ケアマネジャーの資格を取得して今の職場に残るべきか、転職するかを迷うことがあると思います。
この記事では、転職してケアマネとして働く場合と、現職でケアマネとして働く場合のメリット・デメリット、また、ケアマネ資格取得後に、転職する際に確認すべきポイントやケアマネ資格を取得しても現職として働く場合の注意点を解説していきます。
今、転職しようか迷っている方は、今後の活動に役立ててください!
目次
ケアマネ資格取得後は転職すべき?
試験合格後、長い研修を終え、無事にケアマネジャーとなった後、転職するかどうか悩みますよね。
このまま転職せずにいるべきか、転職してケアマネとして新たな一歩を踏み出すべきか、難しい選択かと思います。
転職してケアマネとして働く場合のメリット、デメリットを紹介します。
転職してケアマネで働く場合のメリット・デメリット
メリット1:身体の負担が減る
介護職からケアマネに転職した場合、身体への負担が減ると聞きます。
夜勤、不規則勤務がなくなるだけで身体がとても楽になるそうです。
不規則勤務、夜勤は気づかないうちに身体に負担がかかっているようで、日勤帯の勤務になっただけで「身体が楽になった」「毎日のなんとなく疲れている感じがなくなった」という話を聞きます。
また、ケアマネは直接介護をしないため「腰痛から解放された」という声もあります。
メリット2:職場や人間関係を変えることができる
ケアマネ取得後転職することで、今までの人間関係をリセットすることができます。
介護職の人間関係の悩みは多くの方がお持ちかと思います。
そんな人間関係をいったん断ち切ることができ、新たな職場、職種で働くことで、新しいスタートを切ることで、新たな人脈を作っていくことができます。
人脈が広がり、繋がりが増えていくことで、仕事の楽しさも広がっていきます。
デメリット1:新しい職場環境に戸惑うこともある
ケアマネ業務に慣れていない上に、新しい職場環境でやっていかなければならないため、初めは大変かもしれません。
ケアマネはそれぞれが個別ケースの担当をするため、介護職と違い、自分のケースのことは自分でする、という事業所が多いです。
先輩ケアマネの時間を割いて、自分のケースの相談に乗ってもらわないといけないため、関係性ができていないと質問、相談するのにも気を遣うので、先輩ケアマネと信頼関係ができるまで大変かもしれません。
ケアマネは自分1人だけ、という「一人ケアマネ」の施設も少なくありません。
同じ施設内に、相談できる先輩ケアマネジャーがいない場合、仕事に慣れるまで大変かもしれません。
デメリット2:幅広い知識が求められる
介護の仕事をしているのに、介護保険のことをほとんど知らない、知人に介護保険のことを聞かれても答えられないこともあると思います。
ケアマネは幅広い知識を求められるため、初めは分からないことが多く、精神的に大変かもしれません。
ですが、経験を積むことで介護保険だけでなく、医療、福祉関係の知識を幅広く身につけることができ、介護、福祉のスペシャリストになることができます。
今の職場でケアマネとして働く場合のメリット・デメリット
ここでは、現在は、介護士などで働いている方が、今の職場のまま働く場合のメリット、デメリットを紹介します。
現在の職場のままでも不満はないが、理想の働き方があったり、このままこの職場でいいのかな、と思うことはありませんか?
