この記事の要点まとめ
  • 新人ケアマネがどのような不安や悩みを持っているのかを知り、それに対する解消方法を学んで、仕事に対する抵抗感を無くそう!
  • 新人ケアマネにありがちな失敗事例を知っておくことで、トラブルを事前に回避しよう!
  • 新人ケアマネがいち早く仕事を覚える方法を学び、自分自身や事業所全体のスキル向上につなげよう!

ケアマネの業務は多岐にわたり、「仕事を覚えて、早くみんなの力になりたい」と考えていても、何から始めたら良いか分からない状態で、戸惑うことが多くあります。

ここでは、新人ケアマネジャーが抱える不安や悩み、それに対する解消法、新人ケアマネジャーの失敗例と失敗をしないように気をつけることなどをお伝えします。

これらを知ることで、ケアマネジャーとしてスキルが向上し、自信を持って業務に取り組むことができます。
また、新人ケアマネジャーがいち早く仕事を覚えるにはどうしたら良いかも解説していきます

ケアマネの仕事は大変ですが、やりがいがある仕事であることも事実です
この記事を参考に、事前にできる準備を行いながら、前向きに業務に取り組んでみてください。

新人ケアマネジャーが抱える不安や悩み

一生懸命勉強してケアマネの資格を取得したけれど、新人ケアマネジャーは、業務の多様さから覚えることが多くあり、戸惑うことがあると聞きます。

事務作業に加えて、利用者様やご家族とのコミュニケーション、事業所や行政との連携、緊急時の対応など、幅広く対応が求められることから「何でも屋」と呼ばれることもあります

また、制度の改正や医療など、常に情報感度を高めて、知識をアップデートしないと、より良いサービス提供ができません。

実際のケアマネジャーはどんな悩みや不安を抱えているのか、ご紹介します。

 利用者様やご家族との円滑なコミュニケーション

ケアマネになると、月1回は必ず、利用者様とご家族との面会があります。
スムーズなサービス利用に繋げれたら良いのですが、「利用者様とご家族との意見が合わない」「介護保険では出来ないことをお願いされる」など、説明しても了承が得られない時が多々あります。

そんな時に、様々なサービスや調整方法を知っているベテランケアマネでしたら、すぐに対応出来ますが、駆け出しの新人ケアマネが調整役として立ち回るのは難しく、トラブルに発展しがちです。

利用者様やご家族からの信頼を得るには時間がかかり、人間関係の構築で悩んでいる新人ケアマネが多くいると聞きます

幅広い対応や知識が求められる

ケアマネジャーは「何でも屋」と呼ばれているほど、幅広い対応や知識が求められています。
まずは、担当利用者様とご家族の情報収集と必要なサービスの選定、各関係機関への連絡と調整及び報告、カンファレンス開催、緊急時の対応、実績の記入などの事務作業もあります。

また、日々の面会やカンファレンス、会議の記録なども残しておく必要があります。
担当利用者様を、ケアマネ1名に対して30名以上担当することも多く、慣れないうちは、業務の多さや複雑さを実感することも多いと聞きます

日々の業務を覚えながら、介護保険制度の改正に対応したり、最低限の医療の知識が必要であったりと、業務を覚えながら、勉強していくという柔軟さが求められます。

慣れないケアマネ業務に対する不安

ケアマネジャーは、1人で物事を判断しなければならない場面があり、責任感を伴う仕事です。介護の経験を経てケアマネになる人が多いのですが、「ケアマネになれる!」と意気込んでいても、実際「介護士」と「ケアマネ」の仕事は全く違います。

利用者と直接関わり、日常生活のお手伝いをするのが「介護」に対して、相手の感情や表情や思いを汲み取り、目標に対する日常生活の支援をする時に、調整役をするのが「ケアマネ」です。

利用者様やご家族、他の関係機関は、「新人」として見てくれないことも多く、判断を委ねられたり、対応を求められたりすることもあります
そんな状況で、何も分からず上手く対応出来ないと「思っていたのとは違うな」と不安を感じてしまう新人ケアマネも多いと聞きます。

新人ケアマネジャーの不安や悩みを解消する方法

上記で記入したように、新人ケアマネは不安や悩みが尽きません。
人が相手の仕事なので、マニュアル通りに事が運ばないのも事実です。
問題を解決しても、また新たな問題が立ちはだかることも多いでしょう。

