ケアマネ資格を得るためには、試験に合格するだけでなく、その後の実務研修を修了する必要があります。
実務研修のカリキュラムは87時間あるため、家事や仕事と両立できるのか不安に思う方もいるでしょう。

本記事では、仕事しながら実務研修を受けるのが辛いと言われる理由や実務研修を乗り切るためのポイントについて解説します。

先輩ケアマネからの具体的なアドバイスもあるため、ぜひ最後までお読みください
なお、ケアマネジャーの実務研修についての記事は『ケアマネ試験合格後の「実務研修」について徹底解説』をご覧ください。

この記事の要点まとめ
  • 実務研修で大変な理由の一つは、研修と仕事の時間管理である
  • 限られた時間で効率よく学習をすすめるために、アプリの活用やすきま時間をうまく利用するのが研修を乗り切るコツ
  • 働きながら実務経験を修了した先輩ケアマネの体験談をご紹介

ケアマネ実務研修と仕事・プライベートの両立は大変?

実務研修を受けながら、仕事とプライベートを両立するのは、多くのケアマネジャーが大変だと感じています。
ここでは、具体的に大変なポイントについて、以下の3点を解説します。

  • 研修と仕事の時間管理が難しい
  • 研修による疲労がたまりやすい
  • 研修の費用負担が大きい

研修と仕事の時間管理が難しい

ケアマネ実務研修は、87時間の講義と3日程度の実習から成り、全カリキュラムの修了が資格取得の条件となります
そのため、研修日程を最優先に調整せざるを得ず、仕事やプライベートの予定を大きく変更する必要があります。

難しい点は、多くの自治体では研修日程が非公開で、合格通知と同時に案内される点です。
なかには、12月の合格発表直後から研修が始まるケースもあり、シフト勤務者にとっては大きな負担となります。

また、研修参加を出勤や出張扱いにしてもらえる職場もありますが、有給休暇や公休を使用して参加しなければならないケースも少なくありません。

そのため、研修と仕事の両立には綿密な時間管理と柔軟な調整が求められ、多くの受講者が困難を感じる要因となっています。

研修による疲労がたまりやすい

実務研修は長期間に渡るため、身体的にも精神的にも疲労が蓄積しやすくなります

長時間のオンライン講義では、パソコン前での集中力維持が求められ、集合研修では新しい環境や人間関係へのストレスも加わります。
グループワークでのディスカッションといった、普段の業務とは異なる活動も疲労をためる要因となるでしょう。

休日はリフレッシュしたいところですが、疲労のために十分な休養がとれないこともあります。

仕事では同僚にシフト調整を依頼し、家庭では家事や育児の負担を増やすことになるため、周囲への申し訳なさを感じながら研修に取り組む方も少なくありません。

過度な頑張りは逆効果になりかねないため、職場や家族の理解と協力を得ながら、自分のペースで乗り切ることが大切です

研修の費用負担が大きい

実務研修は経済的にも大きな負担となります。

研修費用は都道府県によって大きく異なり、最も安い青森県ではテキスト代別で29,500円、最も高い山形県ではテキスト代込みで80,280円にもなります
※最新情報は自治体の情報をご確認ください。

さらに、集合研修や実習の交通費、eラーニング環境の整備など、付随する費用も必要です。

一部の職場では研修費用の助成制度があり、自治体によっては受講料の補助事業を行っているケースもあります
研修開始前に、勤務先や居住地の自治体に問い合わせて、利用可能な支援制度を確認しておくとよいでしょう。

また、ケアマネジャーとして働き続けるためには、資格取得後も定期的な更新研修があり、その都度費用がかかることも念頭に置かなければなりません。

長期的な視点で、職場や自治体の制度を活用し、できる限り費用負担を軽減しながら研修を進めることが重要です

働きながら、ケアマネ実務研修を乗り切るコツ

働きながらケアマネ実務研修を修了するのは大変ですが、決して不可能ではありません。
ここでは、実務研修を成功させるための具体的なコツについて紹介します
上手く取り入れることで、仕事と研修の両立がより円滑になるでしょう。

スケジュール管理アプリやToDoリストで効率的に時間管理する

仕事と研修の両立には、限られた時間を効率的に管理することが不可欠です
それぞれの予定が立て込んでしまうと、今しなければならないことを把握できず、研修課題の提出漏れにつながるリスクがあります。

そのため、スケジュール管理アプリを活用し、研修のスケジュールや仕事のシフト、プライベートなどの予定を一元管理するのがよいでしょう
タスクを可視化することで、無理のないスケジュールを立てられるだけでなく、予定の重複や見落としを防ぐことができます。

また、日々のタスクにはToDoリストを利用するのがおすすめです
優先順位を明確にすることで時間を有効に使えるようになります。

GoogleカレンダーやTrelloなど、高機能かつ無料で使えるものも多いため、自分に合うものを探してみるのもよいでしょう

すきま時間をうまく使って研修の準備を進める

実務研修では、動画視聴や課題提出など、こなすべきタスクが多岐にわたります。

忙しい日々のなかでまとまった時間を確保するのは難しいかもしれませんが、通勤時間や休憩時間などのすきま時間を有効活用することで、効率的に準備を進められます

  • 電車移動中に研修資料に目を通す
  • 昼休みにオンデマンド講義を視聴する

このように、短い時間を積み重ねることで着実に学習を進めることができるでしょう。
移動時間を学習に充てられるオンデマンド授業は特に効果的です。

すきま時間を賢く使うためにも、タスクを細分化して、すきま時間にコツコツと取り組むことを心がけましょう。

家族や友人、同僚の理解とサポートを得る

仕事と研修の両立は、家族や友人、同僚の理解とサポートを得ることが大切です
一人で抱え込んでしまうと、心身共に疲弊してしまうため、周囲に助けを求めることが重要です。