そのような方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
メリット1:融通が利きやすい
長年同じ職場にいると職場との信頼関係ができているので、融通が利きやすく、有給休暇を使いやすかったり、希望休を出しやすかったりと働き方の面で自由が利きやすいです。
また、年数を重ねていると基本給が上がっているため、転職先によっては給料が下がる可能性もあります。
しかし、給料に関しては、今までの経験を考慮される場合も多いようで、現職より上がった、という話も聞きます。
メリット2:役職につきやすい
福祉業界は、離職率が高いこともあり、転職せずに長く同じ職場で働くことで役職につくチャンスが回ってきやすいです。
真面目に仕事をしているといつの間にか上司が退職しており、役職についていた、という話をよく聞きます。
ただ、役職につくと本来の業務以外の業務が増え、利用者様のことだけ考えていたらよかったのに、人員のこと、書類のこと、職場環境のこと…いろんなことを考えないといけなくなり、仕事は楽しくなくなったというマイナスな話も聞きます。
デメリット1:成長する機会を逃がす可能性も
同じ職場で働き続けることも良いことですが、成長する機会を逃している可能性もあります。
外部の人と一緒に仕事をしたり研修で一緒になると刺激を受けることってありませんか。
新しい職場、新しい職員と働くことで、刺激を受けたり、新しい価値観を見出し、成長する機会に繋がったという話を聞きます。
デメリット2:自分に合った働き方を見つける機会を逃している可能性も
今よりご自身に合った働き方ができる機会を逃しているかもしれません。
居宅ケアマネは、現在、様々な働き方ができる事業所が増えてきています。
- 在宅ワークでも事業所に来て仕事をしてもよい。
- ご利用者様宅へ直行直帰してもよい。
- 1人担当すると〇〇円と歩合制。
- 9時〜18時まで出勤。
いろんな働き方ができるようになってきました。
子育て中、介護中は在宅で働きたい、みんなと一緒に働きたい、そのような希望を叶えるような柔軟な働き方が福祉の業界でもできるようになってきています。
今の職場で柔軟な働き方が難しい場合、違う職場でもしかしたら、よりご自身に合った働き方ができるかもしれません。
ケアマネ資格を取得して転職する際に確認すべきポイント
ケアマネ資格を取得し、転職する際には、ケアマネの仕事が自身のイメージに大きくかけ離れないことが重要です。
そのためには、自身の働き方や待遇面の希望を把握し、転職する際には、その内容をしっかりと転職先に伝えることが必要です。
- 「どんなケアマネになりたいのか」
- 「給与や待遇面での希望」
- 「転職先の人間関係」
ここでは、転職する際に確認すべきポイントを詳しく紹介していきます。
居宅ケアマネと施設ケアマネの業務の違いを理解する
ケアマネジャーでも、施設で働くのか居宅で働くのかでは、働き方や業務の内容も大きく変わります。
「自分がどんなケアマネになりたいのか?」を想像し、それぞれの違いを確認することで、思っていたケアマネ業務とは違ったということが起こりにくくなります。
居宅ケアマネ業務と施設ケアマネ業務を比べながら、それぞれの特徴や違いを紹介していきます。
居宅ケアマネの業務
居宅ケアマネは、自宅で生活している要介護者等のケアプラン作成、サービス調整等を行います。
担当者数は44件まで持つことができ、40件前後のケースを担当している事業所が多いです。
毎月行う業務では、以下のような業務があります。
- 利用者様の自宅訪問でのモニタリング
- 提供票の作成
- 実績入力
- サービス調整
- サービス担当者会議の開催
- ケアプランの作成
何かあれば、「ケアマネに連絡、相談」という流れがあるため、業務外のことも頼まれることもあります。
業務以外のことも頼まれたり大変なイメージもある居宅ケアマネですが、サービス事業所、医療機関、地域にお住まいの方等と連携しながら利用者様を支援することは、とてもやりがいのある仕事でもあります。
1人の利用者様とじっくり関わりながら、いろんな機関と連携し、自分が中心となりケアチームを作っていきたい!というような方は、居宅ケアマネがおすすめです。
施設ケアマネ業務
施設ケアマネは、居宅ケアマネとは大きく変わり、担当者数は最大100件まで持つことができます。
その背景には、施設ケアマネの場合は、施設内で完結することがほとんどなので、他の事業所や行政との関わりが居宅ケアマネと比べると少ないです。
毎月の訪問もありませんし、カンファレンスも施設内で行います。
そのため、ケアマネの仕事ということが限られており、介護職と兼務し、夜勤もしている方も多いと聞きます。
ケアマネ兼介護士として、直接利用者様に関わりながら、ケアプランの作成を行うので、臨機応変さや対応力、時間の調整力なども求められます。
限られた時間で、多くの利用者様のことを知って、ご家族に伝える必要があるので、1人1人と密に向き合うことが難しいかもしれません。
「介護の仕事もしたいし、ケアマネの経験も積みたい」と考えている方は、施設ケアマネがおすすめです。
転職先の職場環境やスタッフ人数を確認する
転職先での職場環境やスタッフの人数の確認は必ず行いましょう。
その際に必要なポイントは以下3点です。
業務量は適正か?