そんな新人ケアマネの不安や悩みを解消するにはどうしたら良いのかを知っていきましょう

先輩ケアマネからのアドバイスを積極的に聞く

ケアマネは日々忙しく動き回っているため、「先輩や上司に聞きにくい」と思うことがあるかもしれません。

しかし、先輩ケアマネは、いくつもの事例に対応してきたため、問題を解決するための引き出しを多く持っています

「時間がある時に、相談にのってほしい」と素直に伝えてみる事が大切です。

積極的に分からないことや困りごとを質問することで、不安や悩みが解消されると共に、「やる気のある新人ケアマネ」として、事業所での評価も上がっていきます。

また、担当の引き継ぎの際には、細かく情報収集することで、未然にトラブルを防ぐ事ができるでしょう。
引き継ぎのノートだけでは不十分な内容は、必ず上司に相談や質問し、担当が変わったことで利用者様やご家族に迷惑をかけないように気をつけていく必要があります。

研修には積極的に参加する

ケアマネになると、介護保険制度や医療知識に加えて、地域の社会資源などを把握する必要があります。研修を通して知識を得たり、地域の特色を把握したり、書籍などで勉強を続けていく必要があります。
今は、ケアマネが個人でブログを更新していることもあり、そのような情報を追っていくのも良いでしょう。

自分の知識の幅が広がり、持っている引き出しが多いと、利用者様により良いサービスを提供できるとともに、事前にしっかりと説明することでトラブルの回避にも繋がります

「ケアマネになれたので、勉強はそこで終わり!」という訳ではなく、日々勉強し、情報をアップデートしていく必要があります。
そして、知識を持って実践をこなしていくことで、ケアマネとして自信を持って業務に取り組む事が出来るようになります。

意識的なコミュニケーションを行う

ケアマネは、人対人の仕事なのでコミュニケーションのスキルが求められます。

相手がどのような感情を抱いているのか、本心であるのか、ご家族の想いはどうかなど観察し、それを言葉で代弁していく必要があります
上手く伝えられない利用者様に寄り添いながら、ご家族や事業所、行政との連携を図ります。
その時に、相手の意図していないことを伝えたり、怒らせるような言い方や言葉を使ってしまったりすると、一気に信頼を無くしてしまい、今後のケアがスムーズに進まなくなってしまいます。

コミュニケーションのスキルは、すぐに獲得できるものでは無いですが、日々実践を通して仕事をしていく中での気づきから、徐々に向上していくでしょう。
先輩や同僚と一緒に練習するのも良いかもしれません。

新人ケアマネジャーの失敗事例

新人ケアマネとしての失敗は多々あります。
その中でも、多いのが引き継ぎ不足からのトラブルや、説明不足からの認識の違いです。
そうしたことから、利用者様に迷惑をかけてしまうことがあります。

ここでは、実際にあった事例を3つ見ていきましょう!

 引き継ぎ不足によるトラブル

ケアマネは、人材の確保が大変で前任者が担当している利用者様の引き継ぎができずにいることも多いです。
引き継ぎが不足したまま業務に就くと、利用者様やご家族とはもちろん、その他の関係各所とトラブルになることがあります。
日々の業務をこなしながらの引き継ぎとなるので、書面では無く口頭で伝えられてしまう場合も多いです。

記録に残らないことで、情報の共有や確認が出来ずに、トラブルに発展することもあります。

失敗事例

デイサービスの利用を月・金から月・木にしてほしいと要望があった。
引き継ぎの際、「月・木でデイサービスが利用できるかどうか確認して」と口頭で言われたが、他の業務も重なり、確認することを忘れていた

利用者様から、「木曜日だがデイサービスが来ない」とクレームを受けた。
大事な情報は、すぐに確認、連絡し記録すべきだった。

先輩ケアマネも、確認できたかどうか状況を把握すべきだったと引き継ぎミスからのクレームの一例です。

利用者様との信頼性を損ねてしまった事例

ケアマネの仕事をしていると利用様のことをご家族や事業所にこっそりと伝えないといけないことがあります。

失敗事例

利用者様から、ヘルパーの支援に不満があるが、「ヘルパーに悪いので言わないでほしい」という相談がありました。

言わないでほしいと言っていても、ケアマネとしては、伝えておいたほうがよいと思った内容であったため、ヘルパー事業所へ利用者様の意向を伝え相談し、次回からさりげなく利用者様の意向に合わせてもらおうと思っていました。