家庭内では…

子どもの送迎や家事の分担について話し合い、協力体制を整えましょう
パートナーや家族に実務研修の大変さを伝え、サポートを求めることが必要です。

職場では…

上司や同僚に研修の日程を共有し、業務調整を依頼するのもひとつの方法です。
研修期間中は、プライベートな時間が減ることを周囲に理解してもらい、支えてもらうことが大切です。

周囲のサポートがあれば、仕事と研修の両立はぐっと進めやすくなるでしょう。
遠慮せずに、周りの人に協力を求めることが、研修を乗り切るコツといえます。

仕事もプライベートも充実させるための上手な時間の使い方

ケアマネ実務研修を受けながら仕事とプライベートを両立させるには、効率的な時間管理が欠かせません。

ここでは、限られた時間を最大限に活用し、研修と仕事、そしてプライベートの充実を図るための具体的な方法をご紹介します。

オンデマンドの授業をなるべく早く修了する

オンデマンドの授業をできるだけ早く修了することで、効率的に研修を進められます
理由は、期限ぎりぎりになると、他の予定や睡眠時間を削らざるを得なくなる可能性があるからです。

仕事や家事で忙しい人でも、空き時間を見つけて少しずつ視聴を進めることで、計画的に受講を終えられます。

また、早めに終わらせておけば、子どもの体調不良や急な予定が入っても焦らずに済みます。

実務研修のカリキュラムの中で、オンデマンドの授業は自分でいつ取り組むのかをコントロールしやすい授業です

なるべく早く修了し、仕事や私生活とのバランスを保ちましょう。

ポモドーロテクニックを活用する

ポモドーロテクニックを活用する方法もあります。

ポモドーロテクニックとは

効率的な時間管理と生産性向上に役立つ優れた方法です。
具体的には、25分間の作業と5分間の休憩を1セットとし、これを繰り返します

短い集中時間と休憩を交互に繰り返すことで、集中力が途切れず作業に取り組めると言われています。

例えば、研修の課題に取り組む際にこの方法を使えば、集中力を維持しながら効率よく作業を進められるでしょう。
「課題が終わるまでとにかくやめない」と長時間作業を続けるのは疲労がたまるだけでおすすめできません

ポモドーロテクニックを活用して作業効率が上がれば、仕事と研修、プライベートのバランスを取りやすくなります

進捗を振り返る時間を設ける

研修の進捗状況を定期的に振り返る時間を設けることで、今すべきことを確認できるようになります

仕事や家事をこなしながらの研修は、計画通りに進まない日もあるため、そのまま放置すると、期日直前に無理が生じかねません。
毎週決まった曜日に進捗をチェックし、いつまでに何をするのか、必要に応じて計画を修正することで、無理なく研修を進められるでしょう

また、これまでの成果を実感することで、モチベーションの維持にもつながります。
忙しいなかでも意識的に進捗を振り返る時間を設け、計画的に研修を進めることが大切です。

仕事と実務研修を両立してきた、先輩ケアマネの体験談・アドバイス

実際に仕事と両立しながらケアマネ実務研修を修了した先輩たちの体験談やアドバイスは、これから研修に臨む方にとって貴重な指針となります。

ここでは、成功のポイントや注意点をご紹介します

講義はしっかり聞く

実務研修を確実に修了するためには、講義にしっかりと耳を傾けることが大切です
講義内容を理解していないと、課題に取り組む際に余計な時間と手間がかかってしまうからです。

特にオンデマンド講義では、あとから該当箇所を探すのに手間がかかるため、最初から集中して聞く必要があります

実務研修は、提出書類の不備や受講態度などによって修了証がもらえないケースもあります。

遅刻や早退を避け、講義や課題に真摯に取り組むことが、実務研修修了への近道といえるでしょう。

体調を整える

ケアマネ実務研修を修了するには、全てのカリキュラムを受講することが必須です。
欠席した場合、他のコースへの振替はほとんど認められず、翌年以降に再受講しなければなりません

例えば、体調不良で休んだ場合でも、例外なく全課程の出席が求められます
そのため、研修中は睡眠や食事、感染対策など、体調管理に細心の注意を払う必要があります。

実務研修を確実に修了するためには、体調管理をおろそかにせず、万全の状態で臨むことが肝心です

研修仲間とのネットワークを活用する

実務研修中に築く仲間とのネットワークは、研修を乗り切るうえで大きな助けとなります
情報共有や相互サポートを通じて学習効率を高め、モチベーションを維持するのに役立つからです。

集合研修で顔を合わせる機会を活かしてコミュニケーションを取ったり、SNSやメールグループを作って情報交換したりすることができます

さらに、研修終了後も悩みの相談や最新情報の共有ができる関係性を構築できる可能性があります。

まとめ

働きながらケアマネ実務研修を修了するのは大変ですが、不可能ではありません。
余裕のある計画を立て、スケジュールをこまめに確認しながら進めていきましょう。

ケアマネの資格があれば、今より条件のよい会社に転職できる可能性が広がります。

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