアマネ更新研修 山口県
ケアマネ更新研修 千葉県ケアマネ更新研修 徳島県
ケアマネ更新研修 東京都ケアマネ更新研修 香川県
ケアマネ更新研修 神奈川県ケアマネ更新研修 愛媛県
ケアマネ更新研修 新潟県ケアマネ更新研修 高知県
ケアマネ更新研修 富山県ケアマネ更新研修 福岡県
ケアマネ更新研修 石川県ケアマネ更新研修 佐賀県
ケアマネ更新研修 福井県ケアマネ更新研修 長崎県
ケアマネ更新研修 山梨県ケアマネ更新研修 熊本県
ケアマネ更新研修 長野県ケアマネ更新研修 大分県
ケアマネ更新研修 岐阜県ケアマネ更新研修 宮崎県
ケアマネ更新研修 静岡県ケアマネ更新研修 鹿児島県
ケアマネ更新研修 愛知県ケアマネ更新研修 沖縄県
ケアマネ更新研修 三重県
【都道府県別】ケアマネ更新研修一覧

まとめ

更新研修も種類があり、実務経験の有無や期間、更新研修が初回か2回目以降かで受講する研修が違い、研修時間も変わってきます。どの更新研修を受けるのかをしっかり確認し、事前に備えることでスムーズ研修に取り組むことができるでしょう。
長い期間、講習やグループワークがあるため、更新研修を負担に思っているケアマネジャーも多いと思います。しかし、他のケアマネジャーとゆっくり話をする機会や、所属する機関が違うケアマネジャーの意見を聞くことは、資質の向上に大変役に立ちます。
「決められた更新研修だから、仕方なく行こう」という気持ちではもったいないです。

更新研修を受ける際には、自分自身の考えや癖を知り、利用者様やご家族に弊害が無いか、より良いケアマネジメントが出来ているかを考える良い機会となります。

そしてケアマネジャーとして経験を積むために「より良い環境で働きたい!」「ケアマネジャーの経験を活かし、他の施設や居宅も見てみたい!」という方、今すぐ転職を考えていなくても、是非一度ケアマネジャー専門の転職エージェントにご相談ください。


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