ケアマネは、訪問や書類作成など多岐にわたる業務をこなす必要があります。
そのため、大変な担当者を複数人抱えているにも関わらず、件数も非常に多く持っているなどの場合は、業務が追いつかないことがあると聞きます。
「業務量が適正かどうか?」は見た目では、分からないと思いますが、残業の量などで適正な仕事量かどうかの目安にはなります。
転職する際には、「月にどのくらい残業があるのか?」を率直に聞いてみましょう。
人間関係が煩雑ではないか?
営業所では、限られた人数で仕事を行うので人間関係はとても重要です。
上司に話しやすいか、職場の空気が重たくないか、悪口ばかり言っている人はいないかなどは、しっかり確認しましょう。
人間関係にトラブルがあると、仕事でのトラブル以上に精神的にダメージが強く、「ケアマネの仕事をしたくない」と考えてしまいます。
そうならないように、転職する際に職場見学を希望し、働いている職員と実際に話をしてみるのも良いでしょう。
担当件数とスタッフ人数は適正か?
件数を45件以上担当すると減算されるため、45件以内の事業所がほとんどだと思います。
しかし、困難事例を抱えている場合は、その1人の方にかなりの労力が必要となるので、職場内で助け合いながら支援していく必要があります。
その際に、ケアマネの人数が少なく、みんなが担当件数をギリギリまで持っていた場合は、困難事例に向き合うのに、他のスタッフの協力を得ることが難しいと聞きます。
施設の利用者様のケアプランを作成すると共に、介護職として現場に入ることが求められる場合も多いです。
業務に支障がない範囲で、介護をする分には良いのですが、中には、介護の仕事をこなした後、残業でケアマネの仕事をするということもあると聞きます。
営業所でも施設でも、余裕をもったスタッフの人数かどうか、協力体制があるかどうかの確認は必要です。
転職先での研修やサポート体制を確認する
ケアマネになると、5年に1度の更新研修や、認定調査研修、主任介護支援専門員研修など、数多くの研修があります。
研修時間も長く、費用もかかります。
その際に職場が、研修をサポートしてくれる体制があるのかは重要なポイントです。
更新研修は、都道府県により変わりますが、半年から1年の期間で費用も3万〜7万ほどかかるところも多くあります。
そのような研修を、有給を取ってから行き、費用も実費という話も多くあると聞きます。
働き続けるために必要な資格の研修を、職場がサポートしてくれないと休みもお金も減り精神的にも身体的にも疲れてしまいます。
転職する際には、例えば、以下のような研修に対してのサポート体制があるかどうかの確認をすると良いでしょう
- 研修の費用サポートの有無
- 研修の日は出勤かどうか
- オンラインを職場で受講できるかどうか
給与や待遇条件を確認する
仕事をする上で、給与や職場の待遇は非常に重要です。
ここでは、以下確認すべきポイントを3点あげました。
仕事とプライベートの両立ができるか
ケアマネは、土日でも電話がかかってくることもあり、仕事とプライベートの線引きが難しいこともあります。
休みの日もずっと携帯を持たないといけない職場かどうかを見極める必要があります。
柔軟な勤務体制を取り入れているか
ケアマネは、繁忙期と閑散期があり、仕事量が多いときと少ないときの差が激しいです。
そんな時、繁忙期は残業などしながら仕事をするが、閑散期は、逆に出勤時間を縮めたり有給休暇を取ったり出来る環境であれば、仕事にメリハリがつきます。
仕事が落ち着いている時に、「休みを取りやすい環境」であるかは重要なポイントです。
給与は適正範囲か
ケアマネの給与は、地域で大きく差がありますが、同じ地域での営業所と比較し、極端に安くないかどうかやボーナスを支払われているかどうかは転職する際には必ず確認しましょう。
件数もたくさん持ち、認定調査もこなし、主任ケアマネの資格まで取得したが給与が上がらない、もしくは他の営業所や現職と比べて低い場合は、転職先の候補を変える必要があるかもしれません。
ケアマネ資格を取得しても現職で働く際の注意点
ケアマネ資格を取得しても、人間関係や待遇面からなかなか転職に踏み切れず、現職で働き続ける人も多いと聞きます。