しかし、ヘルパーがサービスに入ったときに「聞きました。すみませんでした」と謝罪があったという事があり、利用者様から「なんで言ってしまったの!」とお叱りを受け、信用を損ねてしまいました。

ケアマネ業務に対しての認識の違い

介護の仕事は、力仕事かつ時には夜勤も伴う仕事です。
「このまま、歳を重ねてずっと介護ができるのかな?」と不安に思っている介護士も多いと聞きます

そのため、一生懸命勉強し、ケアマネの資格を取得しようと考えている人も多いです。

しかし、現場介護とは違う、精神的なストレスがかかるのがケアマネの仕事です。
日々、人と接して、時には理不尽なことも言われながら対応や調整をしていかないといけません。

定時になっても、休みの時でも緊急時には連絡が入り、対応に追われるといった事があります。在宅高齢者の方のケアの入り口が「ケアマネジャー」です。
ケアマネに連絡したら、対応してくれると思っている利用者様や事業所も多いです。
そうなった場合に、業務の多さや責任も強く伴ってきます。

「ケアマネって訪問や事務仕事がメイン」と考えている方もいますが、何よりも担当になったら、基本的には自分が1人で判断し、責任を取るということになります

時には、利用者様やご家族の人生に関わる大事な決断をする場面もあり、責任の重さを実感することも多いでしょう。

失敗事例

夜勤を辞めたくて資格を取ってケアマネになったが、責任の重さとコミュニケーションの不慣れさからストレスが溜まり休職
「介護士としての方が楽しかった」と現場の介護士に戻っていったということがありました。

新人ケアマネジャーの失敗事例から気を付けるべきこととは?

上記にあげた失敗事例から、特に注意する点として、「引き継ぎ」「記録」「業務の内容の把握」の3つが挙げられます

これらを意識することで、新人ケアマネでも事前にトラブルを少なくすることが出来ます。
ケアマネになったらまずは、意識して取り組んでいきましょう!

引き継ぎ内容をしっかりと確認する

利用者様のこれからのサービスをサポートするためには、今までの経緯や経過を把握する必要があります
前任のケアマネがいる場合は、そのケアマネに同行したり、支援経過などの書類を確認し、疑問点がある場合は、しっかりと確認を行います。

引き継ぎは、業務を円滑にすることと、利用者様との信頼関係に繋がります
「何も分からない」状態で、支援をすると「この人に任せて大丈夫かな?」と不安に思われる場合があり、スムーズに進まない事があります。

また、前任のケアマネがどのような支援をしていたのかも確認をしましょう
時折、病院受診の送りや、家の掃除などケアマネの業務内容以上のことを行っている場合もあります。
ケアマネの仕事の範囲を意識して、できることとできないことははっきりと伝えた上で支援に繋げていきましょう。

担当者会議や面会で話した内容はしっかりと記録する

ケアマネは、多くの方と関わりながら日々「支援が順調に進んでいるか?」「トラブルは無いか?」「利用者様の状態はどうか?」など把握していく必要があります。
その中で、口頭で伝えただけだと「言った」「言わない」などのトラブルが起こる場合もあります。
それを回避するためには、担当者会議や面会、電話での連絡や相談を受けた時には、確実に記録していく必要があります

記録の良いところは、後から確認できると共に「しっかりと伝えている」ということを証明するためのツールでもあります。
業務が逼迫する中で、記録作業が疎かになりがちですが、常に記録する、メモをするという習慣を持つことが大切です

ケアマネの仕事内容を正しく理解しておく

ケアマネの資格を取得するための実務研修の中に「実習」があります。
これは、2016年度のケアマネ研修の見直しで開始されました。

実際に、自分で研修先を見つけて、指導ケアマネと同行させてもらったり、請求業務などの事務作業を教えてもらいます。

短い期間の研修ですが、できる限り訪問させてもらったり、先輩ケアマネに質問をする必要があります。
その中で、例えば以下のような、業務を知ることと同時に、自分が何が得意で不得意なのか、自己覚知をする事が大切です。

  • 日々の業務内容は自分に向いている内容なのか?
  • 担当者会議でみんなを引っ張って行けるのか?
  • 信頼を得るためのコミュニケーション力はあるのか?