ここでは、現職でケアマネをする際に重要なポイントについて解説していきます。
ケアマネのポジションの有無を確認する
現職で、人が足りていない状況であれば異動は難しいと言われてしまうこともありますし、居宅介護事業所にケアマネの方が多くいらっしゃるようでしたら、「今は足りている」と言われるかもしれません。
また、施設ケアマネの場合は、施設に1〜2人という少ない人数なので、現在の施設のケアマネが、転職もしくは退職しない限りは、仕事は回ってこない可能性が高いです。
このように、ケアマネのポジションは、介護職などとは違い空きが出にくいという特徴もあります。
人間関係など知っている人の中で、ケアマネの仕事をする方が精神的には安定するかもしれませんが、より早く、多くの経験やキャリアを積みたい方は、転職してケアマネの仕事を覚えていくことがおすすめです。
手当や待遇面の変化を確認する
現職で働く場合は、手当や待遇面の変化が少なく、そのまま勤続年数を引き継げるため給与やボーナスは、転職するより高いこともあります。
ですが、転職先によっては、福利厚生が充実していたり、ボーナスや基本給が多かったりすることもあるので、手当や待遇面での違いはしっかり確認することが必要です。
また、介護職からケアマネになった場合「処遇改善手当」が無くなるので、給与全体は減ってしまうこともあるので注意が必要です。
職場環境やスタッフ人数を確認する
現職で働き続ける場合、居宅介護支援事業所へ異動した場合であっても、職場のシステムが変わらなかったり、異動しても施設長等の上司が変わらないので、気持ちの面で負担が少ないです。
居宅介護支援事業所は介護職とは違い、同じケアマネとして働く仲間が少ないので、人間関係がより重要になってきます。
施設ケアマネは1〜2名なので、仕事で分からないことがあっても、他の職員に聞きづらいことがあるようです。
ケアマネとして働く場合であっても、部署が変わり、知らない人と働くことになるため、転職するのと同じ感覚、という話も聞きます。
異動先の職場環境でよい噂が聞けない場合は、転職して新しい職場に移るという選択肢も一つです。
研修やサポート体制を確認する
ケアマネ向けの研修は、内部研修だけでなく外部研修が充実している地域も多いため、職場で、勤務内で外部研修に参加できる職場なのか、確認する必要があります。
また、居宅介護支援事業所ではケアマネが一人の利用者様を一人で担当するため、制度のこと等で利用者様へ不利益がでないように、多くの知識が必要になります。
そのときに、どのぐらい事業所内でサポートしてくれるのかは確認しておくとよいと思います。
居宅介護支援事業所には必ず、主任ケアマネが配置されています。
主任ケアマネはケアマネの支援をする立場なので、未経験ケアマネにしっかりとサポートしてもらえるのか確認しましょう。
まとめ
ケアマネの資格を取得した後の働き方は多くの方が悩まれていることだと聞きます。
現職で働く場合でも、転職する場合も注意すべきポイントは「人間関係」と「待遇面」です。
現職で働いている場合に、「知っている人がいる方が安心」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ケアマネ資格を取得し、ケアマネとして働く場合は「立場」が変わります。
そうなると、人間関係も変化していくこともあるでしょう。
より、多くの経験を積みケアマネとして自立していくためには、転職し、一から地域のことを学び、コミュニケーション力をつけ、利用者様や先輩ケアマネから信頼を得ることが大切です。
もちろん、簡単な道のりではないかもしれませんが、1つ1つ課題を解決していくことが自信ややりがいに繋がっていきます。
今までの、自分自身の価値観や偏見、性格など気づかなかったことが転職し、指導や指摘をし合える環境となれば、ケアマネとしてより大きく飛躍していくでしょう。
今、自分がどんな風な働き方を求め、成長したいかをしっかり考え「後悔のない選択」が出来るようにすることが大切です。
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