ケアマネというざっくりしたイメージだけで、仕事に就くと「思っていたのとは違った」と後悔することもあります

そうならないためにも、事前にケアマネの仕事や地域でのケアマネの役割について正しく理解しておくことが大切です

新人ケアマネジャーがいち早く仕事を覚える方法とは?

ケアマネになると、「早く仕事を覚えたい!」と思う方が多いと聞きます。
ここでは、新人ケアマネがどのようなことに注意すると、早く仕事を覚える事ができるかをまとめました
何をすべきかを意識しながら、仕事に取り組むことで、効率よく仕事を覚えることができるでしょう。

先輩ケアマネとコミュニケーションを積極的に行う

まだ右も左も分からない新人ケアマネにとって、1番頼りになるのが先輩ケアマネです。

まずは、職場内でのコミュニケーションを円滑にすることで、その後の仕事のスピードや、やりやすさ、やりがいなどが変わってきます。

先輩ケアマネとのコミュニケーションで気をつけることを以下に挙げます。

  • 挨拶をしっかりする
    当たり前ですが、日々の挨拶は必要不可欠です。
  • 同行させてもらったり、助言を受けたらすぐにメモを取るようにする
    メモは、「やる気があるな」「しっかり聞いてくれているな」と思ってもらえるので、いつでもメモを取れるようにしておきましょう
  • 途中の経過も報告する。
    仕事を任されるようになったら、自分で考えて進めながら、途中の経過を報告することで、先輩も安心して仕事を任せてくれます
  • 積極的に質問する
    分からないことや、知りたいことは自分で調べた上で先輩に質問しましょう。
    ただ、先輩ケアマネも忙しいので、必ず「ここまでは調べて見たんですが、どうしても分からなくて」といった感じで聞くと良いです

制度や地域の社会資源を調べ、提案できる選択肢を増やす

介護保険制度は、改正が繰り返されています。
そのため、古い情報から更新せずにいると、間違った情報を利用者様に伝えてしまいます。
介護保険だけではなく、障がい者制度や生活保護など、ありとあらゆる状況の方を担当に持つこととなるので、毎年制度の変更点を知ることと、日々情報の感度を高める必要があります

ケアマネジャー向けの仕事や実務を紹介した本が、いくつか出ていて、それを検索される方もいるので、そういった本を読んでみることで、ケアマネ業務の予習に繋がるのではないでしょうか。

また、地域のフォーマル、インフォーマルの社会資源を知ることも必要です。
社会資源を多く知っていることで、選択肢の幅が広がり、より利用者様が望む生活を実現しやすいのと、困った時の解決方法として「このサービスが利用できる」と提案することも可能です。

聞き上手になる

ケアマネは、多くの利用者様やご家族と話をする機会があり、利用者様の中には、ケアマネの訪問を楽しみにされている方もいます。

その時に、昔の話やご自身の状況など、何度も聞かなければならない状況があるかもしれません。
仕事が忙しいのに「何度も同じ話をして」と思うのではなく、何度でもその話を聞いて相槌をうつことも、ケアマネに必要な力です

もちろん、良いタイミングでサービスの実施状況のモニタリングなどをする必要がありますが、聞く力を身につけることで、信頼度が格段に上がります。そうすると、お互い良い関係となり、意見を伝えやすくなります

例え失敗しても「あの人はいつも良くしてくれるから」と大目に見てくれることもあり、失敗を恐れずに行動する事ができます。

まとめ

いかがでしたか?
新人ケアマネは、業務の多忙さやコミュニケーションの難しさから多くの不安を抱えて仕事をしなければいけません。

失敗を恐れて、行動できないということが無いように、事前に不安に対する解消法や仕事を早く覚える方法を学ぶことが大切です
新人ケアマネは周りのサポートが必要であり、自分の置かれている環境次第で、仕事が楽しくなるかどうかが左右されると言っても過言ではありません。
少しでも仕事を楽しく、早く覚えるために、職場の教育制度がしっかりと整っているかどうかも重要な要素です。

もし、職場の雰囲気が合わないなと感じるようであれば、転職を視野に入れる必要があります。
今の職場に不安を抱えている方やどんな場所で働こうか迷っている方は、ぜひ一度ケアマネジャー専門の転職エージェントにご相談ください!